大変な給与計算の流れを起業に強い税理士が解説
経営を行ううえで大変な手続きの一つとして、給与計算が挙げられます。
サラリーマン時代は、会社から給料が振り込まれる際,以下のような給与明細書が発行されていたことでしょう。
給料は、基本給や残業代などの総支給額から、社会保険料や源泉所得税などが天引き(控除)されて振り込まれます。
ご自身が経営者になったのであれば、従業員に対して給料を支払う際、これらの社会保険料や源泉所得税を天引きすべき金額も計算しなければなりません。
この記事では、大変な給与計算の流れについて、要点をご紹介します。
給与計算の流れは複雑で大変
社会保険料を計算する
まず従業員ごとに、給料から天引きすべき社会保険料を計算する必要があります。
具体的には上記の表に当てはめて計算を行いますが、これが意外と厄介です。
給与支給額が大きくなるにつれて社会保険料の金額はあがりますが、当然従業員によって支給する給与額が異なります。従って、従業員ごとに天引きすべき社会保険料を計算する必要があります。ご自身1人だけの給料であればまだしも、従業員が10人、100人といると、本業に割くべき時間を取られてしまいます。
なお、毎月の給料は残業代(時間外手当)などによって変動するため、事前に標準報酬月額というものを算定し、1年間同額の社会保険料を天引きすることが原則となっています。ただし、通常の経営者であれば”標準報酬月額って何?”というところから始まりますので、社会保険料の勉強に時間を割くぐらいであれば,専門家の手を活用することで時間もコストも削減できるでしょう。
雇用保険料を計算する
給料からは雇用保険料というものも天引きします。雇用保険料は業種によって保険料率が異なり、毎月の賃金総額ベースで算定を行います。
源泉所得税を計算する
社会保険料、雇用保険料を計算した後は、今度は源泉所得税を計算する必要があります。源泉所得税もまた、以下の表に当てはめて計算を行います。
上の方に”扶養親族等の数”と記載がありますが、配偶者の方やお子さんなど,何人扶養しているかによって天引きすべき源泉所得税の金額は異なります。
また、源泉所得税は給料から社会保険料と雇用保険料を控除した後の金額をベースに計算を行います。つまり、従業員の個別事情に応じて給料の総支給額の計算、社会保険料の計算、雇用保険料の計算を行ってからでないと、源泉所得税の計算ができないという大変な流れになっています。
住民税の特別徴収
よく新卒2年目から住民税がとられると言いますが、個人住民税についても原則として給料から天引き(特別徴収)して支払います。これは区役所等から天引きすべき金額の連絡が来ます。
従業員に給料を振り込む
給与の総支給額から、上記で計算した社会保険料や源泉所得税などを差し引き、従業員の預金通帳に振り込みます。
給与計算は社会保険労務士(社労士)に依頼することをお勧め
給与計算の要点を解説しましたが、実際はもっと複雑で大変です。
給与計算は経営を行ううえで避けて通れませんが、ここに時間をかけていては本業に集中することができません。
そんなときは専門家の手を活用することをお勧めします。
現在はシステムによって給与計算の手続きが簡便化していますが、やはり従業員の個別事情の設定は必要であり、また、最後は人の目でチェックを行う必要があるため大変です。
給与計算業務や社会保険関係の書類提出などの手続きは,社会保険労務士(社労士)が得意とする分野です。
ブラッシュメーカー会計事務所は各種士業とのネットワークを持っているため、提携している社会保険労務士事務所と協同し、給与計算から年末調整までトータルでの対応が可能です。
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源泉所得税とは?毎月面倒な納付が必要:起業に強い税理士が解説
給与支給時に天引きを行う源泉所得税は、毎月計算し、毎月納付を行わなければならないため大変です。
会社規模が大きくなってきたら、経理担当を企業内部に置くことによって、給与計算や経費精算などは自社内で完結できるようにすることをお勧めします。
注意事項 ※1 本記事は2019年7月現在の法令等に基づき記載しています。 ※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しています。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。 ※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失については、弊社では一切の責任を負いかねます。
投稿者プロフィール

- 【プロフィール】
一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事
税理士
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【メディア出演実績】
01CHANNEL(株式会社ウェイビー運営)
税理士2.0 AKIRAチャンネル(レッドスターコンサルティング株式会社運営)
TAKA World Peace(株式会社グローバルマーケット運営)
【著書】
相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (2021年3月発売予定)
【メディア運営】
税理士による相続メディア:あんしん相続税 などを運営(合計:月間10万PV)
【経歴等】
業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人の出身であり、売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験も多数あり、創業から上場まで対応が可能である。
また、士業など専門家1,500人以上の団体「全国第三者承継推進協会」の理事に就任し、後継者不在の会社の第三者承継を推進している。
その他、Twitterでは1万人のフォロワーを有しており、経営者や士業が年間数百名参加する交流会を開催している。
【事務所情報】
ブラッシュメーカー会計事務所:東京・神田にオフィスを構える税理士事務所です。
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