【相続トラブル】遺言書の書き方を誤ると無効

相続税の問題は、およそ8人に1人発生すると言われています。

「なんだ、8人に1人か」と考え、相続の備えを先延ばしにしてはいけません。この数値は日本全体の話です。都市部に限って言えば、より多くの方に相続税の問題が起きるでしょう。また、仮に相続税が8人に1人発生する問題だとしても、相続は8人中8人全員に共通して発生する問題であり、事前の備えが欠かせません。

今回は、遺言書が無効となった場合の相続トラブルについてご紹介します。家族の仲が今現在は良くても、10年20年先の話は誰にもわかりません。早めに備えましょう。

遺言書の作成方法は大きく2種類ある

一言で遺言書と言ってもいくつかの種類があり、中でも、代表的な遺言書が2つあることをご存じでしょうか。

1.自筆証書遺言
ご自身が、自筆で作成する遺言書です。
2.公正証書遺言
法律の専門家が作成する遺言書です。

皆さんの認識では、遺言書といえば上記”1”自筆の遺言書ではないでしょうか。
確かに、”1”自筆の遺言書は、誰でも気軽に取り組むことができます。一方、法律の要件が実は厳しく、作成した遺言書が無効となるケースも多い、ということはあまり知られていません。

遺言書は、作成しても法律のルールに則っていなければ無効になってしまいます。次に、作成した遺言書が無効になった場合のお話しをご紹介します。

今は家族の仲が良くても10年先はわからない

親族図表

父は5年前に他界し、母が70歳、兄弟2人の家庭です。それぞれ家庭を持っており、母とは別居しています。

兄弟2人はそこまで仲が仲が悪いわけではありませんが、特段仲が良いわけでもありませんでした。従って、母は、2人が喧嘩しないように遺言書を手書きで作成しました。

兄に8割、弟に2割。長男だし、介護も任せるから兄に多めに遺産を渡そう。そう考え、遺言書を作成しました。結果、10年後に母の介護が必要になり、兄は介護を行い、15年後に母は他界しました。

しかし、ここで問題が発生しました。母は確かに遺言書を作成していました。しかし、遺言書には財産の分け方が書かれているものの、法律のルールに基づいておらず、母が作成した遺言書は無効となってしまいました。これでは、不動産の名義変更など相続の手続きを行うことができません。

従って、兄弟間で財産の分け方について話し合い(遺産分割協議)を行う必要が出てきました。

兄弟間の話し合い(遺産分割協議)で泥沼に

兄は「財産の8割は兄のモノと遺言書に書いてあるから、遺言書通りでいいよね?お母さんの介護は俺がしたし」と弟に尋ねます。
すると、弟はこう言いました。「いや、8割は取りすぎだよ。相続する権利はお互い平等にあるんだから、5:5でわけよう」。

争いが起きてしまいました。兄は介護をした分、せめて財産の6割が欲しいと主張します。しかし、相続する権利は弟の言い分通り、原則としてお互いに半分ずつあります。兄は、母の遺言書を軸に、せめて6割と主張する一方、弟は財産を半分もらえると言う権利を主張し、お互い譲りません。

今は兄弟の縁よりお金が大事であり、もらえるものはもらいたい、と考える方も少なくありません。兄弟間の仲が良くても、10年後・20年後、また、介護が必要になればお互いの負担感は変わっていく点に注意が必要です。

話し合いがまとまらない場合

兄弟間で話し合い(遺産分割協議)がまとまらない場合であっても、相続税の申告と相続税の支払いは、亡くなってから10か月以内に一旦行わなければなりません。

まだ遺産をどうわけるかも決まっていないのに、税金を支払わなければいけません。

しかし、税金など大した問題ではありません。兄弟間で争うことにより、弁護士への報酬がかさむことはもちろん、時間を浪費し、精神的にも疲れていきます。

一度争いが起きると、数年前、数十年前のことまで遡って言い争いを行うことも少なくありません。こうなってしまっては、母の「喧嘩しないように」という気持ちが台無しになってしまいます。

遺言書の内容はオープンに

遺言書を作成する際は、書いた内容をオープンにした方が揉めにくいと言われています。なぜなら、遺言書をこっそり作成し、隠しておいた場合、実際に相続が起こった際に気持ちが伝わらず、トラブルの原因になるからです。

遺言書を作成する際は、家族全員にどのような遺言の内容で作成するかを伝え、また、直接思いを言葉で伝えることが望ましいでしょう。

遺言書は、財産をどうわけるかに意識がいきがちですが、より大切なのは家族を思う”気持ち”だからです。

法律のルールに則った遺言書が無いから争いが起きる

ネットの普及により、簡単に情報が手に入る時代になりました。みんな、相続が起きれば自分たちに財産を受け取れる権利があることを理解しています。

長男だから、家の跡継ぎだからといって多く財産をもらう権利があるわけではありません。法律上は、兄弟には同じだけの権利があります。それ故、法律のルールに則った遺言書が無い場合、相続人は迷い、権利を主張し、争いが起きます。従って、遺言書の作成を行う際は専門家のサポートを入れることをお勧めします。

最後に

遺言書の作成は元気なうちにしか行うことができず、また、ご自身で遺言書を作成した場合は無効になるリスクがあるため注意が必要です。ブラッシュメーカー会計事務所では、相続税の対策はもちろん、遺言書の作成サポート業務もご提供しています。揉める可能性がある場合は、提携の弁護士と共同で問題解決にあたります。

うちの家庭は相続税がかかりそうか、遺言書を書くにはどうしたら良いか。そんなご相談でも構いません。まずはお気軽に、お問い合わせください。

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注意事項
※1 本記事は2019年10月現在の法令等に基づき記載しております。
※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しております。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失について、弊社では一切の責任を負いかねます。

 

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投稿者プロフィール

ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人を経て、ブラッシュメーカー会計事務所を共同で創業。 売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験など、幅広い業務提供の経験を有する。
現在は代表の河野と共に、主にベンチャー企業・中小企業向けに税務相談・申告書作成や財務コンサルティング業務を提供し、また、自社Webにて120以上の記事を執筆している。

ブラッシュメーカー会計事務所は、東京・市ヶ谷にオフィスを構える税理士事務所です。

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