
自己資金は、残高だけでなく「どのように用意したお金か」「今、開業に使えるか」が分かるように準備します。貯蓄、退職金、親族からの援助、借入を分け、通帳や取引明細と説明を対応させましょう。
現行の公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」の公開要件には、一律の自己資金割合は掲げられていません。ただし、自己資金が審査や資金計画で考慮されないという意味ではありません。一定額を貯めれば希望額が必ず借りられる、という判断もしないようにします。
この記事は、自己資金を形成した経緯と資料の整理に絞ったものです。借入先の選び方や返済計画の全体像は、飲食店の開業融資ガイドで確認できます。
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残高から、開業に使えるお金を分ける
自己資金の説明は、四つの問いに分ける
「自己資金はいくらありますか」と聞かれると、いちばん残高の多い口座を見せればよいように感じるかもしれません。準備では、金額の前に、誰のお金か、どこから来たか、今どこにあるか、何に使えるかを分けてください。この四つがつながると、通帳の数字だけでは見えない経緯を説明できます。
例えば、勤務先からの給与を少しずつ貯めた方は、本人の給与入金と貯蓄の経過が中心になります。退職金を加える方は、通知された額と受取済みの額、入金日を確認します。親族の援助が入った方は、返済の有無と実際の振込を確かめます。同じ残高でも、集める資料は同じではありません。
この整理は、見た目の残高をよくする方法ではありません。通帳に説明しにくい取引があった場合も、その取引を消して提出するより、事実に合う経緯を確認する準備です。資料だけでは分からない点はメモに残し、どの資料や説明が必要かを申込先へ確認します。
さらに、資金形成の説明と、公庫が評価する自己資金の額、開店までに払える現金の額は区別します。自分の整理表に計上したから、その額が審査でそのまま認められるわけではありません。この記事では、自分の資金の状態を正しく把握し、根拠と結び付ける作業を扱います。
確認日をそろえ、口座と現金を一覧にする
まず、本人名義の口座、貯蓄用口座、手元現金など、開業準備に関係する資金の置き場所を書き出します。残高を確認する日はそろえましょう。給与が入る前の口座と入った後の口座を合算すると、同じお金が移動しただけなのに増えたように見える場合があります。
口座一覧には、金融機関、名義、確認日、残高、主な用途、確認した明細の保存先を残します。残高の画面だけを保存した場合と、取引の経緯を保存した場合も分けてください。送金先の口座情報を確認する資料は、開業資金をどう貯めたかの説明資料とは目的が異なります。
現金がある方は、確認日に実際にある額を数え、預金と混ざらないよう別の欄へ記録します。口座から引き出して現金で保管したものなら、引出し側の記録とも対応させます。現金を口座へ戻した後に、以前の手元現金をそのまま足すと重複してしまうためです。
家族名義の預金は、本人の口座とは別の欄に置きます。家族が援助すると話している段階と、本人が受け取って開業に使える段階は違います。予定額を現在の現金に加えるのではなく、合意内容、受取時期、返済条件などを確認してから資金計画へつなげます。
通帳に300万円あっても、全部を工事代に使えるとは限りません。近く支払う生活費、すでに約束した支払い、返済が必要なお金が含まれている場合があるからです。
最初に、確認日の預金残高、手元現金、各支払いの予定を一覧にします。口座が複数ある場合は、同じ日付で残高をそろえると整理しやすくなります。ご家族の名義のお金は、自分の口座残高へ足す前に、所有者の意思と資金の性質を確認してください。
まだ受け取っていない退職金や、売却予定の資産も、すでに口座へ入っている資金とは分けます。「いつ入る予定か」と「いつ設備代を払うか」がずれていないかを見るためです。
公庫の飲食業向け創業手引は、貯蓄を続けることや日常の支払状況も、準備のポイントとして示しています。残高を大きく見せることより、準備の経緯を資料で説明できる状態を目指しましょう。
給与から貯めたお金は、入金と積立をつなぐ
給与の総額と、実際に残った積立額を混同しない
長く飲食店で働きながら開業の準備をしてきた方は、給与明細と口座の入出金を合わせて見ます。給与が入った額をすべて自己資金として足すのではなく、生活の支払いなどを経て、貯蓄として残った流れを確認してください。年収が分かる資料だけでは、現在の預金をどう形成したかまでは分かりません。
積立用の口座に毎月送っていた場合は、給与口座の出金と貯蓄口座の入金を対応させます。積立額が月ごとに違っていても、理由があるなら事実に沿って整理します。家賃の更新や大きな生活支出で取り崩した月も、なかったことにせず、全体の経過に含めましょう。
家族と生活費を分担している方は、給与から積立へ回せた理由を自分の言葉で説明できるようにします。ただし、家族の家計全体を独自に審査して、一定の積立率を満たせばよいと決めるものではありません。必要な範囲の提出資料は申込先へ確認し、生活の事実と貯蓄の記録が矛盾しないよう整理します。
今後さらに貯める予定がある場合は、受取済みの資金と将来の積立計画を分けます。退職前に給与が続く予定でも、そのお金が現在の残高へ入ったわけではありません。将来の予定は予定として残し、申込時や支払時点で使える額を取り違えないことが大切です。
給与振込の口座と貯蓄用口座を分けている方は、二つの口座の取引をつなげて整理します。給与が入った後に貯蓄用口座へ移した記録が分かれば、「毎月の給与からいくら積み立てたか」を説明しやすくなります。
自分の口座から自分の別口座へ移したお金は、新しく増えた資金ではありません。移した先だけを見て「追加の自己資金」と数えると、二重計上になります。
口座間の移動は、両側の記録で確認する
一つの口座だけを見ていると、まとまった入金が給与の積立なのか、定期預金の解約なのか、家族からの援助なのかが分かりにくくなります。振替元と振替先の記録を並べ、日付、金額、名義、取引の内容を対応させてください。記帳の表記が異なるときは、振込控えなどで補います。
仮に本人のA口座からB口座へ50万円を移すだけなら、Aは50万円減り、Bは50万円増えます。全口座を合計した増減は、−50+50=0万円です。この例では手数料などを含めず、本人間の移動だけを示しています。実際に手数料が出た場合は、その出金も別に確認します。
移動した先の50万円を「新たな資金」として足さず、元からあった資金が置き場所を変えたと記録しましょう。銀行から現金を引き出して別口座へ入れた場合も、出金、現金の移動、入金がつながるかを見ます。つながりが確認できないものは、番号を付けて未確認のまま残します。
定期預金を解約した方も、解約前の残高と解約後の普通預金を同時に足さないようにします。残高の基準日をそろえることと、取引の流れをたどることを組み合わせれば、重複しやすい箇所を見つけられます。金融機関が認める額の判断とは別に、手元の集計を正しくする作業です。
ネット銀行の場合は、取引明細の保存期限にも気を配りましょう。必要な期間を申込先に確認し、取引日、入出金額、相手先、残高が分かる形で保存します。提出する範囲は担当者に確認し、都合のよい取引だけ抜き出して経緯が分からなくならないようにします。
よく見かける「必ず6か月分」「1年以上なければ不可」という説明を、すべての制度に共通する決まりとして扱う必要はありません。必要な資料の範囲は申込みごとに確認します。長く準備している方は、その経緯が分かる資料も残しておくと説明に使えます。
まとまった入金は、出所ごとに資料を添える
申込み前にまとまったお金が入っていても、それだけで結論を出すことはできません。退職金、資産の売却、定期預金の解約など、理由がある場合は、その入金に対応する資料を整理してください。
表は横にスクロールできます。
| 入金の内容 | 用意する説明資料の例 | 分けて確認すること |
|---|---|---|
| 給与からの貯蓄 | 給与明細、給与振込・積立の記録 | 別口座への移動を二重に数えない |
| 退職金 | 支払通知、入金明細 | 未受取額を現在の残高へ足さない |
| 定期預金の解約 | 解約前後の明細 | 元の預金と解約後の預金は同じ資金 |
| 株式等の売却 | 売却・出金・入金の記録 | 評価額と実際に受け取った額を分ける |
| 親族からの援助 | 合意内容、振込記録 | 贈与か借入か、返済義務があるか |
| 手元現金の入金 | 給与・売却など原資の資料 | 口座入金だけで形成経緯を説明できるか |
この表は、説明のための編集用準備表です。列挙した資金がすべて自己資金として認められることを示すものではありません。利用する制度、実際に使える時期、提出資料をもとに、金融機関が確認します。
現金で貯めてきた方も、まず手元にある資料を探しましょう。今から口座へ入れた記録は「入金した日」の記録であり、何年も貯蓄してきたことの証明そのものにはなりません。実際の経緯を変えずに、給与や生活支出の記録など、補える資料があるか確認します。
退職金・資産売却は、予定と受取を分けて追う
退職金を開業資金へ充てる方は、支払通知などに書かれた内容と、口座へ実際に入った金額を照合します。受取予定の段階なら、予定日と現在確認できる資料を残してください。通知があるだけで、今日の設備代を払える現金として扱うものではありません。
株式やその他の資産を売って資金を作った場合も、売却した取引、出金した記録、銀行口座への入金をつなげます。売却前の評価額と、最終的に受け取った現金は別です。費用や税金をどう確認する必要があるかは、個別の取引内容に応じて整理し、この記事だけで手取り額を決めません。
元の資産をいつどのように取得したか、売却代金の入金先はどこか、すでに他の支払いへ使っていないかも確認します。資産の所有者が本人以外であれば、本人の売却資金として説明せず、援助や借入など実際の関係を分けて伝えます。
資料の名前は、売却代金の通知、口座明細など発行元によって異なります。この記事で挙げた名前と完全に同じ書類を新たに作る必要はありません。実際の取引内容を確認できる資料を集め、どの範囲が必要か申込先へ確かめます。自作の説明メモは、原資料をたどるための補助として使いましょう。
現金で貯めた経緯が、通帳だけでは分からない場合
現金での貯蓄は、現在口座へ入れた日と、もともとお金を得た日が離れることがあります。まず記憶だけで確定した説明を作らず、給与の受取、過去の引出し、資産の売却など、残っている資料を探します。大きな入金に一律の良し悪しを付けるのではなく、出所を確かめます。
資料が十分に残っていない場合は、その事実を伝えられるようにしましょう。古い記録が見つからないからといって、過去の取引明細や給与の受取証明を自分で作成し、発行された資料のように提出することはできません。本人がまとめたメモと、第三者が発行した記録を分けます。
今後の準備では、貯蓄の置き場所、入出金の記録、生活と事業の支払いを確認しやすい形へ整えます。現金を入れる順番を工夫して出所を隠すことが目的ではありません。現在の資料でどう説明できるか、追加で確認するものは何かを申込先へ確かめ、事実に沿った準備を続けます。
親族からの援助は、返すお金かどうかを先に決める
親から100万円を受け取った場合、返済不要の援助と、毎月返す借入では、その後の資金繰りが違います。借りたお金なら、親族からの借入として返済条件と一緒に整理します。
公庫の創業計画書も、自己資金と親族等からの借入を別の欄にしています。「銀行以外から借りたから自己資金」という整理は避けましょう。
援助する側と受け取る側で、金額、時期、返済の有無、用途の認識をそろえ、振込記録と合意内容を残します。贈与に関する税務の確認が必要な場合もあるため、融資での取扱いと税金の扱いは分けて確認してください。
一時的に借りて審査後に返す予定のお金を、自分が貯めたお金として説明することはできません。資金が足りないと感じたら、設備費、物件条件、開業時期を見直し、実際の資金構成で成り立つ計画を考えていきましょう。
家族との話は、金額以外の条件もそろえる
家族から「お店を応援する」と言われたときは、本人が返済不要と理解していても、渡す側は落ち着いたら返してもらうつもりかもしれません。口座へ入金する前に、金額、渡す時期、返済の有無、返す場合の条件、用途を話し合います。後から都合に合わせて性質を変えないための確認です。
借入なら、誰から借りたか、残高、返済時期や方法を資金調達の説明へ含めます。家族から借りたお金も、開業後の返済が発生するなら資金繰りに影響します。銀行の融資だけを返済として数え、親族への支払いを外して計画を良く見せることは避けましょう。
返済不要の援助として受け取る場合も、贈与等の税務上の確認が必要なことがあります。一定の額以下なら何も確認しなくてよいとこの記事で決めず、誰から誰へ、いつ、何のために受け取るかを記録し、個別の税務を確認します。税金の扱いと、融資での資金の評価は別の判断です。
家族がまだ自分の口座に保管している予定資金は、本人の現在残高とは分けます。援助が確定しているか、実際にいつ受け取れるか、他の用途へ使われないかを確認し、受領した後は振込記録と合意内容を対応させます。合意だけで入金済みと表示することはしません。
法人で開業する場合は、個人にある預金と、法人が実際に使える資金を分けて整理します。出資や貸付など、どのような経緯で法人へ資金を移すかによって説明する資料が変わるため、個人・法人の記録を混ぜず、申込主体と資金の関係を申込先や専門家へ確認してください。会社設立の詳細手続きは別に扱います。
開業資金や事業計画の準備でお困りの方へ。お店の計画やお悩みをお聞かせください。
支払い済みの開業費用と、今ある残高を混ぜない
すでに厨房機器や物件費用を払った場合は、「開業に向けて使った額」と「これから使える額」を分けます。支払済みの金額を現在の口座残高へ足すと、今後の支払いに使えるお金を大きく見積もってしまいます。
支払済み費用は、請求書、領収書、振込明細、契約内容を対応させ、費目、支払日、資金の出所を記録します。金融機関へは、資金形成の説明と、融資の資金使途として対象になるかを別々に確認してください。
「領収書があるから、後で必ず融資に振り替えられる」と考えて先払いしないことも大切です。未払いの見積、支払済み費用、これから発生する費用を分けて伝えると、必要額と使い道を確認しやすくなります。
支払いの証拠は、買ったものと資金の出所につなぐ
厨房機器を先に購入した方は、何を買ったか分かる請求書と、いついくら払ったか分かる振込控え等を一組にします。どの口座や手元現金から支払ったかも残しましょう。過去に貯めたお金を開業へ使った説明と、現在いくら残っているかを確認できます。
購入額を「自己資金の形成」として新しく足すのではなく、資金を使った記録として整理します。すでに支払ったものと、これから払うものが混ざると、必要な借入額や現金の状態を誤って把握しやすくなります。現在残高に支払済み費用を足して、今すぐ使える額と説明することも避けます。
家族が設備代を直接払った場合は、本人の預金から払ったことにせず、誰が、誰に、何の費用を払ったかを確認します。その援助や借入の関係、融資対象としての取り扱いは別途確認が必要です。本人の資金出所表には、本人への入金があった取引と、第三者が直接払った取引を分けて残してください。
仮定の整理例:口座残高と資金形成を照合する
以下は、この記事のための仮定の例です。融資の承認例や、金融機関が認めた自己資金額ではありません。単位は万円で、預金の入出金を整理する例のため売上・利益の試算ではありません。支払いは実際の振込額として扱います。
表は横にスクロールできます。
| 内容 | 残高の増減 |
|---|---|
| 準備開始時の預金 | 160 |
| その後の給与からの純積立 | +90 |
| 受取済み退職金 | +70 |
| 親族からの借入 | +80 |
| 支払済み厨房機器代 | −60 |
| 確認日の口座残高 | 340 |
160+90+70+80−60=340万円です。本人の貯蓄と退職金による形成額320万円、親族借入80万円、支払済み費用60万円を別に記録します。320万円と現在残高340万円を足すことはしません。
さらに、現在残高340万円のうち、開業計画とは別に残しておく生活費が50万円なら、この例で今後の事業支払いに回せる現金は290万円です。親族借入の返済は、その後の資金繰りへ反映します。生活費50万円が十分か、自己資金の評価がいくらかは、この計算では判断できません。
口座間の振替がある方は、同じ振替番号やメモを付け、全口座を合計したときに増減が相殺することを確認しましょう。こうすると、新しい資金と移動しただけの資金が混ざりにくくなります。
この仮定例から、三つの金額を取り出す
本人の貯蓄と退職金による形成額320万円は、準備開始時の160万円、純積立90万円、受取済み退職金70万円を合わせた額です。ここには親族借入80万円を含めません。本人がどのように用意したかを整理するための金額で、公庫が認めた自己資金額という意味ではありません。
現在残高340万円は、形成した320万円に親族借入80万円を加え、支払済み厨房機器代60万円を引いた後の預金です。出所と使い道の両方が反映されています。形成額より残高が多いのは親族借入が含まれるためで、その違いを隠さず説明します。
事業支払いに回せる現金290万円は、現在残高340万円から、この例で生活費として残す50万円を除いた額です。この290万円のすべてが本人の貯蓄でできているとはいえませんし、開業に十分とも判断できません。返済が必要な資金を含むことと、今使える現金があることを分けて考えます。
こうして、形成の経緯、確認日の現金、今後の用途を別々に見ると、説明の食い違いを見つけやすくなります。例の数字を自分の通帳へそのまま当てはめるのではなく、確認日の残高から出発し、自分の入出金の記録へ置き換えてください。
申込み前に残す、資金の出所メモ
各入金に対して、次の項目を一行ずつ書きます。通帳を一から説明し直すより、確認したい取引に資料を添える方が準備を進めやすくなります。
- 入金日、金額、口座名義
- 給与・退職金・資産売却・援助・借入などの区分
- 元になったお金の資料と、その保存場所
- 返済義務、使える時期、すでに使った額
- 申込先へ確認する点と、確認した回答
通帳の数字が合わないときは、説明をきれいにする前に、現金払い、別口座への移動、未記帳の取引を確かめます。整理しても分からないものは「未確認」として残し、事実に合う説明を考えましょう。
自分の明細を整理する、実際の作業順
最初に、資金の基準日を決め、関係する口座と手元現金の残高をそろえます。次に、給与、退職金、売却、援助、借入など、資金が入った取引を分けます。本人の口座間振替は別の印を付け、外から新しく入ったお金と区別してください。
その後、開業準備で払った取引と、生活等の別用途の支払いを確認します。出所表と支払表を両方見て、確認日の残高につながるかを照合します。合わない場合は、記録した期間のずれ、現金への移動、別口座、手数料、明細の抜けなどを順に確認しましょう。
照合できたら、説明が必要な取引だけに資料番号を付けます。退職金通知はどの入金を説明するのか、家族との合意はどの振込に対応するのかが分かるようにします。資料の枚数を増やすより、取引と根拠がつながることを優先します。
最後に、未受取の予定資金、使途が決まっている資金、返済が必要なお金を、現在使える残高から区別します。この段階で制度上の扱いが分からないものは、自己判断で認められた資金にせず、申込先へ確認する欄へ残します。確認した内容も記録し、資料と説明を更新しましょう。
自己資金の資料について、よくある疑問
申込み直前の入金は、すべて問題になりますか?
入金日だけで一律に判断するものではありません。退職金や資産売却など、実際の理由と確認できる資料を整理してください。ただし、一時的に借りてすぐ返すお金を、本人が積み立てた資金として説明することはできません。出所と返済義務を分けて伝えます。
通帳に給与の入金が見えない働き方をしていました
給与が現金払いだった場合などは、給与明細、受取の記録、現在の預金へ入れた経緯など、残っている資料を確認します。どの資料で足りるかは申込先へ確認する事項です。過去の資料が見つからない場合も、その事実を残し、現在の入金記録だけで過去の貯蓄を証明できたとしないでください。
どのくらい前から貯めたことが分かればよいですか?
すべての制度に共通する必須期間をこの記事では設定しません。選んだ制度と現在の状況に応じ、提出する範囲を申込先へ確認します。必要な期間の明細を取得できるか早めに確認し、長く準備した記録がある方は、その経緯を説明できる形で保管してください。
家族から受け取ったお金は、自己資金の欄へ入れてよいですか?
まず返済の有無と実際に受け取った状況を確認します。親族からの借入なら、借入として区分し、返済条件も整理します。返済不要の援助を含む場合も、融資での評価と税務の確認を分け、申込先へ具体的な状況を伝えて確認してください。
通帳の残高は合いますが、出所が分からない取引があります
銀行の明細、振込控え、当時の通知やメモをたどります。自分の別口座からの移動なのか、外部からの入金なのかを分けることから始めましょう。分からないものを給与貯蓄として決めつけず、未確認の取引として一覧へ残し、追加で何を調べるかを決めます。
支払済み費用は、現在残高と別にどう示しますか?
支払済み費用は、費目、支払日、資金の出所を別表へまとめ、現在残高とは分けて示します。請求書や振込控えと対応させると、何に使ったかを確認できます。現在残高は確認日をそろえ、今後使える額として把握しましょう。
資料を整理してから、次の判断へ進む
準備の最後に、取引の経緯と現在残高が対応しているかを見直します。資料を集めても、生活費、返済が必要なお金、未受取の予定資金が混ざっていると、実際に使える額を把握できません。数字を大きく見せるより、区分と根拠をそろえることを優先してください。
- 基準日、口座名義、残高、手元現金を確認した
- 給与・退職金・売却・援助・借入を区分した
- 自分の口座間振替と現金移動を二重計上していない
- 未受取の予定資金を、現在残高へ足していない
- 家族援助の返済条件と実際の受領記録が対応する
- 支払済みの開業費用と、これから使える現金を分けた
- 出所が不明な取引と、確認する資料を残した
- 整理表の金額を、金融機関の認定額と呼んでいない
支援を依頼する場合は、資金の置き場所と出所、分からない取引、すでに払った費用を分かる範囲で渡すと、次に確認する点を整理しやすくなります。通帳の転記だけで終えず、取引と資料の対応や、現在使える額の食い違いを確認することに意味があります。個別の評価や融資判断は、申込先が行うことを分けて進めましょう。
新宿で飲食店の開業を考えている方は、今ある資金、入金の経緯、すでに払った費用を分かる範囲でまとめ、お悩みをお聞かせください。書類がばらばらでも、まず何を確認するかを一緒に整理することから始められます。
制度・資料の確認日:2026年10月13日。参照資料:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」「創業の手引+(飲食業・令和7年9月)」「創業計画書」。
税務監修:税理士 坂根崇真
