【株式投資にかかる税金】日本株と外国株の税金面を税理士が比較解説

日本株と米国株(外国株)の比較、そして、「個人」と「会社」で保有するならどちらが良いか。

日本の株、外国の株でそれぞれ税金の取り扱いが異なりますが、基本的な考え方をご紹介します。

なお、以下は一般的な上場株を「投資」で保有することを前提としており、また、一側面における検討であることをご了承ください。

ちなみに、株の始め方や買い方については株の始め方、やり方を初心者向けに投資家の税理士が解説株の買い方、売り方を初心者向けに投資家の税理士が解説でご紹介していますので、興味があればそちらもご覧ください。

日本株にかかる税金と外国株にかかる税金

日本株にかかる税金

まずは日本株にかかる税金について見ていきましょう。

収入の種類個人法人
株式の配当所得税等(配当所得)法人税等
株式の売却所得税等(譲渡所得)法人税等

株式に税金がかかるタイミングは、大きく2つです。

  1. 株式から配当収入を得たとき
  2. 株式を売却して利益を得たとき

個人で上場株式からの配当収入や売却益が出たときは、例外はあるものの、基本的に一律20%程の所得税・住民税が課されます。一方で、法人で利益が出たときは、約20%~30%程の法人税等が課されます。従って、上場株を運用するのであれば一般的には個人で持った方が良いと言えるでしょう。

外国株にかかる税金

外国株にかかる税金も、基本的には日本株と同じです。

収入の種類個人法人
株式の配当所得税等(配当所得)法人税等
株式の売却所得税等(譲渡所得)法人税等

外国株式に税金がかかるタイミングは、大きく2つです。

  1. 株式から配当収入を得たとき
  2. 株式を売却して利益を得たとき

日本株と外国株の税金比較

上記だけ見ると、日本株にかかる税金、外国株にかかる税金は全く同じです。

そうです。基本的な考え方は日本株であっても外国株であっても変わりません。

ただし、例えば次の違いがあります。

日本株外国株
日本の所得税
外国の所得税
所得税額控除
外国税額控除
配当控除

日本株には外国の税金はかかりませんが、一方で、外国株であれば、外国の所得税がかかってしまいます。これについて、外国税額控除という仕組みによって外国の所得税を減らすことはできます。外国税額控除とは、外国でかかった所得税を、日本でかかる所得税と二重で課税されないように、日本の所得税から減額する仕組みです。

ただし、算式に当てはめて計算を行うため、全額を控除できるとは限りません。

また、日本の株式には配当控除という仕組みがあり、日本国内に本店のある法人から受ける剰余金の配当について一部税金を減らせる仕組みがあります。ただし、外国株にこの制度はありません。

外国株より日本株の方が税金面ではお得

上述したように、単純な税金面で見た場合には、次の2点から、外国株より日本株の方が優遇されていると言えます。

  • 外国株の売却や配当には外国の所得税がかかる。全額を外国税額控除できるわけではない。
  • 外国株には配当控除の仕組みが無い

もちろん、実際の運用利回りなどを考慮すれば外国株の方が優れていることも少なくありません。税金面でどちらが有利かではなく、いくら利益を出せるかで考えると良いでしょう。

 

株式投資は身近になった

株式投資は、かつては富裕層にしか行えないものでした。

しかし現在では法整備が整い、NISAや特定口座で取引を行った場合、原則として所得税・住民税の確定申告が不要な制度になっており、サラリーマンにとって株式投資は非常に身近な存在となっています。

そんな身近になった株式投資ですが、税務上は今なお高所得者にとって優遇された取り扱いとなっています。

なぜ高所得者の株式投資に係る税金が優遇されているのか?

株式投資は高所得者の方が優遇されていると言えます。その理由についてご紹介します。

所得税、住民税は儲けた利益が多いほどかかる税金

所得税、住民税は儲けた利益に対してかかる税金であり、下は約15%から上は約55%まで、儲けた利益が多いほど、利益に対してかかる所得税、住民税の割合が上昇していきます。

なお、この儲けた利益の範囲が厄介で、例えばサラリーマンの給料だけでなく、不動産投資、太陽光発電事業などから得られた利益をすべて合算し、上述した15%~55%の税金がかかります。

サラリーマンが副業に手を出し始めると、給料に対してかかる税金も増えてしまうという悲しい現実があるので注意が必要です。

上場株式投資に係る税率は一律で約20%

NISA口座の場合は株式投資によって得られた利益が非課税(所得税,住民税がかからない)となりますが、そうでない証券口座であっても、上場株式に対してかかる所得税、住民税の税率は非常に低いです。

具体的には所得税が約15%、住民税が5%の約20%。一律です。上記の税率15%~55%の枠に含まれず、別枠計算です。

稼いでいる方はサラリーマンであっても税率20%を超えますので、税率20%で済んでしまう株式投資は税金計算上優遇されていると言えるでしょう。

高所得者の株式投資に係る税金が優遇されている理由

なぜ株式投資に対する税率が低いんだ?という理由についてですが、貯蓄からの投資を促す観点と、海外からの資金を呼び込むため。

推測ですが、これらが根底にあると考えられます。日本の税率が高ければ海外市場にお金が流れてしまうからですね。

なお、収入が少ない方はあえて確定申告を行うことで税金計算上有利になる場合がありますが、手間がかかるため確定申告を行わない場合が多いでしょう。

また、日本と比べると海外市場の方が市場や法整備が成熟している場合もあり、利益を出すという観点からすれば必ずしも日本株市場にこだわる必要は無いと言えます。

あくまでも所得税や住民税といった税金は、稼いだ利益の一部を支払っているに過ぎません。

どのような事業・投資にも共通して言えることですが、まずは利益を出すことが大切でしょう。

所得税・住民税の確定申告が不要な株式・社債等への投資方法についてご紹介します。

株式、社債への投資方法

①証券口座の開設

預金口座と同様に、証券取引を行うための口座、「証券口座」というものが存在します。

最近はDMM 株が勢力を伸ばしてきていますね。

まずは、これらのサイトから証券口座を開設する必要があります。

 

②証券口座への振り込み

上記①で開設した証券口座には、当たり前ですが1円もお金が入っていません。

預金口座を開設したときにお金が入っていないのと同様です。

残念ながら、誰もタダではお金をくれません。

従って、お持ちの預金口座から、上記①の証券口座にお金を振り込む必要があります。

 

③証券口座に預けたお金を元手に株式等を購入、売却

株式の購入・売却

株式の購入・売却については一般的にスマホのアプリや証券会社のWebサイトから行います(例えば「SBI証券 株アプリ」など)

社債等の購入・売却

社債等の購入・売却は証券会社のWebサイト上で行うことが多いです。

参考に、日本国債の利率は現状0.05%とかなり低いです。

預金と比べればマシかもしれませんが、定期預金同様に3年~10年間動かせない(使えない)お金になってしまいますので、この利率で国債を購入するぐらいであれば、まずは住宅ローンの返済等に充てることをお勧めします。

 

個人が保有する特定口座であれば所得税の確定申告が原則不要

さて、本題です。証券取引は仮想通貨取引と異なり、比較的長い歴史を持っています。

長い歴史の中で法整備も整い、個人投資家の利便性を向上させるため、何と基本的に所得税の確定申告が不要な制度となっています。代表的なものと、その特徴をご紹介します。

NISA口座

皆さんご存じNISA口座。この口座で得られた利益については非課税(所得税がかからない)という素晴らしいメリットを持っています。

通常、利益に対しては何らかの税金がかかりますが、国が投資を後押ししているため、利益に対して税金をかけないという対応をとっています。

投資額が年間120万円、期間5年などの制限付きではありますが、金額的にも富裕層向けというより、サラリーマン向けの口座と言えるのではないでしょうか。

特定口座

特定口座は、原則通り税金がかかる証券口座です。儲けた利益に対して所得税約15%、住民税5%の計約20%の税金がかかります。

税金は発生してしまいますが、特定口座から発生した税金については、給料同様に証券会社が天引きして支払ってくれます。

従って、原則として所得税の確定申告を行う必要が無いというメリットを持っています。

※特定口座の種類によっては申告が必要な場合もあります。

 

赤字の場合は基本的に所得税の確定申告をしたほうが良い

証券取引については、確かに所得税の確定申告が原則不要です。

しかしながら、所得税の確定申告をあえて行ったほうが良い場合があります。例えば、赤字が生じた場合です。

特定口座でその年に赤字(通算利益がマイナス)が生じた場合、翌年以降3年間で生じた黒字と相殺することができます。

所得税は儲けた利益(黒字)に対してかかる税金のため、黒字と赤字を相殺できれば(税金計算上、儲けた利益を減らすことができれば)、支払うべき税金を減らすことができます。

従って、赤字が生じた場合には翌年以降の黒字と相殺し、税金の支払いを少なくすることをお勧めします。

ただし、赤字を翌年以降の黒字と相殺するためには所得税の確定申告を行わなければならないこととされています。

従って、赤字になってしまった場合は所得税の確定申告を行い、翌年以降の黒字と相殺するための手続きを行うと良いでしょう。

なお、NISA口座の場合、赤字になったとしても翌年以降の黒字と相殺ができないこととされています。

「特定口座で税金がかかるならまずはNISA口座だね」となりがちですが、NISA口座の場合は赤字を翌年以降の黒字と相殺できないというデメリットがあります。

従って、赤字を出してしまうことを懸念されている場合、特定口座で取引を行うのも一つの方法です。

上記以外にも所得税の確定申告を行ったほうが良い場合、行わない方が良い場合という場合はありますが、特定口座、NISA口座ともに、所得税の確定申告は必須ではないというメリットがあります。

 

参考:日本株と外国株の税金面での比較(法人)

日本株:受取配当等の益金不算入

日本株の場合、受取配当等の益金不算入という制度があります。これは、受け取った配当金の内、一定割合を経費化(益金不算入)することができるという取り扱いです。

法人税などの税金は、会社の利益の一部を国等に支払うものです。その後、会社は以下の図のように、税金を引かれた残りの利益を財源として株主に配当金の支払いを行います。

配当金を受け取った株主(投資家の皆さん)は、受け取った配当金を利益として認識しますが、法人税は利益に対してかかる税金のため、受け取った配当金について改めて税金がかかってしまいます(上記図の右部分の税金)。

投資先が儲けた利益に税金がかかり、その利益を財源とした配当金に改めて税金がかかるということは、いわば上記の図のように、投資先が稼いだ利益に対して2回税金がかかる(二重課税)状態となっています。税金のルールは難しいですが、稼いだ利益に対してかける税金は基本的に1回のみというルールがあります。従って、配当金の一部経費化を認めることによって株主の利益になる金額を減らし、多額の税金がかかることをある程度防止しています。

 

外国株:配当金の経費化ができない

外国株についても日本株と同様に、外国子会社配当等の益金不算入という制度があります。これは、受け取った配当金の95%を経費化することができる制度です。ただし、投資の場合にはこの制度を活用することができません。株式の保有比率が25%以上などの要件を満たさないとこの経費化制度が使えませんが、一般的な投資の場合はこの保有比率の要件を満たすことができないからです。

 

参考:株にかかる配当金の経費化メリットは少ない(法人)

日本株の配当金経費化は、外国株と比べると一見素晴らしい制度に見えますが、実はあまり大きなメリットはありません。

デメリット1.税金への影響額は投資額×0.3%以下

配当金について経費化できる割合は、通常受け取った配当金の20%と低いです。

配当金20%に対する法人税等の税率が30%とした場合、受け取った配当金の6%(=20%×30%)しか税金には影響しません。6%というと大きく感じるかもしれませんが、日本株における配当金の利回りというのはとても低いです。日本株の配当利回りは大体1%、ミクシィのような超高配当銘柄であっても5%程です。

つまり、税金に影響するのは投資額の0.3%(配当利回り5%×経費率20%×法人税等30%)以下です。1,000万円を投資して税金に影響するメリットが3万円というのは、メリットが無いといっても良いのではないでしょうか。

デメリット2.キャピタルゲイン課税はどちらも変わらない

配当金の経費化は、あくまでも配当金(インカムゲイン)に限ったお話です。株価の上昇による売却利益(キャピタルゲイン)部分については日本株、外国株どちらも同様です。

これらのことから、日本株と米国株、どちらを会社で保有したとしても税金面では大きな違いはありません。税金面におけるメリットを考えるよりも、純粋に利益が出せる銘柄の選定の方がよほど重要でしょう。

 

株式投資は融資を受けにくい

株式投資は現物を持たない「ペーパーアセット」と呼ばれることもあります。

このようなペーパーアセットについては、一般的に融資を受けることができません。受けられる場合であっても、基本的には富裕層の方に限られます。

一方で、太陽光発電設備などのハードアセットは比較的融資を受けやすいというメリットがあります。

融資を受けるためリスクは高くなる方法ですが、最近では検討される方も増えてきています。

太陽光発電は、まずは相場観などを知ることが大切です。詳しくは「太陽光発電は儲かる? 信販会社(アプラス、ジャックス)など税理士が解説」をご覧ください。

 

注意事項
※1 本記事は2019年7月現在の法令等に基づき記載しております。
※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しております。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失については弊社では一切の責任を負いかねます。

 

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投稿者プロフィール

税理士 坂根崇真
税理士 坂根崇真
【プロフィール】
一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事
税理士

【寄稿実績など】
Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE
会計人コースWeb、事業承継・M&AならBatonz(バトンズ) 専門家コラム、名古屋大原学園 大原簿記情報医療専門学校

【メディア出演実績】
01CHANNEL(株式会社ウェイビー運営)
税理士2.0 AKIRAチャンネル(レッドスターコンサルティング株式会社運営)
TAKA World Peace(株式会社グローバルマーケット運営)

【著書】
相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (2021年3月発売予定)

【メディア運営】
税理士による相続メディア:あんしん相続税 などを運営(合計:月間10万PV)

【経歴等】
業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人の出身であり、売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験も多数あり、創業から上場まで対応が可能である。
また、士業など専門家1,500人以上の団体「全国第三者承継推進協会」の理事に就任し、後継者不在の会社の第三者承継を推進している。
その他、Twitterでは1万人のフォロワーを有しており、経営者や士業が年間数百名参加する交流会を開催している。

【事務所情報】
ブラッシュメーカー会計事務所:東京・神田にオフィスを構える税理士事務所です。

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