
飲食店で消費税を納めるかどうかは、対象の年・決算期、過去の課税売上高、インボイス登録、提出した届出を順に整理して判断します。課税事業者なら、店内飲食・持ち帰り・酒類等の売上を分け、適用できる計算方法で税額を計算して申告します。
「今年の売上は1,000万円以下だけれど、消費税の申告は必要なのか」。そんなときは、今年のレジの合計に加えて、過去の売上資料と登録通知を並べてみましょう。インボイス登録をしているか、どの年の売上を使って判定するかが分かると、次にそろえる資料が見えます。
消費税には、事業者が納税する対象かという判断、取引にどの税率を当てはめるかという判断、税額をどう計算するかという判断があります。このページは、2026年の国内の飲食店を中心に、その全体の流れを整理する案内です。国税庁の現行案内を2026年10月11日に確認した内容で、個人・法人、2026年と翌年以後の特例を分けて説明します。
読みたいところから確認する
- 営業後のレジ締めから、消費税の準備は始められる
- 最初に、個人・法人と対象の年・決算期をそろえる
- 課税事業者かは、売上・登録・届出を並べて見る
- 店内飲食・持ち帰り・酒類は、販売の内容から税率を分ける
- 税込売上、口座の入金、消費税額を分けて見る
- 税額の計算方法は、使える方法から比較する
- 簡易課税は、売上規模・届出・事業区分を合わせる
- 2割特例と3割特例は、年と個人・法人を分ける
- 一般課税の仕入れは、仕入先・日付・資料をそろえる
- 仮定例で、税込売上に含まれる税額を見てみる
- 設備の購入や営業の変更は、早めに資料へ加える
- 申告と納付は、対象期間の締めから予定へ入れる
- 毎月の資料整理で、年末に判断しやすい状態を作る
- 消費税を考えるときによく出る疑問
- 消費税と毎日の経理について、お悩みをお聞かせください
営業後のレジ締めから、消費税の準備は始められる
閉店後にレジを締める場面では、現金、カード、持ち帰りなどの売上をまとめます。そのとき、税率の違う取引が記録上分かるようになっているかを見ると、申告に向けた準備へつながります。営業中に入力した取引が、後でどの集計へ入るか分かることが大切です。
想定場面として、店内で食事を提供しながら、持ち帰りも受け付ける店を考えます。忙しい時間帯に店内と持ち帰りの入力が混ざると、月末に税率別の売上を集める際に、どの取引を見直せばよいか探す作業が増えます。営業の方法とレジの区分をそろえておくと、日々の記録が税務の資料になります。
この準備は、すぐに申告書の税額を計算する作業とは違います。まず、いつ、何を、どのように販売したかが分かる状態へ整えます。帳簿や会計ソフトへ渡す資料も、その情報が分かる形で集めていきましょう。
消費税の確認を四つに分けると、資料の集め方が整理できます。
表は横にスクロールできます。
| 順番 | 決めること | 手元へ集める資料 |
|---|---|---|
| 1 | 自店が課税事業者か、対象期間はいつか | 個人・法人、過去の売上、登録通知、届出の控え |
| 2 | 取引ごとの税率と売上の区分 | 店内・持ち帰り・酒類等のレジ集計、販売内容 |
| 3 | 適用できる税額計算の方法 | 届出履歴、基準期間、仕入れや設備の資料 |
| 4 | 申告と納付をどう進めるか | 対象期間の帳簿、申告資料、提出・納付の予定 |
表の途中で分からないところがあれば、その欄を質問として残します。税率の設定は分かるが、登録日が分からないという場合も、どの資料を探せばよいか分けて考えられます。
最初に、個人・法人と対象の年・決算期をそろえる
個人事業者の消費税の課税期間は原則として暦年、法人は事業年度です。まず自店がどちらで営業しているか、何年分又はどの決算期について考えるかを表の上へ書きましょう。対象期間が分かると、集める売上や届出の範囲がそろいます。
個人で始めた店を法人へ移した場合は、個人の時期と法人の時期を分けて資料を持ちます。店の名称が同じでも、誰が事業を行っていたかを整理することが大切です。開業日、法人設立日、事業年度、登録した名義を別の欄へ書くと、税務の相談を進めやすくなります。
売上資料を探す際は、レジの期間、会計ソフトの期間、銀行の集計期間が合っているかも見ます。単に一つの合計額を拾うより、いつからいつまでの資料か分かる形へ整理すると、課税判定や税額計算に使える情報になります。
表は横にスクロールできます。
| 判定に使う期間 | 個人事業者の基本 | 法人の基本 |
|---|---|---|
| 課税期間 | 原則1月1日~12月31日 | 原則事業年度 |
| 基準期間 | 原則、その年の前々年。2026年分なら2024年 | 原則、前々事業年度。期間の長さ等に応じた扱いあり |
| 特定期間 | 原則、前年1~6月。2026年分なら2025年1~6月 | 原則、前事業年度開始から6か月。短い事業年度等は別の扱いあり |
この表は、どの資料を集めるかを決める入口です。課税期間を短縮している場合、事業年度が短い場合、相続や組織の変更がある場合は、その事情も資料へ添えて進めます。
課税事業者かは、売上・登録・届出を並べて見る
基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税の納税義務が免除されます。ただし、インボイス発行事業者としての登録、特定期間の判定、課税事業者の選択、一定の資産取得等による例外があります。国税庁の「納税義務の免除」の案内は、これらを分けて示しています。
そこで、売上の表だけでなく、インボイスの登録通知と、消費税関係の届出の控えを一緒に並べます。基準期間の数字、特定期間の数字、登録日、選択した制度が見えると、自店がどの理由で課税対象になるか考えやすくなります。
インボイス発行事業者として登録中の場合は、基準期間等の売上が小さくても免税にはなりません。免税事業者が年の途中で登録を受けた場合には、登録日から課税事業者になる経過措置があります。登録通知を使って開始日を押さえると、対象となる取引の期間を整理できます。
想定場面として、法人の取引先から登録番号を求められ、営業途中で登録した店を考えます。登録したかどうかだけでなく、実際の登録日と、いつの取引から対象になるかを資料へ残します。年末に売上資料を渡すときにも、登録通知が一緒にあると話を進めやすくなります。
特定期間の1,000万円の判定は、国内事業者では課税売上高に代えて給与等支払額による判定も可能です。売上資料と給与の資料を分けて持ち、対象期間に合わせて整理します。会計上の売上と消費税の課税売上高についても、事業用資産の売却等の取引があるなら、内容を添えて考えます。
開業したばかりの店は、登録や設立時の事情も見る
基準期間がない新規開業・設立の店では、過去の資料が少ない一方、登録や届出、法人の資本金等が判断材料になります。法人の資本金1,000万円以上や特定新規設立法人などの条件もあるため、設立資料と登録通知を並べて準備します。
設備を購入した事情や、課税事業者を選択した届出がある場合は、いつ、どの内容で行ったかを記録します。開業時に手続きをまとめて進めた店ほど、控えを見ながら税務の効果を整理すると、その後の申告で使う方法が見えます。
店内飲食・持ち帰り・酒類は、販売の内容から税率を分ける
2026年の現行税率は、標準税率10%と軽減税率8%が基本です。この割合には消費税と地方消費税を合わせています。飲食料品の販売でも、酒類や外食は軽減税率の対象から外れるため、何をどのように提供したかから整理します。
表は横にスクロールできます。
| 取引の基本例 | 2026年の税率 |
|---|---|
| 店内の設備で飲食してもらう食事の提供 | 10% |
| 酒類を除く飲食料品の持ち帰り販売 | 8% |
| 酒類の販売 | 10% |
レジの区分を考えるときは、店内と持ち帰りの両方がある商品を先に取り上げると整理しやすくなります。会計の場面で提供方法が分かり、営業後に税率別の集計を出せる流れを作ります。入力を間違えた取引は、日付や内容を残して見直せるようにしましょう。
配達や持ち帰りでも、食品の販売に加えて別のサービスを組み合わせることがあります。販売名だけでまとめず、食品の対価、配送料、その他のサービスの内容を資料へ残します。取引別の判断を進める際に、実際の販売内容が分かると税率を整理する材料になります。
税率別の売上が分かることと、簡易課税の事業区分が分かることは、違う判断です。店内・持ち帰りを分けた後も、行っている取引の内容を残しておくと、計算方法の検討へつながります。
将来の食品税率案は、2026年の集計と分けて考える
国税庁・財務省は、2027年4月以後の飲食料品の税率引下げに関する資料を公表しています。2026年10月11日に読んだ特設サイトは、閣議決定の改正案について、法案が国会の審議を経て可決・成立した場合の内容として説明しています。
2026年の売上を集計するときは、現行の8%・10%を基に整理します。将来の制度を踏まえて営業や設備の計画を考える場合は、改正の成立内容と適用時期がどうなるかを別の予定として追っていきます。今のレジ集計と、将来に向けた検討の表を分けておくと、設定を変える時期を考えやすくなります。
税込売上、口座の入金、消費税額を分けて見る
消費税の数字を考えるときは、税込売上の中に含まれる税額を整理します。口座へ入った金額だけから売上税額を求めると、カード等の入金時期や決済手数料を含む資料の読み方が分かりにくくなります。まず営業上の売上記録と、決済明細を別々に集めましょう。
カード売上の入金が後になる場面では、レジに記録した取引と、後から入る金額を対応させていきます。決済サービスが差し引いた額があるなら、明細で内訳を見ます。消費税の取引の集計と、資金が口座へ入る予定を分けることで、申告に使う資料と資金繰りの資料がつながります。
同じことは仕入れにも当てはまります。銀行から支払った合計と、税率別の仕入れや控除対象の税額は、別の情報として整理します。請求書や取引内容を使って、支払いが何に対応するか分かる形にしていきましょう。
税込と税抜の表記が混在する見積書や会計資料では、表の上へどちらの数字か書いておくと便利です。資料を渡す相手にも、税込売上の合計なのか、税額を分けた数字なのかを伝えます。ここがそろうと、計算方法を検討する際の前提が分かりやすくなります。
税額の計算方法は、使える方法から比較する
消費税は、店の利益に10%を掛けて求める仕組みではありません。一般課税では売上に係る税額から、仕入れ等に係る控除税額を差し引く計算が基本です。そのほかに、条件を満たす事業者が選べる簡易課税や時限の特例があります。
方法を比較する前に、届出の控えと適用できる期間をそろえます。数字上は計算できそうな方法でも、自店の条件や届出の適用を合わせて考えることが必要です。店の仕入れ、設備投資、営業の構成を資料へ残すことで、比較に使う前提がそろいます。
表は横にスクロールできます。
| 方法 | 計算の考え方 | 最初にそろえる材料 |
|---|---|---|
| 一般課税 | 売上税額から実際の仕入れ等の控除税額を差し引く | 帳簿、インボイス等、取引内容、控除できる範囲 |
| 簡易課税 | 売上税額と事業区分のみなし仕入率を使う | 基準期間、選択届出、営業の取引内容 |
| 2割特例 | 対象事業者・期間の納付税額を売上税額の2割とする | 登録、免税から課税となった事情、対象外条件 |
| 3割特例 | 対象個人の2027・2028年分の納付税額を売上税額の3割とする | 個人であること、登録、基準期間、対象外条件 |
一般課税では、取引内容と保存した資料を使って控除できる税額を集めます。簡易課税や特例では使う情報が変わりますが、営業の売上を整理することはどの方法でも土台です。税額計算だけを年末に取り出すより、営業の記録からつなげて準備すると作業を進めやすくなります。
設備を買う予定がある店では、選べる方法と購入の内容を同時に考えます。計算方法を決めた後で大きく計画が変わるときは、その影響も含めて整理しましょう。目先の税額に加えて、適用が続く期間や制限があることも判断材料になります。
簡易課税は、売上規模・届出・事業区分を合わせる
簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることや、選択届出等の条件を満たす場合に、売上税額を基に仕入控除税額を計算する制度です。適用したい課税期間の初日の前日までに選択届出を出すことが原則になります。
登録時や2割・3割特例からの移行等には特別な取扱いがあります。届出の期限について考えるときは、希望する年だけでなく、現在と前の課税期間にどの方法を適用していたかも整理します。控えと過去の申告資料がそろうと、次の期間へつなぐ判断を進めやすくなります。
国税庁の事業区分の案内では、飲食店業は第4種事業、みなし仕入率60%の例として示されています。ただし、食品の製造小売や仕入商品の販売等を組み合わせる場合は、原則として取引ごとに区分を考えます。店の名称を一つ書くだけでなく、何をどう販売しているかを資料にします。
想定場面として、店内の飲食に加えて商品販売も行う店を考えます。レジの売上区分から、飲食と商品販売の内容が分かると、簡易課税の事業区分を検討する材料になります。持ち帰りの8%売上という税率の区分だけでは、事業区分までは決まりません。
簡易課税は選択したら原則として2年間継続する点や、一定の資産取得等による制限も考慮します。届出を出す前に、今の営業とこれからの設備投資を並べて比較すると、店の計画に合わせた検討ができます。
2割特例と3割特例は、年と個人・法人を分ける
時限の特例では、納付割合だけでなく、どの期間と事業者に適用されるかを先に整理します。2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者となったこと等の条件を満たす場合に使える経過措置です。
対象期間は、2023年10月1日から2026年9月30日までの日が属する課税期間です。このため、個人の通常の2026年分と、法人の決算期による判定を分けて考えます。国税庁は、条件を満たす3月決算法人の2027年3月期も対象として例示しています。
表は横にスクロールできます。
| 事業者・対象期間 | 特例の入口 |
|---|---|
| 個人の2026年分 | 通常の年単位の課税期間では、条件を満たせば2割特例の対象 |
| 個人の2027・2028年分 | 対象となる個人について3割特例を検討 |
| 法人の2割特例 | 2023年10月1日~2026年9月30日の日が属する課税期間で判定 |
| 法人の3割特例 | 対象外。一般課税・簡易課税等を検討 |
2割特例について、自分の表へ書くのは「売上がいつあったか」だけでなく、「どの課税期間の申告か」です。2026年9月末を境に売上を一律に切り分ける考え方では、期間による適用を捉えにくくなります。個人の年分、法人の決算期、課税期間短縮の有無を先にそろえましょう。
3割特例は、登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった対象個人の2027・2028年分についての制度です。基準期間の課税売上高1,000万円以下、登録の状況に加え、一定の資産取得による免税制限や課税期間短縮等の対象外条件を見ます。
翌年の納税準備を考える場合は、今年の方法をそのまま翌年へ書き写すより、年ごとに適用できる方法の欄を作ります。個人の2026年分の2割と、翌年以後の対象個人の3割を別の行へ書くと、店の計画と一緒に見やすくなります。法人は法人の期間で整理します。
この段階で、特例の納付割合と、一般課税で仕入れから控除する割合も別々に記録します。どちらも割合の説明ですが、使う数字と判断の目的が違います。適用できる方法が分かった後で、その方法に必要な売上や仕入れの資料を集めていきます。
これから新宿で飲食店を開く方は、税務の準備と一緒に開業資金の計画も整えておきましょう。融資支援の内容や担当者は、下のページでご覧いただけます。
一般課税の仕入れは、仕入先・日付・資料をそろえる
食材や備品の請求書を集めるときは、相手先、取引日、内容、税率、インボイスの状況が分かる形へ整理します。一般課税で控除できる税額を考える際には、実際の取引と保存した資料が判断材料になります。
インボイス発行事業者以外から行った仕入れには、条件を満たす一定割合の控除の経過措置があります。2026年10月からは、令和8年度改正後の割合を使って考えます。昔の予定表を保存している場合は、対象の仕入日と現行の案内を合わせましょう。
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| 対象の仕入日 | 経過措置の控除割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日~2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日~2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日~2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日~2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日以後 | この経過措置による控除なし |
これは対象仕入れに係る消費税額等についての控除割合です。売上の税率や2割・3割特例の納付割合とは別に使います。帳簿・請求書等の条件や、仕入先ごとの上限等についても、該当する課税期間と取引を整理します。
同じ仕入先から継続して買っている店では、請求書を相手先ごとにまとめたうえで、取引日が分かるように保存すると便利です。期間をまたぐ取引を集計する際も、対象の日付を拾いやすくなります。口座から払った日だけでなく、取引の資料を残すことが役に立ちます。
仮定例で、税込売上に含まれる税額を見てみる
ここでは、2026年の現行税率による一般課税の仕組みを、仮定の例で考えます。単位は円、国内の課税事業者で、返金、貸倒れ、中間納付等の調整はないものとします。自社の実績や、店の利益を表した数字ではありません。
仮に、店内飲食の税込売上が1,100,000円、酒類を除く持ち帰り食品の税込売上が1,080,000円だったとします。最初に行うのは、二つの税込売上をそれぞれの税率の欄へ分けることです。
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| 取引 | 税込売上 | 売上に含まれる消費税・地方消費税相当額 |
|---|---|---|
| 店内飲食10% | 1,100,000円 | 1,100,000×10/110=100,000円 |
| 酒類を除く持ち帰り食品8% | 1,080,000円 | 1,080,000×8/108=80,000円 |
| 合計 | 2,180,000円 | 180,000円 |
税込の売上には税額が含まれているため、10%の売上では10/110、8%の売上では8/108を使って、その中の税相当額を考えます。売上の合計だけへ一つの税率を掛けるより、店内と持ち帰りを分けた記録が先に必要になる理由が見えます。
次に、一般課税で控除できる仕入税額の合計を120,000円と仮定します。この額は、対象取引と保存資料の要件を別途満たしているという前提です。仕入れや経費の支払総額を、そのままこの欄へ置くものではありません。
仕組みを示す差額は、180,000円-120,000円=60,000円です。ここで示した60,000円は、消費税と地方消費税を合算した説明用の差額です。営業の利益や、カード入金の残高とは別の数字として読みます。
実際の申告では、国税の消費税と地方消費税を分け、対象期間全体の集計、割戻し・積上げ等の計算方法、端数処理などを当てはめます。この例は、税額計算に必要な資料の役割を理解するために単純化したものです。税率別の売上、控除の資料、申告の計算という順を、自店の帳簿へつなげていきましょう。
設備の購入や営業の変更は、早めに資料へ加える
厨房設備を買い替える、持ち帰りを増やす、商品販売を始めるといった予定は、消費税の検討にもつながります。買う物、営業を変える時期、現在使っている計算方法を、同じメモへ書いておきましょう。
設備の見積書には、内容と税込・税抜の区分が分かる資料を残します。購入する予定と実際に取引した資料を分けると、方法の比較と申告の集計を進めやすくなります。一定の資産取得は免税や簡易課税等の適用制限にも関わるため、その事情を含めて検討します。
営業の変更では、レジと請求書の区分を先に考えることが役立ちます。店内と持ち帰りの集計、商品販売の内容、売上の入金経路が分かる形にすると、後から全取引を拾い直す負担を減らせます。
税額がどの程度になるかを考えるときも、設備や仕入れの予定が分かる資料があれば、適用できる方法と取引の内容を並べて検討できます。営業を進める判断と税務の準備を同じ時期に考えることで、届出や申告に必要な作業を見つけやすくなります。
申告と納付は、対象期間の締めから予定へ入れる
通常の個人の年分申告では、消費税の申告・納付期限は翌年3月31日が原則です。法人は原則として課税期間終了の翌日から2か月以内になります。法人の期限延長、課税期間短縮、相続等の事情がある場合は、その期間の取扱いに合わせて予定を整理します。
個人の所得税、法人の法人税と、消費税の申告・納付は、それぞれ予定へ書きます。税務の作業を「確定申告」と一行だけでまとめるより、どの税金について資料をそろえ、どの提出と納付を終えたか見えると管理しやすくなります。
対象期間が終わる前から、売上、仕入れ、設備、届出の資料をそろえておくと、締めの作業へつながります。過去の申告書を持っている場合も、今回は何年分・何期分なのかを表へ書き、その期間の方法と資料を合わせます。
申告を進める際は、提出する予定と納付する予定を別の欄にします。提出記録、納付方法、納付の記録を保存する場所も決めておきましょう。店の資金表には納税の予定を反映し、仕入れ、給与、返済等の支払いと並べて考えます。
毎月の資料整理で、年末に判断しやすい状態を作る
営業中は、税務のためだけに別の作業を増やすより、すでに残している資料を使って整理するところから始められます。レジの日次・月次集計、決済サービスの明細、仕入先の請求書、設備の資料を、月と内容が分かる形へ集めます。
想定場面として、現金で買った食材の領収書と、カードで買った備品の明細が混ざった店を考えます。先に支払方法だけで分けるより、何を買った資料か分かることを優先し、どの支払いに対応するかも残します。二重に集計したり、内容が分からないままになったりする箇所を見つけやすくなります。
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| 月ごとに整理するもの | 見ておくこと |
|---|---|
| 売上の集計 | 対象月、税率別、店内・持ち帰り・酒類等の内容 |
| 決済の明細 | レジ売上との対応、入金予定、差引きの内訳 |
| 仕入れ・経費の資料 | 相手先、取引日、内容、税率、保存資料 |
| 設備の資料 | 見積もり・契約・取引の内容、実施時期 |
| 登録・届出の控え | 適用の時期、申告期間との関係 |
| 判断を相談したい取引 | 何を、どの形で販売又は購入したか |
毎月すべての税額を確定させようとするより、判断に必要な情報が集まる状態を作ると続けやすくなります。曖昧な資料には用途のメモを添え、説明を受けた取引は回答と前提を一緒に残します。後で同じ形の取引が出てきたときにも、整理する材料になります。
担当が複数いる店は、レジの集計、請求書の整理、会計への入力を誰が行うか決めておきます。一人で行う店も、営業後に残す資料と後で集計する資料を分けると、忙しい日の作業を選びやすくなります。
消費税を考えるときによく出る疑問
レジでは税率を分けています。何を追加で用意するとよいですか
対象の年・決算期、過去の売上資料、登録通知、届出の控えをそろえると、課税判定と計算方法の検討へ進めます。税率別の集計があることは大切な準備ですが、適用できる方法や対象期間は別に整理します。集計の期間と取引の内容が分かる資料を残しましょう。
インボイスの登録日や届出の控えが見つかりません
分かっている事実と、探している資料を分けて書きます。以前の申告資料、登録通知、提出した記録があるかを順に整理すると、質問すべき部分を絞れます。思い出した内容を確定情報として埋めるより、どの時点で何をしたかを資料からたどる進め方が適しています。
消費税の金額と、口座に残っている金額が結び付きません
税額計算の表と資金の予定表を並べてみましょう。売上があった時期、カード等の入金、仕入れ・給与・返済等の支払いを別の欄へ書くと、数字が違う理由を整理しやすくなります。仮定例の税額は利益や残高と異なることを、自店の資料でも同じように読み分けます。
消費税と毎日の経理について、お悩みをお聞かせください
「自店が課税事業者かを整理したい」「店内と持ち帰りの集計が混ざっている」「今年の特例と翌年の方法が気になる」。そうした段階では、対象年・決算期、登録通知、届出の控え、手元の売上・仕入れ資料を分かる範囲でまとめてお伝えください。
税務顧問や経理支援を検討する価値は、申告直前の計算だけでなく、日々の資料が税務の判断へつながる形を考えることにもあります。自分で進められる作業と、一緒に整理したい作業を分けると、店の状況に合う支援を検討しやすくなります。
資料が一部混ざっている、届出の履歴が分からないという場面でも、どこで判断が止まっているかを言葉にすることが出発点です。飲食店の消費税、記帳、申告に向けた準備について、お悩みをお聞かせください。
税務監修:税理士 坂根崇真
