遺言書は何歳から書けばいい?相続税に強い税理士が徹底解説

遺言書を書く時期は、ひとつの目安として65歳をおすすめしています。

法律上は、15歳から遺言書を書くことができるとされていますが、15歳で書く方は稀でしょう。

しかし、「いつか書く」、そう考えていると遺言書をのこすタイミングを逃してしまいます。

相続税の問題は6人に1人と言われていますが、相続は6人中6人全員に起こる出来事のため、だれもが備えなければなりません。

この記事では、以下の3点について税理士が解説します。

  • 遺言書を作成しなかった場合のデメリット(トラブル)
  • 遺産相続で揉める人と揉めない人の差
  • 遺言書を書くタイミングとして65歳をすすめている理由

 

また、相続税がいくらかかるかの目安を以下の動画で解説していますので、あわせてご覧ください。

遺言書を作成しなかった場合のデメリット

遺言書が無いと親族間の話し合いが必要になり、争いが起きる

人が亡くなった場合、亡くなった方の財産は遺族(相続人)で分けることになります。

その際、遺言書が作成されている場合は基本的に遺言書に従い、財産を分けることになります。

一方、遺言書が無い場合は親族間で「遺産分割協議」が必要になります。

「遺産分割協議」というのは、相続人で話し合い、どの財産を誰がもらうかという話し合いの手続きを行うことです。

相続で揉めるのは概ね、この話し合いが必要になるケースです。

要注意:

遺言書が無いと争いが起きやすい

 

なぜ揉めるのか?

親族間で話し合いが必要になる場合、故人の気持ちのみでなく、介護に携わったか、過去に親から資金援助を受けていたか等、相続人の個人的感情が入り混じります。

これが相続で揉める大きな原因であり、遺言書が無い場合は争いが起きる可能性が高くなります。

この手続きで話し合いにならず、親族間の争いが起きることが少なくありません。最初は4分の1ずつや2分の1ずつ等と決めていたとしても、きっちりと分けることは容易ではありません。

ポイント:
皆、それぞれ主張したい思いがある。

 

財産をきっちりとわけることがむずかしい

たとえば、現金や銀行預金などのいわゆる「お金」であれば、きっちりとわけることは簡単です。

しかし、例えば土地や建物といった不動産については価格の算定が容易ではありません。

なぜなら、不動産には

  • 売却した場合の価格
  • 相続税を計算するうえでの価格
  • 固定資産税を計算するうえでの価格

など、明確に「いくら」と決めることができないからです。

また、その不動産が欲しい人もいれば、いらないという人もいます。兄弟で、どの財産が欲しいか、取り合いになってしまう可能性もあります。

ポイント:
不動産はわけにくい

 

財産が少ない方が揉めやすい

相続のご相談にいらっしゃる方は「うちにそんなに財産は無い」。

そう仰る方が多いです。

財産が1億円、2億円あっても「うちには財産が無い」と仰います。

もちろん、財産が1億円あれば通常は相続税の申告が必要であり、また、相続税の支払いが必要です。

しかし、皆さんの心の中では「財産が無い」と考えているのです。

 

財産が多ければ、ある程度皆が納得してわけることができることが多いです。

たとえば財産が10億円ある場合、10分の1の1億円をもらえれば納得する方もいるでしょう。

一方で、財産が1,000万円の場合だと、10分の1では100万円です。

もらえる財産が少ないと、より多くの財産を求めて喧嘩が起きる可能性が高くなります。なぜなら、人間には欲があるからです。

ポイント:
財産が少ない場合、少ない財産をできる限り多くもらいたいと考える人が多い。
「うちはそんなに財産が無いから遺言書は必要ない」という考えは危険。
財産規模を問わず、亡くなる前に遺言書を作成することが大事。

 

遺産相続で揉める人と揉めない人の差

遺産相続で揉める人と揉めない人の差は、遺言書が作成されているかどうかという点が非常に大きいです。

遺言書があった場合、基本的に遺言書通りに財産を分けることになります。つまり、亡くなった方の財産を誰にあげるかについては、亡くなった方に決定権がある、ということです。

したがって、亡くなった方が生前に遺言書を作成していた場合、基本的に遺言書通りに遺産分けが行われます。

遺言書の作成を行うことによって、実際に相続が起こった際、親族間で揉める可能性を大幅に減らすことができることが遺言書作成の最大のメリットです。

遺言書は何歳から書くべきか

遺言書は、65歳を目安として書くことをおすすめしています。

元気だし、まだ若い。

死後のことは考えたくない。遺言書はいつでも書けるし、後回しにしたい。その気持ちはよくわかります。

しかし、遺言書を書くべきタイミングを逃した場合、結局遺言書が無いまま亡くなってしまい、親族間で争いが起きるケースも少なくありません。

次に、遺言書を書く年齢として65歳をお勧めする理由について確認していきましょう。

ポイント:
遺言書の作成時期は65歳以上なら、できる限り早く

 

遺言書は認知症になる前に書かなければならない

遺言書は亡くなる前に書けば良い。いつでも書けるから後回しにしている。

そう考えていると危険です。なぜなら、遺言書は亡くなるまでではなく、認知症になる前にしか書けないためです。

正確には、書くこと自体はできるかもしれません。

しかし、遺言書を書けたとしても判断能力が無いため、法律上、書いた遺言書が無効になる恐れがあります。

遺言書を作成しても、無効になってしまえば親族間での話し合い(遺産分割協議)が必要になります。そしてまた、遺言書に、「長男に全財産を渡す」と記載があれば、他の兄弟から遺言書の無効を主張され、揉めることになります。

ポイント:
遺言書は、認知症になる前に作成する必要がある

 

認知症は何歳ぐらいから発症するのか

厚生労働省のデータによると、65歳以上の方の、およそ4人に1人は認知症または予備軍と言われています。

4人に1人というと、それなりに身近に感じられる数値です。

しかし、65歳未満の方でも認知症になる可能性があり、また、70代、80代になれば認知症になる確率はもっと高くなります。

従って、定年退職し、老後の財産状況について見通しが立ったのであれば、遺言書の作成や相続税の節税などの相続対策を考えても、早すぎることはありません。

認知症になった場合は契約などの法律行為に制限がかかり、遺言書を書くことができなくなります。

また、交通事故や台風などの天災で亡くなる可能性も0ではありません。

遺言書をいつか書こうと考えていると、手遅れになってしまう可能性がありますし、遺言書は書き直すことも可能です。

従って、60歳代であっても一度書いておくことが望ましいでしょう。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05144.html
厚生労働省 第78回社会保障審議会介護保険部会
参考資料2-1 認知症施策の総合的な推進について(参考資料)[PDF形式:6.6MB]

 

60歳や65歳、定年退職時が一つの目安

サラリーマン生活が終わり、定年退職した際は会社から退職金が入ります。

また、サラリーマン生活が終われば、老後の財産状況についてある程度見通しが立つでしょう。

退職金が入った段階で、亡くなるまでに必要な資金はある程度見えてきます。

従って、早いと感じるかもしれませんが、定年退職時が遺言書を作成する時期の一つの目安となります。

70歳、80歳になった際、遺言書を書き換える必要に迫られるかもしれませんが、遺言書の作成や相続税の対策は、早いうちから進めた方が大きな効果を生むことができます。

従って、遺言書を作成するのが60歳代であっても、早すぎるということはありません。

 

遺言書の作成は税理士など専門家のサポートを入れたほうが良い

遺言書を作成する際、ご自身で遺言書を作成しないといけないとお考えの方がいます。

しかしながら、ご自身で遺言書を作成することはあまりお勧めできません。遺言書には主に次の2種類があり、以下の2番目をお勧めしています。

  1. ご自身で遺言書を作成する(自筆証書遺言)
  2. 税理士などの専門家のサポートを入れる(公正証書遺言)

上記1の、自筆証書遺言は、あまりお勧めできません。

なぜなら、記載内容に不備があり、法律の要件を満たさない場合には遺言書が無効になってしまうデメリットがあるからです。

一方、2番の公正証書遺言であれば、税理士など専門家のサポートを受け、また、公証役場という公的機関の確認を受けることから、遺言書が無効になるリスクが無いというメリットがあります。

したがって、遺言書の作成にあたっては、税理士などの専門家を入れたうえで公的機関の確認を受けること(公正証書遺言)をお勧めします。

その他、遺言書に関するトラブルについては「【相続トラブル】遺言書は破られる可能性がある、書き方を誤ると無効」の記事をご覧ください。

ポイント:
自分で遺言書を書くと無効になるリスクがある

 

遺言書作成サポート業務のご案内

財産は遺言書を作成される方ご自身のもののため、最終的にお子様、お孫様、だれにどう分けるかは、遺言書を作成される方自身が決めることになります。

しかし、相続税の負担を考えずに遺言書を作成した場合、お子様、お孫様が相続税の負担に苦しんでしまう可能性があります。

また、場合によっては相続税を支払えなくなってしまうケースもあります。

我々は、司法書士などの専門家と連携し、以下の流れで遺言書の作成サポートを行っています。

  1. 現状相続税額の試算
    もし仮に、今亡くなったと仮定した場合、相続税が現状いくらかかるかの試算を行います。
  2. 財産の分け方のご提案
    財産を誰にどうわけるか、相続税の負担などを考えた財産の分け方のご提案を行います。
  3. 遺言書の作成サポート
    公的機関の確認を受ける遺言書(公正証書遺言)の作成のサポートを行います。

相続税の基本的な仕組みについては、「相続税はいくらからかかるのか?無税になるのはいくらまで?」の記事をご覧ください。

なお、上記1で相続税の試算を行った後、相続税の負担を減らすため、相続税対策の業務もあわせてご提供しています。相続税対策については、「【相続税対策5選】節税して相続税を安くする方法を税理士が徹底解説」の記事をご覧ください。

 

繰り返しですが、遺言書は認知症になる前の、元気なうちにしか書くことができません。

奥さん、旦那さん、そして子どもや孫に負担をかけないためには、遺言書をできる限り若いうちに作成することが求められます。

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税理士 坂根 崇真 / インフルエンサー

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【プロフィール】
一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事
株式会社坂根ホールディングス 代表取締役
坂根崇真税理士事務所 税理士

【著書】
相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 (2021年発売予定)

【メディア運営等】
税理士による相続メディア:あんしん相続税 などを運営(合計アクセス数:月間5万人)

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業界最大手のデロイトトーマツ税理士法人の出身であり、個人資産百億円規模の方の税務相談経験や、数多くの相続税申告経験を有している。また、相続税に関するメディアで150以上の記事を執筆しており、相続に関する書籍も執筆している。

士業など、専門家の協会員1,500人以上の団体 全国第三者承継推進協会の理事に就任しており、後継者不在による廃業を防ぐための対策・支援活動も併せて行っている。