資本金1億円以下の税務戦略(中小法人)

中小企業というと、どのぐらいの規模の会社を想定されるでしょうか。

上場企業,上場企業の子会社以外、従業員が〇人以下、売上が〇億円以下など、中小企業という定義づけは難しく、また、実は法律によっても定義が異なります。

今回は、税金を考えるうえでの中小企業の判断基準と、中小企業が税金計算上優遇されている点についてお伝えします。

中小法人と中小企業者等

法人税の規定には、”中小法人”と”中小企業者等”という2つの定義が存在します。どちらも名前が似通っており、また、どちらも定義がかなり似ています。

今回はそのうち、”中小法人”について確認していきます。

中小法人とは(資本金1億円以下の法人)

法人税における中小法人とは、資本金が1億円以下の法人を指しています。

厳密には、資本金5億円以上の大法人の子会社でないこと等が要件とされていますが、”資本金1億円以下”であること。基本的にはここで判断を行います。

大企業より有利(節税のメリットあり)

世間一般では大企業ばかり優遇されていると言われることがありますが、少なくとも税金面においては中小企業の方が優遇されています。

なぜなら、雇用の大部分は大企業が抱えていますが、大企業といえど安泰ではない世の中だからです。日本企業の99%が中小企業と言われており、中小企業が発展してくれないと日本経済はお先真っ暗です。従って、少なくとも税金面においては中小企業が優遇されています。

以下では、資本金1億円以下の”中小法人”のメリットについて代表的なものをご紹介します。

税率が大企業より低い

法人税は、会社が儲けた所得(利益)に対してかかる税金です。利益に対しては、法人税,法人住民税,法人事業税など色々な税金がかかりますが、まとめて法人税”等”と呼ばれることが多いです。

この法人税”等”のうち法人税について、大企業であれば23.2%かかります。一方で、中小法人であれば15%です。利益額年800万円までという条件付きですが、利益に対して法人税”は”15%しかかかりません(800万円を超えた部分は23.2%)。

つまり、これだけで年間最大65万円(※)の節税につながります

※利益 800万円×(税率 23.2% – 15%) = 656,000円

交際費が税務上の経費になる

交際費は、1人当たり5,000円以下などの少額なものでない限り、基本的に税務上の経費として認められません。

飲み食いしたものであれば50%は経費として認められますが、例えば得意先と高級料理店で会食を行った場合においても、半分しか経費にならない点は留意が必要です。

一方で、中小法人であれば交際費が年800万円まで税務上の経費として認められるというメリットがあります(もちろん,事業に関係がある交際費限定ですが)。

特に創業当初は販路拡大を行うために交際費が多くなりがちなため、このメリットは大きいでしょう。

赤字を翌年以降の黒字と相殺できる(繰越欠損金)

法人税等は、1年間で獲得した利益に対してかかる税金です。従って、例え今年赤字だったとしても、翌年黒字になったら多額の税金がかかるという原則的ルールがあります。

実際には、青色申告を行っている会社であれば赤字を繰り越し、翌年以降の黒字と相殺して節税を行うことができます(詳細は以前の記事をご覧ください)。

ただし、相殺できる金額は利益の50%までというルールがあります。従って、黒字が出たらある程度の税金コストが発生するのが大企業の取り扱いです。

一方で、”中小法人”であれば赤字を翌年以降の黒字と全額ぶつけることができます。

大企業赤字を黒字の50%までしか相殺できない
⇒赤字100万円が出た翌年に黒字50万円が出たらトータルでは赤字50万円だが税金が発生する。
中小法人全額相殺可能
⇒赤字100万円が出た翌年に黒字50万円が出たらトータルで赤字50万円
⇒通算赤字のため、会社維持コスト分の税金のみかかる

 

資本金1億円の壁

資本金1億円以下の中小法人であることについて、メリットをいくつかご紹介しましたが、いかがでしょうか。

なお、上記の他にも資本金1億円以下の会社は法人税等を計算するうえで色々とメリットがあります。資本金1億円は中々突破できない壁ですが、世の中にはあえて資本金1億円の壁を越えず、資本金1億円に留めている会社も数多くあります。

なお、資本金1億円を超える会社については税金計算上の取り扱いが大きく変わるため、小さな税理士事務所では対応できない(経験が無い)ことも多いので注意が必要です。ブラッシュメーカー会計事務所では、上場企業や上場企業の子会社など、多数の大企業の確定申告に携わってきた税理士が在籍しているため、創業から資本金1億円を突破した後においても引き続き対応が可能です。

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注意事項
※1 本記事は2019年7月現在の法令等に基づき記載しています。
※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しています。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失については、弊社では一切の責任を負いかねます。

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投稿者プロフィール

ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人を経て、ブラッシュメーカー会計事務所を共同で創業。 売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験など、幅広い業務提供の経験を有する。
現在は代表の河野と共に、主にベンチャー企業・中小企業向けに税務相談・申告書作成や財務コンサルティング業務を提供し、また、自社Webにて120以上の記事を執筆している。

ブラッシュメーカー会計事務所は、東京・市ヶ谷にオフィスを構える税理士事務所です。

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