不動産投資で節税?不動産会社の「甘い罠」資産運用に強い税理士が解説

わたしが嫌いなものの中の一つ、それが「不動産会社」です。

すべての不動産会社が嫌いなわけではありませんが、税理士として仕事をしていると、どうしようもない、悪い不動産会社がよく目につきます。

この記事では、不動産投資による節税について、投資家かつ税理士の坂根が次の疑問について解説します。

  • 「節税」とは?
  • 「節税」は、ていの良いセールストーク
  • 税金が減る仕組み

すべて無料で情報公開していますので、不動産投資で失敗しないために、ぜひ最後までご覧ください。

不動産投資で節税?不動産会社の「甘い罠」

「不動産投資で節税」は、基本的には罠だと考えてください。

この方法は、主に「年収一千万円以上の外資系サラリーマン」と「富裕層の方」に持ち掛けられることが多い話です。

まず次の3点について解説していきます。

  • 節税とは?
  • 「節税」は、ていの良いセールストーク
  • 税金の仕組み:「赤字」なら税金が減る。

節税とは

「節税」とは、法律用語でないため定義はありませんが、一般的に「税金を節約する(減らす)」という意味で用いられています。

ここでいう節税とは、あくまでも法律に則って税金を減らす行為を指し、悪意をもって法律に反した行動をとる「脱税」とは異なります。

「節税」は、ていの良いセールストーク

「節税」という言葉は、不動産会社や保険会社が、自社の商品やサービスを販売するために使っている、ていの良いセールストークです。

「節税」という言葉が一般に浸透してしまっていますが、当然ながら、無条件に税金を減らせるわけではありません。なぜなら、税金は、国の社会保障やインフラのために欠かすことができないものだからです。そのようなずさんな仕組みであれば、国はすぐに崩壊してしまいます。

どうしても「節税」をしたいと考えるのであれば、それぞれの税金の仕組みを知り、なぜ税金が減るのかを理解する必要があります。

税金の仕組み:「赤字」なら税金が減る。

まずは、「法人税」「所得税」「相続税」の仕組みについて簡単にご紹介します。また、その中でどのようにしたら税金が減るのか についても併せて解説します。

法人税の仕組み

法人税は、簡単に言ってしまえば、会社の1年間の利益(儲け)について課税される税金です。

そのため、たとえば1億円の売上があっても1億円の経費(損失)があれば、利益はゼロ円です。儲かっていなければ税金はかからない、そういった仕組みになっています。

なので、本業が黒字であって、不動産ビジネスを始めてこけたとしたら、その赤字は本業の黒字と相殺し、税金を減らす(節税)ことができるというわけです。

もちろん、単なる赤字なので税金が減っても出費がかさむというバカげた状態になってしまいます。

※法人住民税の均等割や事業税の収入割がかかる場合など、他の税金がかかり、実際にはゼロというわけにはいきません。

所得税の仕組み

所得税のしくみも法人税と大体同じです。個人が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得(儲け)について課税される税金です。

所得税が法人税と大きく異なる点は次の二つです。

  • 税率が一定でない
  • 所得区分を10種類に分ける必要がある。
税率が一定でない

法人税は、1年間の儲けに対して20%から30%程度で固定されています。

それに対し、所得税は儲けの額に応じて15%から55%(所得税と別途住民税がかかるため、住民税込みの税率)かかります。

そのため、年収500万円のサラリーマンと、年収2,000万円のサラリーマンでは 、とられている税金が異なります(年収2,000万円のサラリーマンの方が高額な所得税を支払っています)。

つまり、普通に考えればイヤですが、基本的には自分の儲けを減らすことによって節税を行うことが可能と言い換えることができます。

所得区分を10種類に分ける必要がある。

所得税は儲けの種類を10種類に区分する必要があります。

  • 利子所得
  • 給与所得
  • 不動産所得 など

そして、ものにはよりますが、これらの所得は合算できるものもあります。 例えば給与所得と不動産所得です。

つまり、サラリーマンが大家さんとして不動産賃貸を行っていて、かつ、不動産ビジネスでで赤字が生じている場合、その赤字は給与所得と損益通算することができます。

※もちろん赤字なので、税金は減っていても出費はかさんでいて損しています。

相続税の仕組み

相続税は、亡くなった方の遺産額が3,000万円(家族構成によって異なります)を超える場合に、財産を引き継いだ相続人に課される税金です。

相続税は遺産が多ければ多いほど課税される仕組みになっています(より詳しくは相続税の早見表 いくらからかかる?いくらまで無税?税理士が解説をご覧ください)。そのため、生前に財産を減らせば(使ってしまえば)相続税は減ることになります。

もちろん、不動産には資産価値があるため、不動産を買っても全額が相続税の課税対象から外れるわけではありませんが、だいたい8割ぐらいまで評価が引き下がると言われています。

 

不動産投資の節税

次に「不動産投資の節税」について、どのようなセールストークが行われるのか、また、どのような節税効果があるのかについて確認していきましょう。

次の3つのパターンに分けて解説します。

  • (会社)法人税
  • (個人)所得税
  • (個人)相続税

(会社)法人税の不動産投資による節税

会社にかかる法人税は、会社の儲けに対してかかります。そのため、 次のようなセールストークが行われます。

「不動産を買えば減価償却費を計上できるので節税ができます」。

どういうことかと言うと、不動産など、長期間にわたって使用するものを購入した場合、数年間、数十年間にわたって経費にする(費用計上)ことができます(例:1億円の不動産を購入し、うち建物が7,000万円、土地が3,000万円の場合、建物部分7,000万円を47年間などにわたって費用計上します)。

つまり、会社が儲けているのであれば、その利益を減価償却費で打ち消すことができます。

少しややこしい話ですが、単純にお金が出ていった分、同額の経費が立つと言うことです。税金の支払いが減ったところで、お金が減ってはうまみがありませんね。

ちなみに、仮に5年後に購入時と同額で売却できる場合、減価償却費の費用計上をとれるメリットはあります。ただし、その場合であっても、5年後の売却時には減価償却費を計上した分と同額の利益(売却益)がたつことになり、売却益に対して法人税がかかります。

そのため、不動産を数年後に購入時と同額で売却できたとしても、単純に税金の支払いを繰り延べ(先延ばし)にできただけに過ぎませんので、単純に「税金の支払いが減った」ということにはなりません。

(個人)所得税の不動産投資の節税

所得税は、給与や不動産から得られる賃料収入などを合計した、1年間に獲得した総合的な所得に対して課される税金、というのが基本的な考え方です。

そのため、給与が1,000万円あり、不動産投資による損失が200万円ある場合、差し引き800万円の所得に対して所得税がかかるということになります。

つまり、不動産投資で200万円の赤字がある場合には、この200万円×所得税・住民税率(15%~55%)分の税金の支払いが減ることになります。

しかし、赤字ということは、すなわちそれだけのお金が減ってしまっているということです。税金の支払いが減っても自分の懐から出ていくお金の方が多くなってしまっては意味がありません。

※不動産を売却した場合については説明がややこしくなるため省略します。

 

(個人)相続税の不動産投資の節税

相続税の計算上、土地は現金で持っているより低く評価される(相続税がかかる割合が少ない)ケースが多いです。

具体的には、現金で持っている場合の8割ぐらいの金額で相続税がかかる遺産額を計算することになっていると言われています。つまり、1億円の不動産を現金で購入すれば相続税がかかる不動産の価格は8000万円程度と評価され、差額2000万円×相続税率分(約10%~55%)の相続税を減らすことができると言えます。

しかし、これは単に、不動産は流動性が低い(すぐに売買できない)などの事情があるからに過ぎません

また、次のような注意点があります。

  • 不動産投資の運用としての利回りは高くないためほとんど利益が出ない
  • その不動産の購入価格が相場より高かったら大損する
  • 購入後に、購入前と同額で売却できるわけではないので大損する可能性あり

1億円の現金と1億円で買った不動産、どちらの方が価値があるかと言えば1億円の現金です。不動産はすぐに換金できませんし、購入時や売却時に登記費用や仲介手数料などがかさんでしまいますからね。なので、ただ現金より価値が低いため、8割ぐらいに割り引かれているだけと考えるのが良いと個人的には思います。

 

サラリーマンの不動産投資の経費

不動産投資における所得税や法人税は、不動産事業から得られる利益に対して課せられます。つまり、不動産賃料から経費を差し引いた金額に対して税金がかかります。

それでは不動産投資における経費とは何でしょうか。

不動産投資で経費になるもの

不動産投資で経費になるものは、不動産投資事業に使用したものに限られます。例えば次の経費です。

  • 賃貸不動産の建物部分の減価償却費
  • 不動産の管理費
  • 住人の募集費用 など

こういったものは不動産投資事業において必要なことが明らかですから、経費として認められると考えられます。

 

節税じゃない、それは脱税

ワンルームマンションなどの販売を行っている営業マンの中には、次のようなセールストークを行う人がいます。

「プライベートの飲み会代など、領収書を集められるだけ集めて経費に突っ込めば節税ができる」

これは、やってはいけません。不動産投資事業に一切関係がないからです。

これをやった場合、プライベートなものとして経費にならないため後日罰金がついたり、会社の場合には、役員給与として源泉所得税などが追加で課される可能性があります。

所得税や法人税は自分で支払う税額を計算して申告を行う自主的な制度になっています。そのため、自分で申告書を作成するのであれば、その計算が合っているか間違っているかはさておき、経費をいくらでも突っ込むことができてしまいます。 そして、一旦税務署は申告書を受理します。

その数年後、税務調査によってバレてしまい、多額の罰金がかかったり、悪質な場合には、ニュースになる可能性もあります。

繰り返しますが、セールスマンは売りたいだけです。あなたの人生に責任を負ってはくれません。

 

不動産投資は利益を狙うもの

不動産投資は節税を狙うものではありません。基本的には節税 = ただの赤字です。不動産投資をなぜやるのか、初心に帰れば、それは利益を出すためです。

すべての物件が悪いわけではなく、中にはきちんと利益を出せる物件もあります。 ただし、悪い業者がとても多いので、それだけは気をつけておきましょう。

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投稿者プロフィール

税理士 坂根崇真
税理士 坂根崇真
【プロフィール】
一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事
税理士

【寄稿実績など】
Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE
会計人コースWeb、事業承継・M&AならBatonz(バトンズ) 専門家コラム、名古屋大原学園 大原簿記情報医療専門学校

【メディア出演実績】
01CHANNEL(株式会社ウェイビー運営)
税理士2.0 AKIRAチャンネル(レッドスターコンサルティング株式会社運営)
TAKA World Peace(株式会社グローバルマーケット運営)

【著書】
相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (2021年発売予定)

【メディア運営】
税理士による相続メディア:あんしん相続税 などを運営(合計:月間10万PV)

【経歴等】
士業など専門家1,500人以上の団体の理事に就任している。業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人の出身であり、売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験も多数あり、創業から上場まで対応が可能である。また、Twitterでは1万人のフォロワーを有しており、経営者や士業が年間数百名参加する交流会を開催する等、強い影響力を持っている。

【事務所情報】
ブラッシュメーカー会計事務所:東京・神田にオフィスを構える税理士事務所です。

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