資本金1億円の壁 – 中小企業者等

法人税等の計算においては、資本金1億円の壁というものが存在します。

以前の記事では、資本金1億円以下の”中小法人“のメリットや、資本金1億円を超える場合におけるデメリット”外形標準課税”についてご紹介しました。

続いては、資本金1億円以下の会社のうち、”中小企業者等”と呼ばれる会社のメリットについてご紹介します。

中小法人と中小企業者等(おさらい)

おさらいです。

法人税には、”中小法人””中小企業者等”という2つの定義が存在します。どちらも名前が酷似しており、定義もかなり近いです。

今回はそのうち、”中小企業者等”について確認していきます。

中小企業者等とは

中小企業者等は、資本金1億円以下の法人であることが大前提となっています。つまり、以前ご紹介した”中小法人”と、今回ご紹介する”中小企業者等”は、資本金1億円以下の会社であるという共通点があります。ただし、”中小法人”と”中小企業者等”は必ずしもイコールではありません。

以下では、これらの違いをおおまかに確認していきます。

中小法人とは

以前の記事で簡単にご紹介しましたが、中小法人とは、資本金1億円以下の法人のうち、資本金5億円以上の大法人の100%子会社でないこと等の要件を満たした法人のことを指します。

中小企業者等とは

一方,中小企業者等については、資本金1億円以下の法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人に限られます。また、資本金の額が1億円を超える法人に、発行済株式の1/2以上保有されていない等の要件がついています。

上記を見てわかる通り、中小企業者等になることは、中小法人になることより条件が若干厳しめです。ただし、それぞれ範囲が異なります。

従って、中小企業者等に該当するが中小法人には該当しない会社や、従業員数によっては,中小企業者等に該当しないが中小法人に該当するといった会社も存在するため注意が必要です。

なお、2019年(平成31年)4月1日以後に開始する事業年度においては、直前3年間の所得(利益)の年平均額が15億円を超える法人についても中小企業者等から外れる改正が行われました。これによって、大企業並みの所得を稼いでいる会社については”中小企業者等”のメリットを受けられなくなりました。

まとめ

中小法人と中小企業者の範囲について、おおまかに比較を行うと次の通りです。

親会社従業員数
中小法人資本金5億円以上 x
中小企業者等資本金1億円超 x1,000人超 x

どちらも自社の資本金が1億円以下であることが条件ですが、親会社の資本金や従業員数によって範囲が異なります。

30万円未満の資産を即時に経費化

即時に経費化(減価償却の特例)

本題です。中小企業者等に該当すると、法人税の計算上ささやかなメリットが与えられています。代表例の一つが、30万円未満の資産を購入した際の即時経費化です(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)。

基本的に何年も使えるようなものを固定資産と呼びますが、固定資産については何年間も使えるという理屈から、買ったタイミングで経費にすることができず、数年間で経費化することになります。

ただし、中小企業者等であれば,取得価額が30万円未満の資産であり、なおかつ1年間の購入額が合計300万円までであれば全額即時に経費にすることができます。

固定資産税はかかる

固定資産を購入した場合、年間1.4%の固定資産税がかかります(詳細は以前の記事をご覧ください)。30万円未満の資産を即時に経費化したとしても、固定資産税はかかってしまうという注意点があります。

10万円未満の資産であれば元々即時の経費

30万円未満の資産のうち、1単位当たり10万円未満の資産であれば元々即時に経費化できる取り扱いがあります。これは年間購入額300万円未満の条件がありませんので買い放題です。

20万円未満の資産であれば3年で償却(節税)

1単位あたり20万円未満の資産であれば、上記の30万円未満即時経費化,3年間で経費化(減価償却)する2つの取り扱いを選択することができます。

普通に考えれば即時に経費化した方がお得です。ただし、固定資産税の取り扱いを考えると話が変わります。

20万円未満の資産を3年間で経費化した場合、固定資産税がかからないというメリットがあります。従って、20万円未満の資産であれば即時に経費にせず、3年間で経費化する方法をお勧めします。

まとめ

金額メリットデメリット
A)
~99,999
即時に経費化できる
固定資産税がかからない
B)100,000円
~199,999
固定資産税がかからない経費化に3年間かかる
C)200,000円
~299,999
即時に経費化できる固定資産税がかかる

 

中小企業者等に該当すれば、上記のB),C)の資産を購入した際に、C)の即時経費化する取り扱いを行うことが可能となります。ただし、資本金が1億円以下であり、かつ、従業員数1,000人以下などの要件を満たした場合に限ります。

資本金は信用力を示す指標と言われることもありますが、税金のみを考えるのであれば資本金1億円に留めるという経営判断もアリです。上場していても資本金1億円以下の会社はあり、また、例えば東急百貨店のような有名どころの会社であっても資本金は1億円です。これからの時代は、資本金が大きくなくても活躍する会社はどんどん増えていくでしょう。

関連記事です。

資本金はいくらにするべきか

資本金をいくらにするべきか、会社にとって心地良い水準は異なります。また、資本金の額によって税金計算の取り扱いも変わってきますので参考指標をお伝えします。

資本金1億円の壁 – 外形標準課税

資本金が1億円を超えると、法人事業税の取り扱いが大きく変わります。赤字であっても支払わないといけない税金の種類が増え、負担増につながります。

注意事項
※1 本記事は2019年7月現在の法令等に基づき記載しています。
※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しています。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失については、弊社では一切の責任を負いかねます。

 

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投稿者プロフィール

ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人を経て、ブラッシュメーカー会計事務所を共同で創業。 売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験など、幅広い業務提供の経験を有する。
現在は代表の河野と共に、主にベンチャー企業・中小企業向けに税務相談・申告書作成や財務コンサルティング業務を提供し、また、自社Webにて120以上の記事を執筆している。

ブラッシュメーカー会計事務所は、東京・市ヶ谷にオフィスを構える税理士事務所です。

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