【税制改正速報】令和2年度税制改正大綱 消費課税

令和2年度税制改正大綱 具体的内容 消費課税についてまとめました。
なお、令和2年度税制改正大綱の基本的考え方については、【税制改正速報】令和2年度税制改正大綱をご覧ください。

たばこ税の見直し

(国税・地方税)

軽量な葉巻たばこに係る国及び地方のたばこ税の課税方式について、次の見直しを行う。

(1)軽量な葉巻たばこ(1本当たりの重量が1g未満の葉巻たばこをいう。)の課税標準について、葉巻たばこ1本を紙巻たばこ1本に換算する方法とする。

(2)上記の改正は、令和2年 10 月1日から実施するが、激変緩和等の観点から、同日から令和3年9月 30 日までの間について、上記の改正の対象を1本当たりの重量が 0.7g未満の葉巻たばこに限ることとし、その場合の換算方法を葉巻たばこ1本を紙巻たばこ 0.7 本に換算する方法とする経過措置を講ずる。

(3)その他所要の措置を講ずる。

法人に係る消費税の申告期限の特例の創設

(国 税)

法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について、次の措置を講ずる。

(1)法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人が、消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合には、当該提出をした日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間に係る消費税の確定申告書の提出期限を1月延長する。

(2)その他所要の措置を講ずる。

(注1)上記の改正は、令和3年3月 31 日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用する。

(注2)確定申告書の提出期限が延長された期間の消費税の納付については、当該延長された期間に係る利子税を併せて納付する。

(地方税)

法人に係る消費税の申告期限の特例の創設に伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和3年3月 31 日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用する。

租税特別措置等

(国 税)

〔延長・拡充等〕

(1)入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置について、特例税率を 1,000 本につき 13,500 円(現行:12,500 円)に引き上げた上、その適用期限を1年延長する。
(注)上記の改正のうち、税率引上げについては、令和2年 10 月1日から実施する。

(2)バイオエタノール等揮発油に係る揮発油税等の課税標準の特例措置の対象となるバイオエタノール等の範囲に、カーボンリサイクル技術を用いて製造されるエタノール等を加える。

(3)特定の用途に供する石炭に係る石油石炭税の軽減措置の適用期限を3年延長する。

(4)特定の石油製品等を特定の運送、農林漁業又は発電の用に供した場合の石油石炭税の還付措置の適用期限を3年延長する。

(5)輸入・国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免税・還付措置の適用期限を3年延長する。

(6)沖縄発電用特定石炭等に係る石油石炭税の免税措置の適用期限を2年延長する。

(7)非製品ガスに係る石油石炭税の還付措置の適用期限を3年延長する。

(8)航空機燃料税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。

(9)沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。

(10)特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。

(地方税)

〔延長・拡充〕

〈ゴルフ場利用税〉

(1)国民体育大会のゴルフ競技に参加する選手が当該国民体育大会のゴルフ競技の公式の練習のためにゴルフを行う場合(都道府県知事又は都道府県の教育委員会がその旨を証明する場合に限る。)のゴルフ場の利用について、ゴルフ場利用税の非課税措置を講ずる。

(2)国際的な規模のスポーツの競技会(閣議において決定又は了解されたものに限る。)(注)のゴルフ競技に参加する選手が当該競技会のゴルフ競技として、又は当該競技会のゴルフ競技の公式の練習のためにゴルフを行う場合(当該競技会のゴルフ競技の準備及び運営を行う者がその旨を証明する場合に限る。)のゴルフ場の利用について、当分の間、ゴルフ場利用税の非課税措置を講ずる。
(注)令和2年に開催される東京オリンピック競技大会を含むものとする。

〈軽油引取税〉

(3)船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、わが国とわが国以外の締約国との間の物品又は役務の相互の提供に関する条約その他の国際約束に基づき、当該締約国の軍隊の船舶の動力源に供するため行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、日・インド物品役務相互提供協定(仮称)の締結を前提に、同協定に基づきインド軍隊の船舶の動力源に供するため譲渡する場合を対象に加える。

〈航空機燃料譲与税〉

(4)航空機燃料譲与税の譲与割合を引き上げる措置の適用期限を2年延長する。

〔廃止〕

〈軽油引取税〉

電気供給業を営む者が汽力発電装置の助燃の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置は、令和2年3月 31 日をもって廃止する。

その他

(国 税)

(1)居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化

① 居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度について、次の見直しを行う。

イ 住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するもの(以下「居住用賃貸建物」という。)の課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。ただし、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分については、引き続き仕入税額控除制度の対象とする。

ロ 上記イにより仕入税額控除制度の適用を認めないこととされた居住用賃貸建物について、その仕入れの日から同日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の末日までの間に住宅の貸付け以外の貸付けの用に供した場合又は譲渡した場合には、それまでの居住用賃貸建物の貸付け及び譲渡の対価の額を基礎として計算した額を当該課税期間又は譲渡した日の属する課税期間の仕入控除税額に加算して調整する。

② 住宅の貸付けに係る契約において貸付けに係る用途が明らかにされていない場合であっても、当該貸付けの用に供する建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税を非課税とする。

③ 高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象に、高額特定資産である棚卸資産が納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整措置(以下「棚卸資産の調整措置」という。)の適用を受けた場合を加える。

④ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記①の改正は令和2年 10 月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合について、上記②の改正は同年4月1日以後に行われる貸付けについて、上記③の改正は同日以後に棚卸資産の調整措置の適用を受けた場合について、それぞれ適用する。ただし、上記①の改正は、同年3月 31 日までに締結した契約に基づき同年 10 月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合には、適用しない。

(2)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正を前提に、次の措置を講ずる。

① 敷地分割組合(仮称)を、消費税法別表第三に掲げる法人とみなす。

② マンション敷地売却組合の業務範囲の見直し後も、引き続き消費税法別表第三に掲げる法人とみなす。

(3)国有林野の管理経営に関する法律の改正に伴い、同法の樹木採取権を消費税法上の調整対象固定資産(無形固定資産)とする。
(4)外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、消費税の免税販売手続が可能なものとして財務大臣が定める基準を満たす自動販売機であることについて国税庁長官が観光庁長官と協議して定めるものを設置した場合には、当該設置に係る輸出物品販売場の許可につき人員配置は要しないものとする。

(注)上記の改正は、令和3年 10 月1日以後に行われる輸出物品販売場の許可申請について適用する。

(5)卸売市場法の改正に伴い、次の措置を講ずる。

① 消費税の適格請求書の交付義務が免除される卸売市場の範囲を、中央卸売市場、地方卸売市場及び農林水産大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たす卸売市場とする。

② その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和5年 10 月1日以後に行われる課税資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用する。

(6)資金決済法等改正法の施行の日以後に、総合取引所を介して行われる金又は白金の地金の課税仕入れにおける消費税法上の本人確認書類の保存について、当該課税仕入れの媒介等を行う者の本人確認書類によることを認める。
(7)消費税が非課税とされる社会福祉事業等の範囲に、1日当たり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち一定の基準を満たすものとして都道府県知事等から当該基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものにおいて行われる保育を加える。

(注)上記の改正は、令和2年 10 月1日以後に行われる資産の譲渡等について適用する。

(8)酒税、たばこ税、揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税における輸出免税等の適用に当たって必要となる輸出明細書等の税務署長への提出について、輸出明細書の提出を不要とする等、輸出免税制度等に係る手続の簡素化を図る。

(注)上記の改正は、令和2年4月1日以後に納税申告書の提出期限が到来する酒税、たばこ税、揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税について適用する。

(9)酒類の製造免許等の制度について、次の見直しを行う。

① 酒類の製造免許に係る最低製造数量基準について、輸出するために清酒を製造しようとする者が清酒の製造免許を申請した場合には、最低製造数量基準(現行:60 ㎘)を適用しない。
(注)上記の改正は、令和3年4月1日以後に行われる申請に係る免許について適用する。

② 酒類の製造免許等の承継制度について、酒類の製造免許等を承継することができる者の範囲に、事業譲渡によりその事業の全部を承継した者を加える。
(注)上記の改正は、令和2年4月1日以後に行われる事業譲渡について適用する。

③ 酒類の製造免許等の申請書について、住民票の写しの添付を不要とする。
(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後に提出する申請書について適用する。

(10)酒類の品目等の表示義務について、一定の原料用アルコールについては、品目の表示を泡盛とすることを可能とする。
(11)電気事業法の改正により、一般送配電事業者に代わり一定の地域の配電を担う新たな事業者区分が創設されることに伴い、当該事業者が供給する電気について電源開発促進税の課税対象とする等の所要の措置を講ずる。
(12)沖縄の揮発油に係る揮発油税及び地方揮発油税の軽減措置の適用期限を2年延長する。

(地方税)

(1)地方消費税に係る徴収取扱費について、所要の経過措置を講じた上、次の見直しを行う。
現行

 

改正案
① 譲渡割に係る徴収取扱費

徴収取扱費算定期間に各都道府県に払い込むべき譲渡割として納付された額の総額(社会保障財源化分を除く。)× 0.60%

② 貨物割に係る徴収取扱費

徴収取扱費算定期間に各都道府県に払い込むべき貨物割として納付された額の総額(社会保障財源化分を除く。)× 0.60%

① 譲渡割に係る徴収取扱費

徴収取扱費算定期間に各都道府県に払い込むべき譲渡割として納付された額の総額(社会保障財源化分を除く。)× 0.55%

② 貨物割に係る徴収取扱費

徴収取扱費算定期間に各都道府県に払い込むべき貨物割として納付された額の総額(社会保障財源化分を除く。)× 0.65%

(2)地方のたばこ税における輸出免税等の適用に当たって必要となる課税免除事由に該当することを証するに足りる書類の都道府県知事及び市町村長への提出について、当該書類の提出を不要とする等、輸出免税制度等に係る手続の簡素化を図る。

(注)上記の改正は、令和2年4月1日以後に納税申告書の提出期限が到来する地方のたばこ税について適用する。

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税制改正勉強会-令和2年度税制改正

2019年12月28日に、税理士および税理士事務所の職員を対象に、令和2年度税制改正勉強会を開催します。

注意事項
※1 本記事は2019年12月12日に公表された、与党税制改正大綱に基づき記載しております。
※2 2019年12月12日現在、閣議決定されていないため、実際の改正内容と異なる場合があります。
※3 本記事に記載された内容に従って行動された結果生じた損失について、弊社では一切の責任を負いかねます。

 

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