大変な仮想通貨の所得税確定申告(個人編)

前回の記事では、仮想通貨の確定申告が必要な方と、仮想通貨取引の流れを中心にご紹介しました。続いては、仮想通貨取引についての国税庁の対応と、所得税の確定申告をどのように行っていけば良いのかを確認していきましょう。

国税庁の対応

仮想通貨の税務上の取り扱いについて、国税庁の対応は後手

昨年末に、国税庁のWebページで仮想通貨の所得計算の取り扱いが公表されました。
税理士にとっては、「まあ、そうだよね」といったレベルのものがほとんどで参考になるものは少なかったのですが、恐らく本来の目的であった”仮想通貨でもうけた利益に対して所得税がかかる”という周知には成功したのかなと思います。

仮想通貨の年間取引報告書とエクセルツール

なお、上記の周知に加え、国税庁は日本の仮想通貨交換業者に対して年間取引報告書の作成を促し、仮想通貨の所得計算を行うためのエクセルツールを配布しました。

年間取引報告書については、仮想通貨交換業者が、投資家ごとの仮想通貨の売買履歴を記録して所得計算を行ってくれる書類が想定されていました。しかし、残念ながらこれは2019年3月の所得税確定申告において全く機能していませんでした。

なぜ国税庁の仮想通貨計算書が機能していなかったのか?

仮想通貨の年間取引報告書の作成が義務ではない

国税庁の仮想通貨計算書が機能していなかった理由はいくつかありますが、1点目に、仮想通貨の年間取引報告書の作成が義務とされておらず、発行していない仮想通貨交換業者が非常に多かったということが挙げられます。

まずBinance(バイナンス)についてです。
仮想通貨取引を行っている方の半数ぐらいはBinanceに仮想通貨口座を保有していると思います。取引手数料が安かったり、アルトコイン(ビットコイン以外の、有名どころでない仮想通貨)の取扱銘柄が豊富だからですね。しかしながら、Binanceは日本の仮想通貨交換業者ではありませんので、年間取引報告書の義務付けができないと予測されます。従って、Binanceについては今後も年間取引報告書の入手を行える可能性は低いでしょう。
また、Coincheck(コインチェック)など、日本の大手の仮想通貨交換業者であっても、昨年の取引に関して年間取引報告書を発行していない取引所がほとんどであったという大問題があります。今後どうなるかはわかりませんが、仮想通貨取引を行ううえで念頭に置いておく必要があります。

国税庁ツールの作成者は仮想通貨の取引経験が無い?

国税庁の仮想通貨所得計算ツールを作成された方は、おそらく仮想通貨の取引を行った経験が無いと思われます。

仮想通貨は売買を行ったときだけでなく、仮想通貨同士の交換を行ったとき(例:ビットコインでイーサリアムを購入)するときにも利益計算を行わなければなりませんが、これがエクセルツール上、対応していないように見受けられます。Binance(バイナンス)では円建てで取引ができないことから、この仮想通貨同士の交換取引が多発しますので、国税庁のエクセルツールのみで所得計算を行うことは非常に厳しいでしょう。

まだ仮想通貨取引の歴史が浅いとはいえ、正直現在のエクセルは使い物になりません。来年の確定申告時期までには国税庁にも整備していただきたいところですね。

仮想通貨の確定申告を行うのは大変

繰り返しになりますが、仮想通貨投資者が多く利用するBinance(バイナンス)は日本の仮想通貨交換業者ではありませんので、恐らく年間取引報告書が発行されません。
つまり、国税庁が日本の仮想通貨交換業者に対して年間取引報告書の発行を義務付けたとしても、少なくともBinance(バイナンス)で仮想通貨取引を行った分については今後も自身で所得計算をしなければならないということになるでしょう。
幸いにも、Binance(バイナンス)ではCSVデータで取引履歴を出すことができますが、やはり他の仮想通貨口座からの入出金を確認したりしないと仮想通貨の所得計算を行えないため、資金の流れを追うのが非常に大変です。
仮想通貨の所得税確定申告を行うためには、仮想通貨の取得日時、売却日時、取得レート、売却レートを1取引ごとに確認し、いくら利益が出たのか、赤字なのかを計算しなければなりません。

所得税/住民税確定申告書の提出は忘れずに

前回の記事でご紹介していますが、仮想通貨投資を行って利益が出た場合には、所得税若しくは住民税の確定申告が必要になるためご注意ください。

関連記事です。
起業家必見!顧問税理士の選び方ガイド
仮想通貨取引の歴史は浅いため、自らの取引経験はもちろん、仮想通貨の確定申告を行った経験がある税理士は数少ないのが現状です。仮想通貨の所得税確定申告を依頼する際は、担当する税理士の経験の有無を確認してみると良いでしょう。

仮想通貨の確定申告が必要な人と、仮想通貨取引の始め方(個人編)

主に仮想通貨取引の流れについてのおさらいです。

注意事項
※1 本記事は2019年6月現在の法令等に基づき記載しております。
※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しております。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失については弊社では一切の責任を負いかねます。

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投稿者プロフィール

ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人を経て、ブラッシュメーカー会計事務所を共同で創業。 売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験など、幅広い業務提供の経験を有する。
現在は代表の河野と共に、主にベンチャー企業・中小企業向けに税務相談・申告書作成や財務コンサルティング業務を提供し、また、自社Webにて120以上の記事を執筆している。

ブラッシュメーカー会計事務所は、東京・市ヶ谷にオフィスを構える税理士事務所です。

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