税務調査の確率を下げる(書面添付制度)

誰もが嫌がる税務調査

特に、初めて税務調査を受ける場合、何か悪いことをしてしまったのかと思う方も少なくありません。また、初めてでなくても、経営者はもちろん、経理担当者も自分たちの業務が滞るため嫌がります。

今回は、税務調査が行われる確率を下げる可能性を秘める、書面添付制度についてご紹介します。

税務調査について、簡潔に

税務調査とは

なるべく簡潔に、流れに沿ってご説明します。

会社は法人税などの確定申告を年に1度行わなければなりませんが、その確定申告手続きは、会社が”自主的に”、支払うべき税金の計算や書類の提出を行う必要があります。

すなわち、税務署に提出した申告書の記載内容は、会社の良心に委ねられる部分が多いと言えます。ただし、それだけでは脱税を働く人が後をたちません。

従って、税務署に提出した申告書の記載内容に誤りが無いか、漏れが無いかや、税法の見解が納税者(会社)と税務署で相違が無いか等を数年に一度、税務署の調査官が確認に来ます。なぜなら、税務署に提出する書類は会社の取引情報のほんの一部だけであり、また、書類だけで判断ができない情報も多いからです。従って、税務署の調査官が会社に出向き、様々なチェックを行います。

なお、税務調査にはいくつか種類がありますが、一般的には税理士に連絡が来て、その後、日程調整を行い会社訪問、聞き込み等が始まる流れが一般的です。テレビで見るような急に押し入ってくるケースは稀です。

税務調査のどこが嫌なのか

税務調査は皆が嫌います。

税務調査が行われると、数日間にわたって従業員等に対する聞き込みや色々なあら探しが行われます。つまり、経営者や従業員の手がストップし、業務が滞ります。

また、業務が滞るだけでなく、お金の面でも嫌われます。申告書の内容に誤りや漏れ,税務署の意見と相違があり、会社が折れる場合などは申告書を修正し、罰金などを支払うことになります。

なお、これは税理士がついているから大丈夫、というものではありません。

会社のことを一番わかっているのは税理士ではなく、社長や経理担当者、あるいは営業担当の従業員など、会社の経営に関わる人です。税理士が普段見ているものは単なる書類であり、税理士がついていても税理士と会社のコミュニケーションがとれていなかったり、会社が用意する資料に不足がある場合、社内の業務フローに問題がある場合など、修正を行う機会は珍しいものではありません。

だからこそ、税理士ときちんとコミュニケーションをとって経営を行うことで、不要な税金の支払いを抑えることにつながります。

書面添付制度の活用

書面添付制度を活用するメリット

税理士がどの程度関与しているかを示す資料として、書面添付制度というものがあります。

これは、税理士が顧問先からいただいた資料について、どの程度資料を確認しているかや、どういった相談内容に応じたか等を税理士が税務署に書面で報告する仕組みです。

この仕組みを活用することで、会社が良好な経営を行っており、脱税の意識が無いことなどを示し、会社の信頼度を高めることができます。

具体的なメリットとしては、会社の信頼度が高まることによって結果的に税務調査が省略される(税務調査が行われない)ことや、税務調査の期間が短縮されることもあります。また、金融機関からの評価があがる(融資を受けやすくなったりする)ケースもあるようです。

もう少し、具体的に確認していきましょう。

税務調査期間の短縮・税務調査の省略

書面添付制度を活用した場合、ただ単純に申告書を提出した場合と比べ、税理士がどのレベルで関与しているかを税務署が確認することができるため、提出した申告書の信頼度が高まります。

また、ただ信頼度が高まるだけでなく、税務調査を行う前に、添付した書面の内容について原則として”税理士”に意見聴取を行わなければならないこととなっています。

この、税理士に対する意見聴取の1ステップが増えることで、税務署の調査官の疑問が解決した場合、税務調査が行われる期間(日数)が短くなったり、税務調査が省略される(税務調査が行われない)場合もあります。

税務調査は短くて1日、長ければ数週間にわたって行われることもあります。税務調査が長引くと経理部や経営者の時間がとられ、大きな負担となりますので、税務調査の省略や税務調査期間が短縮されることは大きなメリットとなります。

融資条件の向上

金融機関は決算書や申告書の数字などを基に融資審査を行いますが、その他に、経営者の熱意や計画性なども同じく重要視されます。

書面添付制度を活用する場合、会社の経営状況などをより具体的に金融機関が把握できるため、融資条件(返済期間や金利、融資額などの条件)が良くなることがあるようです。

金融機関は、会社に貸したお金を返済してくれるかどうかを判断するために会社の事業内容を理解したいと考えています。従って、書面添付制度を活用することによって会社の事業内容をより深く理解してもらうことができれば、融資判断の後押しをすることができるでしょう。

書面添付制度活用のデメリット

書面添付制度に、これといったデメリットはありません。ただし、以下のような留意点があります。

ただ書面添付を行えば良いというわけではない

税理士との信頼関係が構築できていない場合、書面添付制度を活用することができません。この制度は、決算書や申告書の作成にあたって税理士がどの程度のレベルで関与しているか等を書類に残す必要があるからです。

従って、税理士に話せない秘密がある、税理士との面談頻度が少なく、あまり経営状況について話し合っていない場合などは書類に記載できる内容が限られます。

つまり、信頼関係が構築できていない場合は中身が無い書類になり、税務調査が入る可能性を減らすことができない場合もあります。書面添付制度を活用するためには、ただ申告書を作成するだけでなく、様々な情報が必要になることから、顧問税理士からいつも以上に色々と確認が行われることになります。

もちろん、税理士との信頼関係が深まれば税務調査リスク等の低減はもちろん、客観的に見た会社の経営上の弱点に対するアドバイス、税務面からの今後のアドバイスをくれることもあるでしょうから、悪いことはありません。

費用がかかる

書面添付制度を活用するためには通常の申告書の作成に留まらず、税理士がより詳細に会社の状況を把握する必要があります。すなわち、経営者・経理担当者と税理士の密なコミュニケーションが必要になるため、相談コスト等がかかります。

支払う料金と、税務調査の省略メリット・税務調査時の罰金等の防止の観点からの兼ね合いになるでしょう。

まとめ

以上、書面添付制度についてご紹介しましたが、いかがでしょうか。
やましいことがない経営者であっても、税務調査は時間がとられ、また、罰金などを支払うリスクがあるため嫌なものです。従って、税務調査を省略できる可能性があるなら一考の余地がある制度と言えるでしょう。

なお、再度述べますが、書面添付制度はただ書類を添付しただけで、会社の信頼度があがったり税務調査リスクが低減するものではありません。その前提にあるのは、税理士と経営者、経理担当者との密なコミュニケーションです。

従って、例えば以下のように中身が無い書面の添付では効果がありません。

・定型的な文章を毎年記載している
・空欄が多い
・記載されている内容が具体的でない
・そのお客さん特有の内容が記載されていない(どのお客さんに対しても記載内容が同じ)
経営状況や業種・業態などを加味していない

申告書や決算書の作成は、手を抜こうと思えば手を抜くことができる場合もあります。ただし、それは税務調査で問題にならないよう、あえて多めの税金を支払っていたり(気がつかないうちに会社が損をしていたり)、決算書などが適当に作られていた結果、税務調査が行われた際に問題になり、多額の罰金を支払う羽目になる場合もあります。

書面添付制度の活用にあたっては上記の内容を理解することはもちろん、書面添付制度を活用しない場合であっても、税務調査が行われた際のリスクを減らすためには経営者・経理担当者と税理士の普段からのコミュニケーション、信頼関係の構築が不可欠です。

私たちブラッシュメーカー会計事務所は、数々の大企業の申告書作成を手掛けてきた経験を持つ税理士が在籍しており、税務リスク低減のため、書面添付制度の活用を推進しています。まずはこちらから、お問い合わせください。

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起業家必見!顧問税理士の選び方ガイド(前編)

書面添付制度は、法人税の申告においては全法人の10%しか活用されていない制度です。それは、手間がかかるから、コストがかかるからといった問題もありますが、相談しにくい税理士であり、コミュニケーションがとれていないからといったケースも少なくありません。

経営を行ううえで税金の問題は必ずついて回りますので、相談しやすい税理士を探すことをお勧めします。

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注意事項
※1 本記事は2019年9月現在の法令等に基づき記載しております。
※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しております。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失について、弊社では一切の責任を負いかねます。

 

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投稿者プロフィール

ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
ブラッシュメーカー会計事務所 共同代表・税理士 坂根崇真
税理士法人山田&パートナーズ、業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人を経験後、ブラッシュメーカー会計事務所を共同で創業。
法人と個人の税率差を活かした相続税の生前対策やシミュレーション、売上数千億円規模の大企業の税務相談・申告書作成など、幅広い業務提供の経験を有する。
現在は代表の河野と共に、主にベンチャー企業・中小企業向けに税務相談・申告書作成や財務コンサルティング業務を提供している。

ブラッシュメーカー会計事務所は、東京・市ヶ谷にオフィスを構える税理士事務所です。

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