【税制改正速報】令和2年度税制改正大綱 国際課税

令和2年度税制改正大綱 具体的内容 国際課税についてまとめました。
なお、令和2年度税制改正大綱の基本的考え方については、【税制改正速報】令和2年度税制改正大綱をご覧ください。

子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応

(国 税)

(1)法人が、特定関係子法人から受ける配当等の額(その事業年度開始の日からその受ける直前までにその特定関係子法人から受ける配当等の額を含む。以下「対象配当金額」という。)が株式等の帳簿価額の 10%相当額を超える場合には、その対象配当金額のうち益金不算入相当額を、その株式等の帳簿価額から引き下げることとする。

(注1)上記の「特定関係子法人」とは、配当等の決議の日(以下「配当決議日」という。)において特定支配関係を有する他の法人をいう。

(注2)上記の「特定支配関係」とは、一の者(一の者と特殊の関係のある者を含む。)が他の法人の株式等又は一定の議決権の数等の 50%超を直接又は間接に有する場合における当該一の者と他の法人との関係等をいう。

(注3)上記の「益金不算入相当額」とは、受取配当益金不算入制度等により益金不算入とされる金額に相当する金額をいう。

(2)次に掲げる配当等の額は、本措置の対象から除外する。

① 内国普通法人である特定関係子法人の設立の日から特定支配関係発生日(法人との間に特定支配関係を有することとなった日をいう。以下同じ。)までの間において、その発行済株式の総数等の 90%以上を内国普通法人若しくは協同組合等又は居住者が有する場合の対象配当金額

② イに掲げる金額からロに掲げる金額を減算した金額がハに掲げる金額以上である場合における特定関係子法人から受ける対象配当金額

イ 配当決議日の属する特定関係子法人の事業年度開始の日における当該特定関係子法人の利益剰余金の額
ロ 当該開始の日からその配当等を受ける日までの間に特定関係子法人の株主が受ける配当等の総額
ハ 特定支配関係発生日の属する特定関係子法人の事業年度開始の日における利益剰余金の額に一定の調整を加えた金額

③ 特定支配関係発生日から 10 年を経過した日以後に受ける配当等の額

④ 対象配当金額が 2,000 万円を超えない場合におけるその対象配当金額

(3)対象配当金額のうち、特定支配関係発生日以後の利益剰余金の額から支払われたものと認められる部分の金額がある場合には、その部分の金額を超える金額を益金不算入相当額とすることができる。
(4)その他所要の措置を講ずる。

(地方税)

法人住民税及び事業税について、子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応に関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度等の見直し

(国 税)

(1)本制度の対象となる者について、次の見直しを行う。

① 特定法人の範囲から、次に掲げる法人を除外する。

イ 設立後2年を経過していない法人
ロ 租税条約等の相手国等(報告対象国を除く。)のうち一定の国又は地域の法令に準拠して設立された一定の外国報告金融機関等

② 本制度の対象となる特定取引を行う一定の者が他の者のために当該特定取引を行う場合等には、当該他の者が当該特定取引を行うものとして本制度を適用する旨を明確化するほか、本制度の対象となる「事業体」の定義規定を設ける。

(2)本制度の対象となる特定対象者の居住地国の特定手続等について、次の見直しを行う。

① 民法組合等の居住地国は、実質的な管理を行う場所の所在する国又は地域とする。

② 準拠法により遺産が事業体とされる場合には、被相続人の居住地国(現行:当該事業体の居住地国)を特定する。

③ 報告金融機関等と複数の者との間で締結されている既存特定取引に係る契約がある場合等には、特定取引契約資産額の合算の対象とする。

④ 報告金融機関等による特定対象者の一定の情報を取得するための措置について、報告対象国を特定対象者の居住地国として特定した場合に限定する。

⑤ 特定対象者の居住地国等の再特定手続について、報告金融機関等は、新規届出書等に関する状況の変化があった場合には、当該状況の変化があった日から3月を経過する日等の一定の日までに、当該新規届出書等を提出した者等に対し、異動届出書の提出要求等をし、その提出等がなかったときは、当該状況の変化に基づきその者の居住地国の特定等をしなければならないこととする等の所要の措置を講ずる。

(3)特定取引から除外される取引の範囲から、特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等(ストックオプション税制)の適用を受けて取得される株式に係る取引を除外した上、当該取引に係る特定手続について所要の措置を講ずる。
(4)報告対象外となる者の範囲に、外国政府等が資本金等の全部を出資している法人で一定の要件を満たすものを加える。
(5)特定取引を行う者又はその関係者等による当該特定取引に係る契約に関する行為等の主たる目的の一つが、報告事項の提供を回避することである場合には、その行為等はなかったものとして本制度を適用する。
(6)その他所要の措置を講ずる。

(注)上記((1)①、(2)⑤及び(4)を除く。)の改正は令和2年4月1日から、上記(1)①、(2)⑤及び(4)の改正は令和4年1月1日から、それぞれ適用する。

その他

(国 税)

(1)外国子会社合算税制の見直し
内国法人等の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)について、次の見直しを行う。

① 部分合算課税制度の対象となる受取利子等の額の範囲から、その本店所在地国においてその役員又は使用人が棚卸資産の販売の事業及びこれに付随する事業(棚卸資産の販売から生ずる利子(いわゆる「ユーザンス金利」)に係るものに限る。)を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事している外国関係会社が、非関連者に対して行う棚卸資産の販売から生ずる利子の額を除外する。

(注1)上記の改正は、外国関係会社の令和2年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。

(注2)特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例について、上記と同様の見直しを行う。

② 投資法人等が合算課税の適用を受ける場合には、外国関係会社の所得に対して課される外国法人税の額のうち、合算対象とされた金額に対応する部分の金額は、その投資法人等が納付した外国法人税の額とみなして、投資法人等の配当等に係る二重課税調整の対象とする等の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、外国関係会社の令和2年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。

(2)外国税額控除における控除対象外国税額の範囲の見直し
わが国で所得と認識されない金額に対して課されるものとして外国税額控除の対象から除外される外国法人税の額に、次の外国法人税の額を加える。

① 外国法人等の所得について、これを内国法人の所得とみなして当該内国法人に対して課される外国法人税の額

② 内国法人の国外事業所等において、当該国外事業所等から本店等又は他の者に対する支払金額等がないものとした場合に得られる所得につき課される外国法人税の額

(注1)居住者に係る外国税額控除制度について、上記と同様の見直しを行う。

(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び令和4年分以後の所得税について適用する。

(3)過大支払利子税制における対象外支払利子等の額の範囲の見直し
外国法人の恒久的施設が有する債権に係る経済的利益を受ける権利が、その本店等に移転されることがあらかじめ定まっている場合には、法人からその恒久的施設に支払われる利子等の額を対象外支払利子等の額から除外する。
(4)店頭デリバティブ取引に係る証拠金の利子の非課税制度の対象範囲の整備

情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴い、本制度の対象となる店頭デリバティブ取引の範囲から、暗号資産デリバティブ取引を除外する。

(5)法人番号等の確認制度について、次の措置を講ずる。

① 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の対象となる特定法人が届出書の提出をする場合において、その提出を受ける者が、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定により公表されている当該特定法人の名称、本店等の所在地及び法人番号を確認したときは、当該特定法人については、提出の際に必要な本人確認書類の提示を要しないこととする。

② 特定法人が届出書の提出をする場合において、その提出を受ける者が、電気通信回線による登記情報の提供に関する法律に規定する指定法人から登記情報の送信を受ける方法により当該特定法人の名称及び本店等の所在地を確認したときは、当該特定法人については、提出の際に必要な登記事項証明書の提示を要しないこととする。

(注)外国法人が振替国債等の利子の非課税制度等の適用を受けるために非課税適用申告書等を提出する場合について、上記と同様の措置を講ずる。

③ その他所要の措置を講ずる。

(地方税)

個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

納税環境整備

振替納税の通知依頼及びダイレクト納付の利用届出の電子化

(国 税)

振替納税の通知依頼及びダイレクト納付の利用届出について、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により申請等を行うことを可能とするとともに、その振替納税の通知依頼及びダイレクト納付の利用届出に係る情報を送信する際、その申請等を行う者の電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。

(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後に行う申請等について適用する。

準確定申告の電子的手続の簡素化

(国 税)

電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)による所得税の準確定申告書の提出について、その準確定申告書に記載すべき事項と併せて申告書確認情報(電子署名及び電子証明書を送信する相続人(以下「申請等相続人」という。)以外の相続人がその準確定申告書に記載すべき事項を確認したことを証する電磁的記録をいう。)を送信する場合には、その申請等相続人以外の相続人の電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。

(注)上記の改正は、令和2年分以後の所得税の準確定申告書を令和2年1月1日以後に提出する場合について適用する。

納税地の異動があった場合の振替納税手続の簡素化

(国 税)

振替納税を行っている個人が他の税務署管内へ納税地を異動した場合において、その個人が提出する納税地の異動届出書等に、その異動後も従前の金融機関の口座から振替納税を行う旨を記載したときは、異動後の所轄税務署長に対してする申告等について振替納税を引き続き行うことを可能とするよう、運用上の対応を行う。

(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後に提出する納税地の異動届出書等について実施する。

電子帳簿等保存制度の見直し

(国 税)

国税関係帳簿書類の保存義務者が電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。)を行った場合の電磁的記録の保存方法の範囲に、次の方法を加える。

(1)発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法

(2)電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の授受及び保存を行う方法

(注)上記の改正は、令和2年 10 月1日から施行する。

地方税共通納税システムの対象税目の拡大

(地方税)

地方公共団体の収納事務を行う地方税共同機構が電子的に処理する特定徴収金の対象税目に個人住民税の利子割、配当割及び株式等譲渡所得割を追加し、特別徴収義務者が eLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)を通じて電子で申告及び納入を行うことができるよう、所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和3年 10 月1日以後に特別徴収義務者が行う個人住民税の利子割、配当割及び株式等譲渡所得割の申告及び納入について適用する。

その他の円滑な申告・納税のための環境整備

(国 税)

(1)納税証明書の電子的請求手続等の柔軟化

① 納税証明書の電子的請求について、電子委任状を添付して行うことを可能とするとともに、その納税証明書の交付の請求に係る情報を送信する際、委任者の電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。

② 納税証明書の電子的交付について、税務署長等の電子署名及び電子証明書の送信に代えて、真正性を担保するための措置(その納税証明書に記載すべき事項が記録されたいわゆる「QRコード」の添付)を講ずることにより、申請者が納税証明書を複数印刷して使用することを可能とする。

(注)上記の改正は、令和3年7月1日以後に行う請求について適用する。

(2)支払調書等の電子的提出方法の柔軟化

電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により提出する支払調書等のファイル形式に、CSV形式を加える。

(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後に提出する支払調書等について適用する。

国外財産調書制度等の見直し

(国 税)

国外財産調書制度等について、次の見直しを行う。

(1)相続国外財産に係る相続直後の国外財産調書等への記載の柔軟化

相続の開始の日の属する年(以下「相続開始年」という。)の 12 月 31 日においてその有する国外財産に係る国外財産調書については、その相続又は遺贈により取得した国外財産(以下「相続国外財産」という。)を記載しないで提出することができることとする。この場合において、国外財産調書の提出義務については、国外財産の価額の合計額からその相続国外財産の価額の合計額を除外して判定する(財産債務調書における相続財産(相続又は遺贈により取得した財産をいう。以下同じ。)についても同様とする。)。

(注)上記の改正は、令和2年分以後の国外財産調書又は財産債務調書について適用する。

(2)国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置の見直し

① 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置(以下「加算税の加重措置」という。)の適用対象に、相続国外財産に対する相続税に関し修正申告等(修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は更正若しくは決定をいう。以下同じ。)があった場合を加える。

② 次のいずれかに該当する場合には、加算税の加重措置は適用しないこととする(財産債務調書における相続財産についても同様とする。)。

イ その年の 12 月 31 日において相続国外財産を有する者(その価額の合計額が提出基準額(5,000 万円)を上回る国外財産(相続国外財産を除く。)を有する者を除く。)の責めに帰すべき事由がなく提出期限内に国外財産調書の提出がない場合

ロ その年の 12 月 31 日において相続国外財産を有する者の責めに帰すべき事由がなく国外財産調書に記載すべき相続国外財産についての記載がない場合(記載不備の場合を含む。)

(3)過少申告加算税等の特例の適用の判定の基礎となる国外財産調書等の見直し

相続国外財産に対する相続税に関し修正申告等があった場合の過少申告加算税等の特例の適用の判定の基礎となる国外財産調書について、次に掲げる措置の区分に応じそれぞれ次に定める国外財産調書とする(次の①については、財産債務調書における相続財産についても同様とする。)。

① 国外財産調書の提出がある場合の過少申告加算税等の軽減措置(以下「加算税の軽減措置」という。) 次に掲げる国外財産調書のいずれか

イ 被相続人の相続開始年の前年分の国外財産調書
ロ 相続人の相続開始年の年分の国外財産調書
ハ 相続人の相続開始年の翌年分の国外財産調書

② 加算税の加重措置 上記①イからハまでに掲げる国外財産調書の全て

(注1)上記(2)①の場合の加算税の加重措置は、上記①ハに掲げる国外財産調書の提出義務がない相続人については、適用しない。

(注2)上記(1)により国外財産調書に記載しないことができる相続国外財産に係る所得税に関し修正申告等があった場合の加算税の加重措置は、相続開始年の年分については、適用しない。

(4)国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示又は提出がない場合の加算税の軽減措置及び加重措置の特例の創設

国外財産を有する者が、国税庁等の当該職員から国外財産調書に記載すべき国外財産の取得、運用又は処分に係る書類のうち、その者が通常保存し、又は取得することができると認められるもの(その電磁的記録又はその写しを含む。)の提示又は提出を求められた場合において、その提示又は提出を求められた日から 60 日を超えない範囲内においてその提示又は提出の準備に通常要する日数を勘案して当該職員が指定する日までにその提示又は提出をしなかったとき(その者の責めに帰すべき事由がない場合を除く。)における加算税の軽減措置及び加重措置の適用については、次のとおりとする。

① その国外財産に係る加算税の軽減措置は、適用しない。

② その国外財産に係る加算税の加重措置については、その加算する割合を10%(適用前加算割合:5%)とする。

(注)上記②については、上記(2)②イ又はロに該当する場合には、その加算する割合を5%(適用前加算割合:なし)とする。

(5)その他所要の措置を講ずる。

(注)上記(2)から(5)までの改正は、令和2年分以後の所得税又は令和2年4月1日以後に相続若しくは遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。

国外取引等の課税に係る更正決定等の期間制限の見直し

(国 税)

国外取引等の課税に係る更正決定等の期間制限について、次の見直しを行う。

(1)次の①に掲げる事由が生じた場合において、次の②に掲げる事由に基づいてする更正決定等について、租税条約等の相手国等に対して情報提供要請に係る書面が発せられた日から3年間は、行うことができることとする。

① 国税庁等の当該職員が納税者に国外取引又は国外財産に関する書類(その電磁的記録又はその写しを含む。)の提示又は提出を求めた場合において、その提示又は提出を求めた日から 60 日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して当該職員が指定する日までにその提示又は提出がなかったこと(納税者の責めに帰すべき事由がない場合を除く。)。

② 国税庁長官(その委任を受けた者を含む。)が租税条約等の規定に基づきその租税条約等の相手国等に上記①の国外取引又は国外財産に関する情報提供要請をした場合(その情報提供要請が更正決定等をすることができないこととなる日の6月前の日以後にされた場合を除くものとし、その情報提供要請をした旨の納税者への通知が情報提供要請をした日から3月以内にされた場合に限る。)において、その課税標準等又は税額等に関し、租税条約等の相手国等から提供があった情報に照らし非違があると認められること。

(注)上記の「国外取引」とは、非居住者又は外国法人との間で行う資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引(非居住者又は外国法人が提供する場を利用して行われる取引を含む。)をいう。

(2)上記(1)に併せて、国外取引等の課税に係る更正決定等により納付すべき国税の消滅時効等について所要の整備を行う。

(注)上記の改正は、令和2年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用する。

利子税・還付加算金等の割合の引下げ

(国 税)

利子税・還付加算金等の割合について、次の見直しを行う。

(1)利子税の割合は、各年の利子税特例基準割合が年 7.3%未満の場合には、その年中においては、次に掲げる利子税の区分に応じそれぞれ次に定める割合とする。

① 次の②以外の利子税 その利子税特例基準割合

② 相続税及び贈与税に係る利子税 これらの利子税の割合に、その利子税特例基準割合が年 7.3%に占める割合を乗じて得た割合

(注)上記の「利子税特例基準割合」とは、各年の前々年の9月から前年の8月まで(現行:前々年の 10 月から前年の9月まで)の各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を 12 で除して得た割合として各年の前年の 11 月 30 日まで(現行:12 月 15 日まで)に財務大臣が告示する割合(以下「平均貸付割合」という。)に年 0.5%(現行:年1%)の割合を加算した割合をいう。

(2)納税の猶予等の適用を受けた場合(延滞税の全額が免除される場合を除く。)の延滞税の割合は、納税の猶予等をした期間の猶予特例基準割合が年 7.3%未満の場合には、その期間においては、その猶予特例基準割合とする。

(注1)上記の「猶予特例基準割合」とは、平均貸付割合に年 0.5%(現行:年1%)の割合を加算した割合をいう。

(注2)上記(2)以外の延滞税の割合については、従前どおりの割合とする。

(3)還付加算金の割合は、各年の還付加算金特例基準割合が年 7.3%未満の場合には、その年中においては、その還付加算金特例基準割合とする。

(注)上記の「還付加算金特例基準割合」とは、平均貸付割合に年 0.5%(現行:年1%)の割合を加算した割合をいう。

(4)利子税・還付加算金等の割合について0%となることのないよう下限を整備するほか、所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後の期間に対応する利子税・還付加算金等について適用する。

(地方税)

還付加算金等の割合について、次の見直しを行う。

(1)還付加算金の割合は、各年の還付加算金特例基準割合が年 7.3%未満の場合には、その年中においては、その還付加算金特例基準割合とする。

(注)上記の「還付加算金特例基準割合」とは、各年の前々年の9月から前年の8月まで(現行:前々年の 10 月から前年の9月まで)の各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を 12 で除して得た割合として各年の前年の 11 月 30 日まで(現行:12 月 15 日まで)に財務大臣が告示する割合(以下「平均貸付割合」という。)に年 0.5%(現行:年1%)の割合を加算した割合をいう。

(2)納税の猶予等の適用を受けた場合(延滞金の全額が免除される場合を除く。)の延滞金の割合は、納税の猶予等をした期間の猶予特例基準割合が年 7.3%未満の場合には、その期間においては、その猶予特例基準割合とする。

(注)上記の「猶予特例基準割合」とは、平均貸付割合に年 0.5%(現行:年1%)の割合を加算した割合をいう。

(3)法人住民税及び法人事業税の納期限の延長の適用を受けた場合の延滞金の割合は、各年の国税の利子税特例基準割合が年 7.3%未満の場合には、その年中においては、その利子税特例基準割合とする。

(注)上記の「利子税特例基準割合」とは、平均貸付割合に年 0.5%(現行:年1%)の割合を加算した割合をいう。

(4)還付加算金等の割合について0%となることのないよう下限を整備するほか、所要の措置を講ずる。

(注1)上記(2)及び(3)以外の延滞金の割合については、従前どおりの割合とする。

(注2)上記の改正は、令和3年1月1日以後の期間に対応する還付加算金等について適用する。

その他の課税関係の整備・適正化等

(国 税)

(1)期限到来間際にされた申告に係る加算税の賦課決定期限の整備

賦課決定をすることができないこととなる日前3月以内にされた納税申告書の提出又は納税の告知を受けることなくされた源泉所得税等の納付(調査による更正決定又は納税の告知を予知してされたものを除く。)に係る無申告加算税又は不納付加算税の賦課決定について、その提出又は納付がされた日から3月を経過する日まで、行うことができることとするとともに、これらの賦課決定により納付すべき国税の消滅時効等について所要の整備を行う。

(注)上記の改正は、令和2年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税に係る加算税について適用する。

(2)口頭意見陳述におけるテレビ会議システムの利用

審査請求及び再調査の請求における口頭意見陳述について、一般的な行政不服審査と同様に、テレビ会議システムを用いて行うことができることとする。

(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後にされる審査請求又は再調査の請求に係る口頭意見陳述について適用する。

(3)不動産公売等における暴力団員等の買受け防止措置の創設

国税の不動産の公売等について、民事の不動産の競売における暴力団員等による買受けの防止措置と同様に、次の措置を講ずる。

① 公売財産(不動産に限る。以下「公売不動産」という。)の入札等(入札又は競り売りに係る買受けの申込みをいう。以下同じ。)をしようとする者は、暴力団員等でない旨を陳述しなければ、入札等をすることができないこととする。

② 税務署長は、公売不動産の最高価申込者等(最高価申込者及び次順位買受申込者をいう。以下同じ。)が暴力団員等に該当するか否かについて、その税務署の所在地を管轄する都道府県警察に照会しなければならないこととする。

③ 税務署長は、公売不動産の最高価申込者等が暴力団員等に該当すると認める場合には、最高価申込者等とする決定を取り消すことができるものとする。

④ 上記①の陳述について、虚偽陳述に対する罰則を設ける。

⑤ その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後に行う公告に係る公売等について適用する。

(地方税)

(1)期限到来間際にされた申告に係る加算金の決定期限の整備

決定をすることができないこととなる日前3月以内にされた申告書の提出(調査による更正決定を予知してされたものを除く。)に係る不申告加算金の決定について、その提出がされた日から3月を経過する日まで、行うことができることとするとともに、この決定により納付すべき不申告加算金の消滅時効について所要の整備を行う。

(注)上記の改正は、令和2年4月1日以後に申告書の提出期限が到来する地方税に係る加算金について適用する。

(2)不動産公売等における暴力団員等の買受け防止措置の創設

地方税の不動産の公売等について、公売財産(不動産に限る。)の入札等(入札又は競り売りに係る買受けの申込みをいう。以下同じ。)をしようとする者は、暴力団員等でない旨を陳述しなければ、入札等をすることができないこととする等、不動産公売等における暴力団員等の買受け防止措置に関し国税の滞納処分の例によることとし、上記の陳述について、虚偽陳述に対する罰則を設ける。

(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後に行う公告に係る公売等について適用する。

(3)情報照会手続の整備

徴税吏員が事業者等に、地方税に関する調査(犯則事件の調査を除く。)に関し参考となるべき簿書及び資料の閲覧又は提供その他の協力を求めることができることを法令上明確化する。

問い合わせ内容の一例と男性。LINE対応可能。

関連記事です。

税制改正勉強会-令和2年度税制改正

2019年12月28日に、税理士および税理士事務所の職員を対象に、令和2年度税制改正勉強会を開催します。

注意事項
※1 本記事は2019年12月12日に公表された、与党税制改正大綱に基づき記載しております。
※2 2019年12月12日現在、閣議決定されていないため、実際の改正内容と異なる場合があります。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失について、弊社では一切の責任を負いかねます。

 

ブラッシュメーカー会計事務所をフォローする

シンプルでカスタマイズしやすいWordPressテーマ

※この表示はExUnitの Call To Action 機能を使って固定ページに一括で表示しています。投稿タイプ毎や各投稿毎に独自の内容を表示したり、非表示にする事も可能です。

ビジネス向けWordPressテーマ「Johnny」はシンプルでカスタマイズしやすいテーマです。ぜひ一度お試しください。