いつの時代も大切な人との死別は突然訪れます。
死別における状況は千差万別ですが、誰もがやらなければならないことの一つに、遺産の整理があります。
その過程で家族が揉める原因になるのが「誰が財産をいくら相続できるのか?」という問題です。
この記事では、以下の3点について税理士が解説します。
- 財産を相続できる「法定相続人」の範囲
- 財産は相続分通りもらえるの?
- 生前に遺言書を準備すべき理由
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目次
「相続人」「法定相続人」とは?
相続人とは?
相続人とは、簡単に言うと、人が亡くなった際に財産を相続できる人のことです。これは「民法」に決まりがあります。
相続人の範囲と順位
相続人の範囲は、配偶者(夫・妻)、子供(直系卑属)、父母(直系尊属)、兄弟姉妹の4つのグループに分けられます。
しかし、この4つのグループの全員が相続人になるわけではありません。
まず、配偶者は必ず相続人になります。しかし、その他の3つのグループには優先順位があります。
- 第一順位は子供(直系卑属)です。亡くなった人に子供がいれば、その子供は相続人となります。
- 第二順位は父母(直系卑属)です。第二順位の父母は、亡くなった人に子供がいない場合に相続人になります。
- 第三順位は兄弟姉妹です。こちらは亡くなった人に子供がおらず、かつ、父母がいない場合に相続人になります。
厳密に説明するともっとむずかしいですが、基本的には上記の通りです。
次に、用語について簡単に補足していきます。
配偶者(夫・妻)
配偶者とは簡単に言うと奥さん、旦那さんのことです。配偶者がいる場合、その配偶者は必ず相続人になります。
なお、配偶者は法的に婚姻関係のある人に限られるため、離婚した後に相続が発生した場合や、内縁の妻については法定相続人になることはできません。
第一順位:子供(直系卑属)
配偶者以外の他の3つのグループは、優先順位が民法で決まっています。
まず第一順位は子供です。子どもは実子や養子による区別はありません。また、婚姻関係のある男女から生まれた子(嫡出子)であるかどうかは問いません。
なお、仮に子どもが既に死亡している場合で、その子ども(孫)がいるときは、その孫が相続人となります。
本来相続人となるべき人が先に亡くなっている場合、下の世代に相続権が引き継がれます。これを代襲相続といいます。
第二順位:父母(直系尊属)
第一順位(子・孫)がいない場合、亡くなった人の父母・祖父母など(直系尊属)が第二順位となります。
なお、直系尊属には代襲概念がなく、親等の近い人が優先して相続人となります。つまり、父母のどちらかが生きている場合に、祖父母が相続人になることはありません。
第三順位:兄弟姉妹
最後に、第一順位(子・孫)や第二順位(父母)もいない場合、亡くなった人の兄弟姉妹が第三順位として相続人になります。
なお、兄弟姉妹が既に亡くなっており、その子供がいる場合には、兄弟姉妹の子供に相続権が移ります。
このように、子供がおらず、両親も既に亡くなっている場合には、奥さんがいても兄弟に財産が移ってしまう場合があります。
兄弟に財産が移る場合には、遺言書を書いて奥さんに全額のこすこと等を検討すると良いでしょう。ぜひ、「遺言書は何歳から書けばいい?相続税に強い東京の税理士が解説」の記事もあわせてご覧ください。
民法の「相続人」と相続税法の「法定相続人」の違い
民法と相続税法では、相続人の範囲が異なります。次に、以下の2点の違いをご紹介します。
- 民法における「相続人」
- 相続税法における「法定相続人」(※通称)
民法における相続人は、先ほど説明した通りです。これは相続税法においてもベースは同じです。ただし、次の点において異なります。
- 法定相続人は、相続放棄が無かったものとした場合の相続人とされている
- 法定相続人の数の計算上、養子の数に制限がある
民法と相続税法で相続人の範囲が違うのはなぜ?
相続税法では、税金計算のために独自に「法定相続人」を定めています。
つまり、相続税法を計算するうえでの「法定相続人」の数は、無闇にいじることができない(相続税の脱税を防いでいる)ということです。
たとえば、相続税法には、相続税がかかる財産額の基準となる「基礎控除額」があります。これは、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
によって算定され、「法定相続人の数」によって相続税がかかる基準が変化します。
つまり、何人も養子に迎え入れたり、子供が1人で兄弟が5人のケースで子供に相続放棄をしてもらうとなれば、相続税がかからない金額を簡単に増やせてしまいます。
そのため、民法と相続税法における相続人の範囲に違いがあります。
参考:相続の放棄とは?
財産や借金を引き継がないための手続きを「相続放棄」と呼びます。
相続放棄を行うと、相続人は初めから相続人でなかったものとみなされ、次の順位の相続人に相続権が移ります。
たとえば亡くなった人の相続人である子が相続放棄した場合、その相続権は第一順位である子供から第二順位である父母(直系尊属)に移ります。
亡くなってから3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があるため、早めに司法書士に相談しましょう。
相続人だからといって、財産を相続分通りもらえるわけではない
財産の分け方は遺言書が優先
民法では、故人は自分の財産を遺言によって自由に処分することができるとされています。
遺言書には、故人が遺産を誰にどのくらい譲るか、といった内容が記されています。遺言書がある場合、基本的にはその内容が優先され、その内容通りに財産移転が行われます。
遺言書が無い場合は、財産の分け方を話し合いで決める
遺言書がない場合、相続人全員の話し合いで遺産の分け方を決めます。これを遺産分割協議と言います。
話し合いがまとまらず、泥沼になった場合には、家庭裁判所の調停や審判といった手続きに移ります。
揉めた場合は税理士などの専門家でも間に入ることができないというルールがあり、弁護士に相談する必要があります。
泥沼にならないように、生前に、法的に有効な遺言書を作成することが重要です。
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【プロフィール】
一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事
ブラッシュメーカー株式会社 代表取締役
ブラッシュメーカー会計事務所 代表・税理士
【セミナー実績】
起業成功の絶対法則を学ぶ4時間(株式会社ウェイビー主催)
【その他】
税理士事務所向け商品:01顧問クラウドの開発責任者
【概要】
士業など専門家1,500人以上が協会員として所属する団体の理事に就任している。税理士法人古田土会計、国内最大手の税理士法人であるデロイトトーマツ税理士法人を経てブラッシュメーカー会計事務所を創業。 現在は、相続税の分野に力を入れて活動をしている。依頼者の相続が円滑に完了するためのサポートを行うことを、仕事の基本としている。
【ブラッシュメーカー会計事務所】
住所:東京都千代田区神田紺屋町28番紺屋ビル302号
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