起業資金はいくら用意すべきか。起業時の資金準備について税理士が解説

起業にあたって、準備しなければならないことはたくさんあります。

仕入先・販路の確保、会社のWebページ作成、オフィスの賃借費用など、どれもこれも準備にお金がかかります。

売上をあげるためには、まずこれらの支払いが先行します。

この記事では、次の2点について税理士の坂根が解説します。

  • 起業時にいくらお金が必要か
  • リスクが少ない資金調達方法

起業にあたってのハードルはお金の問題であることが半数以上

上記は日本政策金融公庫の刊行物「2018年度起業と起業意識に関する調査」のアンケート結果です。

起業に関心がある方のうち、起業をためらっている理由として「自己資金の不足」を挙げている方が53.1%います。

続いて「失敗時のリスクが大きい」が35.5%、「ビジネスのアイデアが思いつかない」が33.6%。

これらが、起業をためらっている理由として挙げられています。

「ビジネスのアイデアが思いつかない」はどうしようもありませんが、上記を見る限り、失敗時のリスクというのは基本的にお金の話に集約されていると言って良いでしょう。

業種等によって必要な資金は大きく異なる

当たり前の話ですが、業種等によって必要な資金は異なります。

パソコンがあればとりあえず問題ないという方もいれば、アパレル産業など,販売する商品が無ければ売上がたたないという方もいるでしょう。まずはご自身の起業にあたって、いくら資金が必要であるかをよく考えておく必要があります。

起業時、借入をしない方が約8割

先ほどと同じ、日本政策金融公庫のアンケート結果です。

半数以上の方が自己資金100万円未満で起業しており、また、起業される方の約8割が借入を行っていないようです。

ただし、これをそのまま鵜呑みにしてはいけません。売上が立たなければ自身の生活費を賄うこともできないからです。

つまり、これらの方は起業当初から販路を確保しており、売上が確実にあがる見込みがある、若しくは初期費用がそこまでかからないビジネスを行っている方と言えるでしょう。

もちろん、少ない自己資金で開業できる時代になったとはいえ、カフェや飲食店、或いは製造業などであれば、店舗の内装や仕入コスト等で多額の開業資金が必要になる点には注意が必要です。

いずれにせよ、一般的に100万円では自己資金に手を付けることになる可能性が高く、また、ビジネススケールを大きくしたい場合は当然100万円では足りません。

従って、資金が不足する場合は、融資等により資金調達を行う必要があります。

会社を経営するうえでの会社の維持コスト

会社経営は、必ずしもうまくいくとは限りません。

また、輝かしいビジョンがあっても、「今」潤沢な売上があるか、資金繰りに困っていないか、というのは別のお話しです。

続いては、会社の資金を減らしていく、会社の維持コストについて確認を行っていきます。

売上が無くても、会社の維持コストはかかる

個人事業主として活動してきた、以前の勤務先からお客さんを引き継いできた、開業前に入念に準備を行ってきた。

そういった方は、開業時からある程度の売り上げが見込めるでしょう。

しかし、そうでない場合、一から販路を開拓しなければなりません。

自ら販路を開拓することは容易でなく、売上があがるまで、お金は湯水のごとく消えていきます。

会社の家賃や従業員の給料、そして、当然ながら自身の家族の生活費もあります。

何カ月売上が無くても耐えられるか、いくら資金が必要かは開業前に検討を行っておかなければなりません。

会社は赤字でも税金がかかる

会社が儲けた利益については、2割~3割を、「法人税等」として国等に支払う仕組みになっています。

上記だけ読むと、「赤字の場合は税金を支払う必要が無い」と考えた方もいるかもしれません。

確かに、基本的な考え方としてはその通りです。

しかし、現実はそう甘くありません。

会社は赤字であっても、維持費として最低で年間7万円の税金(法人住民税)を支払わなければなりません

もちろん、法人税以外にも様々な種類の税金がありますが、最低限、この7万円の支払いがあることを覚えておく必要がありますき。

赤字の時期を乗り切るためには、当たり前ですが、早期に売上をあげて黒字化することが求められます。

資金が底をつく前に経営方針を立てなおしましょう。

リスクが少ない融資で資金調達を行う

起業にあたって自己資金が足りない場合、やはり融資を受ける(お金を借りる)のが手っ取り早いです。

お金を借りるというのは、日本人の感覚からすると敬遠されがちであり、また、自社の借金の連帯保証人になるというのも、ハードルが高いでしょう。

しかし、これらをどちらも解決できる手段があります。

日本政策金融公庫の新創業融資では、無担保無保証の融資制度を取り扱っています。

仮にビジネスがうまくいかなかった場合も代表者個人には責任が及ばず、また、融資利率も2%台程度と良心的なため、ある程度売り上げが立てば十分返済できるレベルです。

このような制度を活用することができれば、自己資金の問題と失敗時のリスクを共に解消することができます。

自己資金があっても融資をお勧め

生活資金が意外と苦しい

ビジネスが軌道に乗るまでは、お金の支払いが先行します。

また、当然ながら、売上がなくても家族の生活、そして従業員の生活があります。

売上が無ければお金はどんどん減っていくため、節約志向に陥ることがあります。

もちろん、節約そのものが悪いわけではありません。

ただし、広告活動や交際費など、販路拡大のためには大抵お金が必要です。

お金がないからと必要な支払いを渋っていては、いつまでたっても販路を拡大させることができず、じり貧になっていきます。

自身の貯蓄のみを基にビジネスを始めた場合、支払いを渋り、いつまでも売上が伸びず、数か月で撤退を余儀なくされることも少なくありません。

お金のゆとりは心のゆとり

起業する際は、自己資金にある程度余力があっても融資を受けることをお勧めします。

事業用の融資は、モノにもよりますが、せいぜい2%程度の利率です。

仮に500万円借りたとしても、年間の利息は2%の場合で10万円(500万円×2%)です。

この10万円、「もったいない」と思う方もいるかもしれません。

しかし、お金に余裕がなくなると心のゆとりも無くなるため、本業に集中することができません。

特に、起業当初はすぐに売上があがらなければ、起業当初の資金があっという間に枯渇します。

稼ぎたいお金は、10万円どころではなく、何千万円、何億円、そういった世界ではないでしょうか。

会社を立ち上げる際は、中途半端な気持ちでいてはビジネスの成功は難しいです。覚悟を持って臨みましょう。

借金(融資)は悪いことではない

悪い借金

一般的に、「借金」というと悪いイメージしか無いでしょう。

「俺、借金1,000万円抱えていて・・・」そんなことを言えば、ふつうの方は危ない人だと思い、離れていくかもしれません。

確かに、その1,000万円の使い道がギャンブルだったらそうでしょう。

しかし、優秀な経営者であれば、何千万円とお金を借りていることは少なくありません。

良い借金

「会社を作りたい。明確なビジョンがあるけれど、サラリーマン生活では開業するためのお金が用意できない。」

「1,000万円の最新型の機械を導入したいが、手元にお金が無い。この機械を導入できれば1,500万円の経費削減ができるのに。」

このようなケースであれば、むしろお金を借りた方が良いのではないでしょうか。

利息以上の儲けを出せば何の問題もありません。

一時的にカードローンを利用するケースもある

起業当初、お金が足りず、やむなくカードローンを利用するケースもあります。カードローンのデメリットは金利が比較的高いことですが、融資審査が早いため、いざというときに使う方もいます。その場合は「マネット」等を利用し、できる限り金利の低いカードローンを選択すると良いでしょう。

 

低利率でお金を借りるには?

日本政策金融公庫からお金を借りよう

日本政策金融公庫、長い名前でわかりにくいですが、政府系の銀行だとお考えください。

日本政策金融公庫の利率は、だいたい2%台ですが、中には1%台で融資を受けられることもあります。

借りたお金を元手に、この2%の利息以上の利益を生み出せるのであれば、借りてしまって問題ないでしょう。

というよりも、この程度の利率であれば事業を行っていれば当然に回収できるはずなので、借りた方がお得です。

例えば5年物の米国国債ですら、今の利回りが約2.2%です。言い換えれば、融資を受けて米国国債の運用をするだけで利益が出てしまいます。

実際には、投資商品のためにお金を貸してくれはしませんが、こんなに美味しい話は、中々ありません。

 

長期的にビジネスを続けていくうえでは、単純な利率のみでなく、地銀などとの関係性構築のために融資を受けておくことも考えられますが、最初は日本政策金融公庫からお金を借りることが多いでしょう。

税理士に依頼したほうがお金を借りやすい

日本政策金融公庫に限った話ではありませんが、お金を借りる際はご自身ですべて対応されるより、税理士などに依頼した方が融資の審査が通りやすいです。

なぜなら、ご自身で会社の事業計画を作成することが難しいことや、日本政策金融公庫などの担当者と税理士が直接交渉し、お金を借りられそうかどうか事前にすり合わせを行ってくれたりします。

また、ただ単に日本政策金融公庫の担当者に会社の決算書を提出するのではなく、お金を借りやすい決算書の作り方というのがあるので、そのサポートも受けた方が、よりお金を借りやすくなるでしょう。

融資のサポートは税理士業務ではないため、対応していない事務所も多いです。しかし、ブラッシュメーカー会計事務所では、起業家の支援に力を入れているため、補助金申請のサポートや融資支援のサポート業務も積極的に行っています。

最後に

今回は、起業資金についての参考水準と、資金調達方法についてご紹介いたしました。

 

なお、ブラッシュメーカー会計事務所では、株式会社の設立から融資のサポート。そして、起業家を支援するための独自の取り組みなどを行っています。

これから起業をお考えの方は、ぜひ、お問い合わせください。

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注意事項
※1 本記事は2019年7月現在の法令等に基づき記載しております。
※2 本記事は一般的なケースに基づき記載しております。実際の申告等にあたっては顧問税理士等へご相談ください。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失については弊社では一切の責任を負いかねます。

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投稿者プロフィール

税理士 坂根崇真
税理士 坂根崇真
【プロフィール】
一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事
税理士

【寄稿実績など】
Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE
会計人コースWeb、事業承継・M&AならBatonz(バトンズ) 専門家コラム、名古屋大原学園 大原簿記情報医療専門学校

【メディア出演実績】
01CHANNEL(株式会社ウェイビー運営)
税理士2.0 AKIRAチャンネル(レッドスターコンサルティング株式会社運営)
TAKA World Peace(株式会社グローバルマーケット運営)

【著書】
相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (2021年発売予定)

【メディア運営】
税理士による相続メディア:あんしん相続税 などを運営(合計:月間10万PV)

【経歴等】
士業など専門家1,500人以上の団体の理事に就任している。業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人の出身であり、売上高数千億円規模の外資系企業の申告や、個人資産百億円規模の方の税務相談経験も多数あり、創業から上場まで対応が可能である。また、Twitterでは1万人のフォロワーを有しており、経営者や士業が年間数百名参加する交流会を開催する等、強い影響力を持っている。

【事務所情報】
ブラッシュメーカー会計事務所:東京・神田にオフィスを構える税理士事務所です。

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