資本金1億円の壁 – 外形標準課税

前回の記事では、資本金1億円以下の”中小法人”が、大企業と比べて税金計算上優遇されている(メリットがある)ことをご紹介しました。

続いて今回の記事では、資本金1億円の壁を超えた場合における税務上のデメリットの一つ、”外形標準課税”(がいけいひょうじゅんかぜい)についてご紹介します。

法人税等は利益にかかる税金

今までの記事で何度も紹介していますが、法人税,地方法人税,法人住民税,法人事業税等を総称して法人税”等”、若しくは、代表してそのまま法人税と呼ぶことが一般的です。

法人税等は、会社が儲けた利益(所得)に対してかかる税金です。この法人税等の税率は、儲けた利益の金額や、会社の所在地(会社がある都道府県,市区町村)に応じて変動しますが、だいたい利益額の20%~30%程かかります。

外形標準課税とは

法人税等は利益に対してかかる税金というのが大原則です。ただし例外がいくつかあり、そのうち代表的なものが以下で説明する”外形標準課税”と呼ばれるものです。

資本金が1億円を超える法人の場合は、この外形標準課税が適用されます。これは、法人税”等”のうち、法人事業税における取り扱いです。

利益以外の4つの要素に応じて税金がかかる

資本金が1億円を超える法人の場合、利益以外の4つの要素について税金がかかります。

詳細は以下で説明しますが、資本金1億円を超える会社であり、かつ、これらにお金をつぎ込める等の経済的余裕があるなら税金を払ってくださいという考えです。

資本金(資本割)

資本金が1億円を超えて”外形標準課税”が適用される場合、会社の資本金や資本準備金などの額に応じて税金がかかります。

東京都23区のみに会社がある場合、現状0.525%の法人事業税がかかります。つまり、資本金1億円の会社であれば赤字であっても最低で年間525,000円(※)の法人事業税がかかります。

※1億円×0.525% = 525,000円

付加価値割(給料,利息,賃借料)

資本金が1億円を超えて”外形標準課税”が適用される場合、会社の給料、利息の支払額、賃借料の支払額に応じて税金がかかります。

給料(報酬給与額)

資本金が1億円を超えて”外形標準課税”が適用される場合、給料の支払額に応じて税金がかかります。

ただし、給料を支払うほど税金を多くかけることになってしまうと、給料の抑制や雇用の削減を行う会社が増えてしまいます。従って、今回は言及しませんが給料については救済措置(雇用安定控除、所得拡大促進税制)があり、以下の2要素と比べると税金への影響は少ない場合があります。

利息(純支払利子)

資本金が1億円を超えて”外形標準課税”が適用される場合、会社が支払った利息が多ければ多いほど税金がかかります。

例えば、銀行ローンによって多額の資金調達を行っている場合、返済に伴う利息が多くなり、その分税金コストが増加します。

賃借料(純支払賃借料)

資本金が1億円を超えて”外形標準課税”が適用される場合、会社が支払った家賃や、月極駐車場などの賃料が多ければ多いほど税金がかかります。

例えば、一等地のオフィスを借りて高い賃料を支払っている場合はそれなりに高い税金コストが発生します。

上記の3要素+利益に税金がかかる

資本金が1億円を超えて”外形標準課税”が適用される場合、上記の給料、利息、賃借料に利益などを加えた金額に現状1.26%の税金がかかります。

資本金1億円が税務上の壁の1つ

外形標準課税は痛手ですが、税金はあくまでも利益などの一部を支払うことが原則的ルールです。会社を発展させていくうえでは、どんどん利益を伸ばしていくための経営判断が重要ですが、会社規模を大きくしていく意向が無ければ、税金のことを考え、資本金1億円に留めるという経営判断もアリと言えるでしょう。

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注意事項
※1 本記事は2019年7月現在の法令等に基づき記載しています。
※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しています。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失については、弊社では一切の責任を負いかねます。

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投稿者プロフィール

ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人を経て、ブラッシュメーカー会計事務所を共同で創業。 売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験など、幅広い業務提供の経験を有する。
現在は代表の河野と共に、主にベンチャー企業・中小企業向けに税務相談・申告書作成や財務コンサルティング業務を提供し、また、自社Webにて120以上の記事を執筆している。

ブラッシュメーカー会計事務所は、東京・市ヶ谷にオフィスを構える税理士事務所です。

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