【税制改正速報】令和3年度税制改正大綱 個人所得課税
令和3年度税制改正大綱 具体的内容 個人所得課税についてまとめました。
ポイント
- 住宅ローン控除関連の改正
- 私募債の利子にかかる所得区分を分離課税から総合課税に
- 従業員の退職所得控除について、役員と同じく勤続年数5年以下であれば1/2課税なしに(ただし、退職所得控除後の金額が300万円以内の部分については1/2課税を行うため、一般の従業員については実質影響なし)
- 個人住民税において、特定口座における配当と株式等譲渡所得金額に係る所得の全部について源泉分離課税(申告不要)とする場合に、所得税の確定申告書の提出のみで申告手続が完結できるよう、所得税の確定申告書における個人住民税に係る附記事項を追加する。
なお、令和3年度税制改正大綱の基本的考え方については、【税制改正速報】令和3年度税制改正大綱の記事をご覧ください。
1住宅・土地税制
(国税)
〔拡充等〕
(1)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、次の特例措置を講ずる。
①住宅の取得等で特別特例取得に該当するものをした個人が、その特別特例取得をした家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び当該控除の控除期間の3年間延長の特例を適用できることとする。
(注)上記の「特別特例取得」とは、その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等で、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める期間内にその契約が締結されているものをいう。
イ 居住用家屋の新築令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間
ロ 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの若しくは既存住宅の取得又はその者の居住の用に供する家屋の増改築等令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間
②上記①の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例は、個人が取得等をした床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋についても適用できることとする。ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋に係る上記①の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例は、その者の13年間の控除期間のうち、その年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用しない。
(注1)上記①及び②について、その他の要件等は、現行の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除と同様とする。
(注2)上記①及び②について、認定住宅の新築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例及び東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例についても同様の措置を講ずる。
③要耐震改修住宅の取得をして耐震改修をした場合の特例、年末調整に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除その他の措置について、所要の措置を講ずる。
(2)税務署長が納税者から提供された既存住宅等に係る不動産識別事項等を使用して、入手等をした当該既存住宅等の登記事項により床面積要件等を満たすことの確認ができた住宅を、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の対象となる既存住宅等に含めることとする。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に確定申告書を提出する場合について適用する。
(3)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴い、次の措置を講ずる(次の③の措置については、法人税についても同様とする。)。
①火災に対する安全性が不足するマンション及び外壁の剥落等により危害を生ずるおそれのあるマンションが対象に追加されたマンション敷地売却事業を実施する者に対する土地等の譲渡について、引き続き優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の対象とする。
②上記①のマンション敷地売却事業に伴い交付された権利の消滅に対する補償金について、引き続き移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入の対象とする。
③換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の適用対象に、敷地分割事業が実施された場合においてその資産に係る敷地権利変換により除却敷地持分等を取得したときを加える。
④割引債の差益金額に係る源泉徴収等の特例について、支払を受ける割引債の償還金につき所得税の納税義務者となる内国法人の範囲に、敷地分割組合を加える。
⑤その他所要の措置を講ずる。
(4)都市計画法等の改正を前提に、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
①一団地の都市安全確保拠点施設(仮称)が都市施設に追加された後の都市計画事業により土地等が買い取られる場合について、引き続き収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
②浸水被害防止区域(仮称)、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域及び急傾斜地崩壊危険区域が追加等された後の移転促進区域内にある農地等が集団移転促進事業計画に基づき地方公共団体に買い取られる場合について、引き続き特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の対象とする。
(5)電気事業法等の改正に伴い、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
①土地収用法及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の対象事業に配電事業が追加された後も引き続き、土地収用法の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の使用の認可に関する処分に伴い一定の補償金を取得する場合を収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
②収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等に係る簡易証明制度の対象に、配電事業の用に供するために設置される一定の施設に関する事業に必要な土地等を加える。
③その他所要の措置を講ずる。
〔縮減等〕
特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(法人税についても同様とする。)。
(1)適用対象から開発許可を受けて行われる一団の宅地造成事業を除外する。
(2)適用対象となる土地区画整理事業として行われる一団の宅地造成事業について、その土地区画整理事業として行われる一団の宅地造成事業の施行地区の全部が市街化区域に含まれる場合に限定する。
(地方税)
〔拡充等〕
(1)個人住民税の住宅借入金等特別税額控除について、次の特例措置を講ずる。
①住宅の取得等で特別特例取得に該当するものをした個人が、その特別特例取得をした家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合における、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び当該控除の控除期間の3年間延長の特例の適用がある者のうち、適用年の各年分の住宅借入金等特別税額控除額から当該年分の所得税額(住宅借入金等特別税額控除の適用がないものとした場合の所得税額とする。)を控除した残額があるものについては、翌年度分の個人住民税において、当該残額に相当する額を当該年分の所得税の課税総所得金額等の額に100分の7を乗じて得た額(最高13.65万円)の控除限度額の範囲内で減額する。
また、この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。
(注)上記の「特別特例取得」とは、その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等で、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める期間内にその契約が締結されているものをいう。
イ 居住用家屋の新築令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間
ロ 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの若しくは既存住宅の取得又はその者の居住の用に供する家屋の増改築等令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間
②その他所要の措置を講ずる。
(2)個人住民税の住宅借入金等特別税額控除の対象となる既存住宅等の確認方法について、所得税における見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
(3)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴い、次の措置を講ずる。
①火災に対する安全性が不足するマンション及び外壁の剥落等により危害を生ずるおそれのあるマンションが対象に追加されたマンション敷地売却事業を実施する者に対する土地等の譲渡について、引き続き優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の対象とする。
②上記①のマンション敷地売却事業に伴い交付された権利の消滅に対する補償金について、引き続き移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入の対象とする。
③換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の適用対象に、敷地分割事業が実施された場合においてその資産に係る敷地権利変換により除却敷地持分等を取得したときを加える。
④その他所要の措置を講ずる。
(4)都市計画法等の改正を前提に、次の措置を講ずる
①一団地の都市安全確保拠点施設(仮称)が都市施設に追加された後の都市計画事業により土地等が買い取られる場合について、引き続き収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
②浸水被害防止区域(仮称)、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域及び急傾斜地崩壊危険区域が追加等された後の移転促進区域内にある農地等が集団移転促進事業計画に基づき地方公共団体に買い取られる場合について、引き続き特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の対象とする。
(5)電気事業法等の改正に伴い、次の措置を講ずる。
①土地収用法及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の対象事業に配電事業が追加された後も引き続き、土地収用法の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の使用の認可に関する処分に伴い一定の補償金を取得する場合を収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
②収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等に係る簡易証明制度の対象に、配電事業の用に供するために設置される一定の施設に関する事業に必要な土地等を加える。
③その他所要の措置を講ずる。
〔縮減等〕
特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
(1)適用対象から開発許可を受けて行われる一団の宅地造成事業を除外する。
(2)適用対象となる土地区画整理事業として行われる一団の宅地造成事業について、その土地区画整理事業として行われる一団の宅地造成事業の施行地区の全部が市街化区域に含まれる場合に限定する。
2金融・証券税制
(国税・地方税)
〔延長・拡充等〕
(1)障害者等に対する少額貯蓄非課税制度について、次の措置を講ずる。①次に掲げる書類の金融機関の営業所等に対する書面による提出に代えて、金融機関の営業所等に対して当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該書類の提出があったものとみなす。
イ(特別)非課税貯蓄申込書
ロ(特別)非課税貯蓄申告書
ハ(特別)非課税貯蓄限度額変更申告書
ニ(特別)非課税貯蓄に関する資格喪失届出書
ホ(特別)非課税貯蓄申込書を提出する者が告知をすべき事項を記載した帳簿の作成に係る申請書
ヘ(特別)非課税貯蓄申込書を提出する者が告知をすべき事項を記載した帳簿の記載事項の変更届出書
ト(特別)非課税貯蓄に関する異動申告書
チ(特別)非課税貯蓄廃止申告書
リ(特別)非課税貯蓄者死亡届出書
ヌ(特別)非課税貯蓄相続申込書
②金融機関の営業所等の長が非課税貯蓄申告書等の写しを作成し、当該書類の写しを保存することに代えて、当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を作成し、当該電磁的記録を保存できることとする。
③その他所要の措置を講ずる。
(2)次に掲げる書類の公社債等の利子等の支払をする者等に対する書面による提出に代えて、公社債等の利子等の支払をする者等に対して当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該書類の提出があったものとみなす。
①公社債等の利子等の非課税申告書
②国外公社債等の利子等の源泉徴収不適用申告書
③金融機関が支払を受ける収益の分配に対する源泉徴収不適用に係る明細書
④公募株式等証券投資信託の受益権を買い取った金融商品取引業者等が支払を受ける収益の分配に係る源泉徴収不適用申告書
(3)同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊の関係のある個人及びその親族等が支払を受けるものを、総合課税の対象とする。また、当該個人及びその親族等が支払を受けるその同族会社が発行した社債の償還金についても、総合課税の対象とする。
(注1)上記の「法人と特殊の関係のある個人」とは、法人との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある個人等をいう。
(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後に支払を受けるべき社債の利子及び償還金について適用する。
(4)勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄非課税制度について、次の措置を講ずる。
①勤労者等、勤務先の長、事務代行先の長又は金融機関の営業所等の長(以下①において「提出者」という。)は、次に掲げる書類について、当該書類の提出を受けるべき者に対し、書面による提出に代えて電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、その提出者は、当該書類を提出したものとみなす。
イ財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申込書
ロ財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書
ハ財産形成非課税住宅(年金)貯蓄限度額変更申告書
ニ財産形成非課税住宅(年金)貯蓄に関する異動申告書
ホ財産形成非課税住宅(年金)貯蓄の勤務先異動申告書
ヘ転職者等の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄継続適用申告書ト海外転勤者の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄継続適用申告書チ海外転勤者の(特別)国内勤務申告書
リ育児休業等をする者の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄継続適用申告書ヌ育児休業等期間変更申告書
ル財産形成非課税住宅(年金)貯蓄廃止申告書
ヲ財産形成年金貯蓄の非課税適用確認申告書
ワ財産形成年金貯蓄者の退職等申告書
カ一回に支払を受ける年金の額を記載した書面
ヨ事業譲渡等に関する書類
タ退職等に関する通知書
レ財産形成年金貯蓄者の退職等申告書に記載した氏名等に変更があった場合の届出書
(注1)上記イからヨまでに掲げる書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供は、給与所得者の扶養控除等申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う場合と同様の要件を満たしていなければならない。
(注2)提出者が、上記イからカまで及びレに掲げる書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う場合には、その者の氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。
②財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人につき、当該申告書に記載した勤務先(以下「前の勤務先」という。)から当該前の勤務先以外の勤務先(以下「他の勤務先」という。)への異動があり、かつ、次に掲げる場合に該当する場合には、当該個人の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄の勤務先異動申告書の提出に代えて、当該他の勤務先の長が、当該勤務先異動申告書と同様の事項を記載した書類を、金融機関の営業所等を経由して所轄税務署長に提出することができることとする。
この場合において、当該個人は、当該勤務先異動申告書を提出したものとみなす。
イ 当該異動に係る他の勤務先が、前の勤務先に係る賃金の支払者の国内における事務所等である場合
ロ イに掲げる場合以外の場合であって、当該異動が出向その他の前の勤務先の賃金の支払者に係る勤労者に該当しないこととなる異動を命じられたことによるもの又は前の勤務先の事業の譲渡によるものであるとき(当該個人の財産形成住宅(年金)貯蓄に関する情報の当該他の勤務先への提供依頼等があった場合に限る。)
③財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人につき、当該申告書に記載した賃金の支払者等の名称又は所在地の変更があった場合その他一定の場合には、当該個人の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄に関する異動申告書の提出に代えて、当該個人の勤務先の長が、当該異動申告書と同様の事項を記載した書類を金融機関の営業所等を経由して所轄税務署長に提出することができるという現行の取扱いを法令に規定する。
④その他所要の措置を講ずる。
(5)特定寄附信託の利子所得の非課税措置について、次の措置を講ずる。①次に掲げる書類の特定寄附信託に係る受託者に対する書面による提出に代えて、特定寄附信託に係る受託者に対して当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該書類の提出があったものとみなす。
イ特定寄附信託申告書
ロ特定寄附信託契約の契約書の写し
ハ特定寄附信託異動申告書
②上記①イからハまでに掲げる書類は、特定寄附信託に係る受託者を経由して、当該受託者の営業所等の所在地の所轄税務署長(現行:提出者の住所地の所轄税務署長)に提出しなければならないこととする。
③特定寄附信託の受託者が特定寄附信託申告書等の写しを作成し、当該書類の写しを保存することに代えて、当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を作成し、当該電磁的記録を保存できることとする。
④その他所要の措置を講ずる。
(6)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、次の措置を講ずる。
①特定口座内保管上場株式等移管依頼書の書面による提出に代えて、当該特定口座内保管上場株式等移管依頼書に記載すべき事項を電磁的方法により提供できることとする。
②次に掲げる書類の書面による提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項の提供の際に併せて行うこととされている住所等確認書類の提示又は特定署名用電子証明書等の送信を不要とする。
イ 特定口座源泉徴収選択届出書
ロ 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書
ハ 特定管理口座開設届出書
ニ 特定口座への非課税口座内上場株式等移管依頼書
ホ 特定口座への未成年者口座内上場株式等移管依頼書
ヘ 営業所の移管又は勘定の設定若しくは廃止に係る特定口座異動届出書ト源泉徴収選択口座内配当等受入終了届出書
③源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡等による事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、当該源泉徴収選択口座を開設している金融商品取引業者等に支払う投資一任契約に係る費用を必要経費に算入できることとする。
④その他所要の措置を講ずる。
(注)上記③の改正は、令和4年分以後の所得税について適用する(個人住民税についても同様とする。)。
(7)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。
①次に掲げる書類の書面による提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項の提供の際に併せて行うこととされている住所等確認書類の提示又は特定署名用電子証明書等の送信を不要とする。
イ 金融商品取引業者等変更届出書
ロ 非課税口座廃止届出書
ハ 特定口座以外の他の保管口座への非課税口座内上場株式等移管依頼書
ニ 非課税口座内上場株式等移管依頼書
ホ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書
ヘ 特定累積投資上場株式等受入選択不適用届出書
ト 勘定の変更等に係る非課税口座異動届出書
チ 非課税口座移管依頼書
②平成29年分の非課税管理勘定が設定されている非課税口座を令和3年4月1日において開設している居住者等で、同日においてその者の個人番号を当該非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に告知していないものについて、令和3年分以後の非課税管理勘定又は累積投資勘定を設定するための手続を設ける。
(8)未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)について、次に掲げる書類の書面による提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項の提供の際に併せて行うこととされている住所等確認書類の提示又は特定署名用電子証明書等の送信を不要とする。
①未成年者口座廃止届出書
②未成年者口座内上場株式等移管依頼書
③特定口座以外の他の保管口座への未成年者口座内上場株式等移管依頼書④未成年者口座移管依頼書
(9)エンジェル税制(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例、特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等)の適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を1年延長する。
〔縮減〕
特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の適用対象から、特定保有株式を除外する。
3租税特別措置等
(国税)
〔延長・拡充等〕
特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)について、次の措置を講じた上、その適用期限を5年延長する。
(1)本特例の対象となる医薬品の範囲について、次の見直しを行う。
①所要の経過措置(5年未満の必要範囲内)を講じた上、対象となるスイッチOTC医薬品から、療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものを除外する。
②スイッチOTC医薬品と同種の効能又は効果を有する要指導医薬品又は一般用医薬品(スイッチOTC医薬品を除く。)で、療養の給付に要する費用の適正化の効果が著しく高いと認められるもの(3薬効程度)を対象に加える。
(注1)上記の具体的な範囲については、専門的な知見を活用して決定する。
(注2)上記の改正は、令和4年分以後の所得税について適用する。
(2)健康保険法等の規定に基づき行われる健康診査等の健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行ったことを明らかにする書類(以下「取組関係書類」という。)については、確定申告書への添付又は確定申告書の提出の際の提示を不要とする。この場合において、税務署長は、確定申告期限等から5年間、当該取組関係書類の提示又は提出を求めることができることとし、当該求めがあったときは、その適用を受ける者は、当該取組関係書類の提示又は提出をしなければならないこととする。
(注1)確定申告書の提出の際に添付すべき医薬品購入費の明細書には、その取組に関する事項を記載しなければならない。
(注2)上記の改正は、令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合について適用する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)について、本特例の対象となる医薬品の範囲に係る次の見直しを行った上、その適用期限を5年延長する。
(1)所要の経過措置(5年未満の必要範囲内)を講じた上、対象となるスイッチOTC医薬品から、療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものを除外する。
(2)スイッチOTC医薬品と同種の効能又は効果を有する要指導医薬品又は一般用医薬品(スイッチOTC医薬品を除く。)で、療養の給付に要する費用の適正化の効果が著しく高いと認められるもの(3薬効程度)を対象に加える。
(注1)上記の具体的な範囲については、専門的な知見を活用して決定する。(注2)上記の改正は、令和5年度分以後の個人住民税について適用する。
〔廃止・縮減等〕
(1)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、国税における見直しを踏まえて所要の措置を講じた上、農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する。
(2)特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
4その他
(国税)
(1)国又は地方公共団体が行う保育その他の子育てに対する助成をする事業その他これに類する一定の助成をする事業により、これらの助成を受ける者の居宅において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は認可外保育施設その他の一定の施設の利用に要する費用に充てるため給付される金品については、所得税を課さないこととする。
(2)確定拠出年金法施行令の改正を前提に、確定拠出年金制度について次の見直し等が行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。
①確定給付企業年金制度の加入者の企業型確定拠出年金の拠出限度額(現行:月額2.75万円)を、月額5.5万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額とする。
②確定給付企業年金制度の加入者の個人型確定拠出年金の拠出限度額(現行:月額1.2万円)を、月額5.5万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(月額2万円を上限)とする。
(3)退職所得課税の適正化
①その年中の退職手当等のうち、退職手当等の支払者の下での勤続年数が5年以下である者が当該退職手当等の支払者から当該勤続年数に対応するものとして支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当しないもの(以下「短期退職手当等」という。)に係る退職所得の金額の計算につき、短期退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分については、退職所得の金額の計算上2分の1とする措置を適用しないこととする。
②上記①の見直しに伴い、短期退職手当等と短期退職手当等以外の退職手当等がある場合の退職所得の金額の計算方法、退職手当等に係る源泉徴収税額の計算方法及び退職所得の源泉徴収票の記載事項等について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年分以後の所得税について適用する。
(4)労働者災害補償保険法の複数事業労働者傷病年金を受けている者、複数事業労働者障害年金を受けている者及び複数事業労働者遺族年金を受けている遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者に加える。
(5)特定公益増進法人等に対する寄附金の寄附金控除及び所得税額の特別控除について、その対象となる寄附金から出資に関する業務に充てることが明らかな寄附金を除外する。
(6)所得税の確定申告等について、次の措置を講ずる。
①その計算した所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合であっても、控除しきれなかった外国税額控除の額があるとき、控除しきれなかった源泉徴収税額があるとき又は控除しきれなかった予納税額があるときは、確定申告書の提出を要しないこととする。この場合における確定申告書の提出期間については、現行の申告義務のない者の還付申告書の提出期間(その年の翌年1月1日から5年間)と同様となる。
②上記①の改正に伴い、財産債務調書の提出義務者の範囲について現行と同様とするほか、所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に確定申告書の提出期限が到来する所得税について適用する。
(7)給与等、退職手当等又は公的年金等(以下「給与等」という。)の支払を受ける者が、給与等の支払をする者に対し、次に掲げる源泉徴収関係書類の書面による提出に代えて当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う場合の要件であるその給与等の支払をする者が受けるべき税務署長の承認を不要とするほか、これに伴う所要の措置を講ずる。
①給与所得者の扶養控除等申告書
②従たる給与についての扶養控除等申告書
③給与所得者の配偶者控除等申告書
④給与所得者の基礎控除申告書
⑤給与所得者の保険料控除申告書
⑥給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書⑦所得金額調整控除申告書
⑧退職所得の受給に関する申告書
⑨公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
(注)上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する源泉徴収関係書類について適用する。
(8)社会医療法人制度における認定要件のうち救急医療等確保事業に係る業務の実績が一定の基準に適合することとの要件について、関係法令の改正により夜間等救急自動車等搬送件数及びへき地診療所に対する医師の延べ派遣日数等の基準値に係る特例を追加する見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(9)農水産業協同組合貯金保険法の改正を前提に、農水産業協同組合貯金保険機構の業務範囲の見直しが行われた後も、引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(10)健康保険法の傷病手当金等及び出産育児一時金等について、健康保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①所得税を課さない。
②国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(11)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の改正を前提に、同法の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等について、引き続き所得税を課さないこととする
(12)雇用保険法の育児休業給付等について、雇用保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①所得税を課さない。
②国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(13)年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律による改正後の児童扶養手当法の児童扶養手当について、引き続き次の措置を講ずる。
①所得税を課さない。
②国税の滞納処分による差押えを禁止する。
③児童扶養手当を受けている児童の母である者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(14)国民年金法の障害基礎年金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①所得税を課さない。
②国税の滞納処分による差押えを禁止する。
③障害基礎年金を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(地方税)
(1)国又は地方公共団体が行う保育その他の子育てに対する助成をする事業その他これに類する一定の助成をする事業により、これらの助成を受ける者の居宅において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は認可外保育施設その他の一定の施設の利用に要する費用に充てるため給付される金品については、個人住民税を課さないこととする。
(2)確定拠出年金法施行令の改正を前提に、確定拠出年金制度について次の見直し等が行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。
①確定給付企業年金制度の加入者の企業型確定拠出年金の拠出限度額(現行:月額2.75万円)を、月額5.5万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額とする。
②確定給付企業年金制度の加入者の個人型確定拠出年金の拠出限度額(現行:月額1.2万円)を、月額5.5万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(月額2万円を上限)とする。
(3)個人住民税について、所得税における次の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
①退職所得課税の適正化
②源泉徴収関係書類の電子提出に係る税務署長の承認の廃止
(4)労働者災害補償保険法の複数事業労働者傷病年金を受けている者、複数事業労働者障害年金を受けている者及び複数事業労働者遺族年金を受けている遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者に加える。
(5)国税における特定公益増進法人等に係る次の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
①特定公益増進法人の範囲に、試験研究業務を行う地方独立行政法人のうち定款に出資に関する業務を行う旨の定めがあるものを加える。
②特定公益増進法人等に対する寄附金の寄附金控除及び所得税額の特別控除について、その対象となる寄附金から出資に関する業務に充てることが明らかな寄附金を除外する。
(6)所得税において一部の者に課されていた還付申告の義務をなくすこととしたことに伴い、提出義務のなくなった申告書の提出があった場合において、その提出の日の翌日から起算して2年を経過する日が通常の賦課決定の除斥期間経過後に到来するときは、その提出の日の翌日から起算して2年間、個人住民税の賦課決定を行うことができることとする。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に上記の提出の日が到来する場合について適用する。
(7)健康保険法の傷病手当金等及び出産育児一時金等について、健康保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①個人住民税を課さない。
②地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(8)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の改正を前提に、同法の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等について、引き続き個人住民税を課さないこととする。
(9)雇用保険法の育児休業給付等について、雇用保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①個人住民税を課さない。
②地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(10)年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律による改正後の児童扶養手当法の児童扶養手当について、引き続き次の措置を講ずる。
①個人住民税を課さない。
②地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
③児童扶養手当を受けている児童の母である者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(11)国民年金法の障害基礎年金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①個人住民税を課さない。
②地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
③障害基礎年金を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(12)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の必要経費算入制度の対象となる国庫補助金等の範囲について、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業等に係るものを加える。
(13)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正に伴い、同法の課徴金制度における課徴金及び延滞金について、必要経費算入しないこととする。
(14)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
(15)扶養控除における国外居住親族の取扱いの見直しを踏まえ、個人住民税均等割及び所得割の非課税限度額の算定の基礎となる扶養親族から、年齢30歳以上70歳未満の非居住者であって次のいずれにも該当しない者を除外する。
①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
②障害者
③その納税義務者から前年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者
また、個人住民税均等割の税率軽減の判定の基礎となる扶養親族についても、同様の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和6年度分以後の個人住民税について適用する。
(16)個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の全部について源泉分離課税(申告不要)とする場合に、原則として、確定申告書の提出のみで申告手続が完結できるよう、確定申告書における個人住民税に係る附記事項を追加する。
(注)上記の改正は、令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合について適用する。
注意事項 ※1 本記事は2020年12月に公表された、与党税制改正大綱に基づき記載しております。 ※2 2020年12月現在、閣議決定されていないため、実際の改正内容と異なる場合があります。 ※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失について、弊社では一切の責任を負いかねます。
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