飲食店の確定申告|全体像と準備する資料

悩んでいる方
飲食店を開業して初めての確定申告。レジの売上と領収書をまとめれば、申告できるのでしょうか。

個人で飲食店を営む場合は、1年間の収入と必要経費を整理し、店以外の所得や所得控除なども含めて、所得税の申告が必要かを判断します。売上の金額だけで決まるものではありません。帳簿、年末の在庫、入金待ちの売上、厨房設備の情報を順に整えると、申告までにすることが見えてきます。

営業を終えてからレジを締め、翌日の仕込みをし、領収書はひとまず封筒へ。そんな日が続き、申告の時期が近づいてから「この入金はいつの売上だったか」「冷蔵庫の代金はどこに入れるのか」と迷う場面を想定してみてください。必要なのは、最初から申告書の全項目を理解することより、店で起きた取引と手元の資料をつなぐことです。

このページでは、個人の飲食店の2026年分を中心に、申告の全体像、数字の整理、依頼を考える場面を紹介します。個人の2026年分は、原則として2026年1月1日から12月31日までの所得が対象です。法人の飲食店は自社の事業年度で決算申告を行い、消費税の課税事業者は消費税の申告も別に進めます。

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確定申告は、店の1年を数字でつなぐ作業です

飲食店の経営では、売上、利益、通帳残高がそれぞれ違う動きをします。週末の売上が好調でも、カードの入金は後日かもしれません。設備を購入した月は預金が減っても、購入額のすべてがその年の経費になるとは限りません。

確定申告では、こうした取引を整理し、対象の年にどれだけの収入と費用があったかをまとめます。店主の感覚にある「忙しかった」「お金が残らなかった」を、申告に使える数字へ置き換える作業と考えると、準備の意味が分かりやすくなります。

大きな流れは、資料を集める、帳簿を整える、年末の残高を確かめる、事業の所得を計算する、個人全体の申告書へ反映する、提出と納付を終える、という順番です。青色申告者は青色申告決算書、白色申告者は収支内訳書で事業の数字を整理します。その後に、店以外の所得や各種控除を含めた所得税の申告へ進みます。

「申告書を入力し始めたのに、何度も資料探しへ戻る」というときは、申告の知識だけでなく、前段階の帳簿や資料の整理が途中なのかもしれません。今いる段階が分かれば、次に集めるものも絞れます。

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段階 すること 次へ進む目安
事業と年分を確かめる 個人・法人、対象年、青色の状況、消費税を整理 何の申告を準備するかが分かる
店の取引をまとめる 売上、仕入、経費と資料を対応させる 月別の数字を資料で説明できる
年末を整理する 在庫、未入金、未払い、設備などを確かめる 年をまたぐ取引が見える
所得を計算する 決算書・収支内訳書へ事業の数字をまとめる 売上と費用から所得へつながる
個人全体の申告をする 他の所得や控除を含めて申告書へ反映 対象年の申告内容がまとまる
提出・納付を終える 送信結果、控え、納付記録を残す 翌年にも経緯を確かめられる

自分の店は、誰の何年分の申告をするのか

個人の飲食店は、店主本人の所得税申告へ

個人事業の場合、事業の所得は店主本人の申告へ反映します。店の売上と必要経費を整理するだけでなく、同じ年に給与など別の所得があれば、その資料も一緒に用意します。所得控除や税額控除も本人の事情によって変わります。

例えば、年の途中まで会社で働き、その後カフェを開いた場面なら、開業後の帳簿だけでなく、会社から受け取った給与の資料も申告の材料です。店の数字がそろっていても、本人全体の情報がそろうまでは所得税額の計算が完結しないことがあります。

通常の所得税の申告・納付期限は翌年3月15日です。対象年の正式な案内に合わせ、休日の取扱いや個別事情による期限も確かめて進めます。申告書を作る時間とは別に、資料の再取得や年末残高を調べる時間を見込めると、直前の負担が軽くなります。

法人の飲食店は、会社の決算期で整理する

法人の飲食店は、会社の事業年度で決算を行います。個人の暦年の申告と同じように12月で区切るとは限りません。まず会社の決算月と、今回の対象期間を確認すると、集める売上や支出の範囲が定まります。

法人税の確定申告は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内で、期限延長などの取扱いもあります。会社の経理と、代表者個人の給与などの申告は別の整理です。法人成りをした年は、個人で営業していた期間と会社で営業した期間を分け、売上、契約、設備、借入の移り方をたどることが大切になります。

売上が少ない年や赤字の年も、申告の意味を確かめる

個人の所得税は、所得と控除などを含めて申告要否を判断します。店の年間売上だけで、申告する・しないを決める仕組みではありません。開業年で設備や準備の負担が大きかった、休業期間があった、別の所得もある、といった事情を本人全体で見ます。

所得税の申告義務がない場合でも、青色申告の損失の繰越など、制度を利用するために申告が必要となることがあります。申告の要否と、記帳・資料保存の義務も別です。事業所得を生ずべき業務を行う個人は、所得税の申告が不要な場合も記帳・帳簿等の保存の対象になります。

「今年は赤字だった」という感覚を持っているなら、売上と支出だけでなく、在庫や設備を整理した後でも事業の所得が赤字になるかを確かめるところから始めると、その後の判断がしやすくなります。

資料は、売上・支出・年末の三組から集める

申告準備を始めたものの、資料が多すぎて手が止まることがあります。最初は、一つずつ勘定科目を付ける前に、売上、支出、年末の残高に分けるだけでも構いません。店の資料と、店主本人の資料を置く場所も分けておくと探しやすくなります。

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資料のまとまり 手元に集めるもの 分かるようにしたいこと
売上 レジ・POSの日報、現金の記録、決済・デリバリーの明細 売上日、決済別の総額、取消・返金、入金待ち
支出 食材の請求書、領収書、家賃などの契約、給与の記録 何の支出か、業務用の範囲、対象期間、支払状況
年末の残高と設備 棚卸、未収未払、預金・借入残高、設備の明細 年末に何が残り、翌年へ何が続くか
店主本人の情報 給与等の資料、所得控除などの証明資料 店以外の所得と対象年に使う控除

レジの記録はあるが、カードやデリバリーの精算明細がない場合は、入金された金額の内訳が見えにくくなります。取引先の管理画面や送付された資料をたどり、売上、手数料、振込額が分かるものをそろえると帳簿とつなげやすくなります。

領収書を月ごとの封筒に入れているなら、まずその形のまま期間を確認し、分からないものへメモを付ける方法もあります。「厨房の修理」「開店準備の備品」「店と自宅で使っている通信費」など、店主だから説明できる用途があると、後から資料だけを見る人にも状況が伝わります。

資料の不足が見つかったときは、判明している事実を残しておくと次の確認が進みます。「支払先と日付は分かるが明細がない」「請求書はあるが支払の記録が見つからない」といった形です。再取得できる資料を探す作業と、税務上の扱いを判断する作業を分けられます。

未整理の期間を書き出すと、着手する場所が見える

資料が店の棚、パソコン、スマートフォンへ分かれている場合は、全部を並べる前に「帳簿へ入力済みの期間」と「これから整理する期間」を書き出してみます。同じ年の資料でも、既に処理したものと未処理のものが混ざっていると、二度入力したり、終わったと思った月に不足が残ったりするためです。

入力済みの期間にも照合待ちがあれば、その状態を一言添えます。「売上は入力済み、決済の入金は未確認」「支出は入力済み、設備の扱いは保留」という形です。作業の進み具合と判断待ちを分けると、自分で次へ進める部分と、専門家と整理する部分が見えてきます。

店主以外が記帳している場合も、どの期間まで何が終わっているかを共有できると、資料の受渡しが進みます。申告の期限から逆算する前に、今あるものと残る作業を見えるようにすることが、準備の出発点です。

現金売上、カード売上、通帳の入金をつなぐ

現金で受け取る売上と、後日振り込まれる売上が混ざる飲食店では、通帳だけを見ても売上の全体をつかみにくくなります。現金売上は店に残っていることがあり、カードやQR決済はまだ振り込まれていないことがあるためです。

申告に使う売上は、まず店で売上が発生した記録から整理します。そのうえで、現金、未入金、銀行入金へつながるかを確かめます。通常の所得税の計算では、代金を受け取ったかだけでなく、収入すべき権利が確定した時期が収入計上の基本になります。一定の条件で現金主義の特例を適用する場合は、その方法に合わせて整理します。

仮定例:12月のカード売上が1月に入金されたら

12月のカード売上100,000円が、翌年1月に手数料3,000円を差し引かれて、97,000円入金されたと仮定します。単位は円、各金額は税込の記録で、返金や別費用はありません。照合の仕組みを説明する例で、当センターの実績や特定サービスの料金ではありません。

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見る資料 この例で分かる数字 帳簿を整理する視点
12月の売上日報 売上100,000円 何月の売上かを確かめる
決済会社の精算明細 手数料3,000円 売上から引かれた理由を確かめる
1月の銀行明細 入金97,000円 未入金だった売上が回収されたかを確かめる

数字の関係は、100,000円=97,000円+3,000円です。日報では売上の全体を、精算明細では手数料を、通帳では入金を見ています。別々の資料が同じ取引を表していると分かれば、帳簿の重複や漏れを探しやすくなります。

12月に売上100,000円を記帳していた場合、1月の97,000円は、その売上の回収に当たります。翌年に新たな売上が発生したという整理ではありません。また、振込額だけを売上に使うと、手数料分の売上と費用の関係が見えにくくなります。

この例を自店へ当てはめるときは、返金、他の手数料、複数日のまとめ入金などの有無も明細で確かめます。最初に一つの入金について日報と精算明細を結び付けると、同じ決済サービスのほかの入金も整理しやすくなります。

年末の入金待ちが分かれば、翌年の入金確認にも使えます。確定申告のためだけに作った表ではなく、店の売上がいつ資金に変わるかを見る資料にもなります。

年末には「払ったもの」と「残ったもの」を見直す

年末の整理は、年間のレシートを合計するだけでは見えないものを確かめる作業です。厨房に残る食材や酒類、翌年に入金される売上、まだ払っていない請求書、営業に使い続ける設備などが対象になります。

食材・酒類は、年末に残る在庫も材料に

飲食店では、年末前にまとめて食材や酒類を仕入れることがあります。支払った金額をすべてその年の原価へ入れるのではなく、期首在庫、年間の仕入、期末在庫を整理します。まだ販売・使用していないものが残っていれば、原価の計算に影響するためです。

棚卸では、何がどれだけ残っているかを記録し、その金額を確かめられる資料を用意します。廃棄したもの、店主や家族が使ったもの、従業員に提供したまかないなどは、用途の記録があると、その後の処理を整理しやすくなります。

申告全体の準備では、年末の在庫が分かる状態を作ることが最初の目標です。細かな数え方や評価方法は、取扱商品と店の運用に合わせて進めます。

未払いの請求書、前払いの費用も見える場所へ

請求書が年内に届き、支払は翌年になる取引があります。個人の必要経費は、原則としてその年に債務が確定した金額を確認するため、通帳の支払日だけでは費用の年が決まらない場合があります。反対に、支払済みでも翌年分の費用であれば、対象期間の整理が必要です。

年末前後の請求書には、納品日やサービスの対象期間が分かるものを添えると、帳簿の確認が進みます。支払状況と費用になる時期を別の欄で見るだけでも、「払い忘れなのか、翌年分なのか」が分かりやすくなります。

厨房設備は、購入と使用開始の情報をまとめる

冷蔵庫、オーブン、調理設備などを買った場合は、品目別の金額、取得日、使用開始日、請求書や契約をまとめます。通常、長く使う資産の取得額は、減価償却によって使用期間へ配分して必要経費を計算します。少額資産などの特例は取得日や申告の条件によって扱いが変わるため、この情報が判断の材料になります。

工事一式の請求書しかないときは、工事や設備の内容が分かる明細があると整理しやすくなります。税務の判断を始める前に、どの設備を、いつから、何のために使ったかを見える形にすることが役立ちます。

売上から所得までを、仮定の年間例でたどる

ここでは、2026年分の個人店を仮定します。消費税の納税義務がないことを別途確認済みという前提で、税込経理、単位は万円です。売上額だけを免税の理由にはしていません。雑収入、自家消費、その他の調整はなく、その他の必要経費には必要な減価償却費と事業用借入利息を集計済みとします。

この数字は仕組みを説明するための仮定です。飲食店の平均的な原価や、当センターが支援した店の実績を示すものではありません。

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項目 仮定額
年間の総収入金額 900万円
期首の食材・飲料在庫 18万円
年間の食材・飲料仕入 300万円
期末の食材・飲料在庫 22万円
売上原価:18+300-22 296万円
その他の必要経費 450万円
青色申告特別控除前の所得:900-296-450 154万円

まず、期首にあった在庫18万円に、年間の仕入300万円を足します。そこから期末に残る22万円を引き、売上原価296万円を求めます。年間の仕入300万円と原価296万円が違うのは、年の初めと終わりに在庫があるためです。

次に、収入900万円から原価296万円とその他の必要経費450万円を差し引くと、青色申告特別控除前の所得154万円になります。「売上から払ったお金を全部引く」よりも、何を原価とし、何をその他の費用としているかが見える計算です。

154万円は、銀行に残ったお金や納める所得税額ではありません。ここから青色申告特別控除の適用、他の所得、所得控除などの整理が続きます。この例では所得税額、消費税額、手元資金を計算していません。

借入金の元本を返済すると預金は減りますが、その返済は借入残高を減らす取引です。事業用の借入利息は必要経費として別に扱います。設備を借入で購入した場合も、設備、借入残高、減価償却、利息を分けると、所得と資金の違いが分かりやすくなります。

店主が「利益は出ているはずなのに資金が足りない」と感じたとき、申告用に整えた数字は、その理由を考える出発点にもなります。所得の計算と、返済や設備投資を含む資金の動きを並べて見ることに意味があります。

これから新宿で飲食店を開く方は、税務の準備と一緒に開業資金の計画も整えておきましょう。融資支援の内容や担当者は、下のページでご覧いただけます。

青色申告は、提出状況と対象年をそろえて見る

開業したときに届出をいくつか提出し、「青色になっているはず」と思っている場合は、申告前に控えを見直すと安心して進められます。開業届と青色申告承認申請は別の手続きで、期限も異なります。

個人の青色申告承認申請は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に新たに業務を開始した場合は、業務開始の日から2か月以内となります。相続による引継ぎなどは別の期限があるため、開業や引継ぎの状況に合わせてたどります。

申請の控えが見つからなければ、「見当たらない」という状況を記録し、提出の履歴を調べるところから始めます。申請したか分からない状態と、申請は済んでいるが帳簿の要件が分からない状態では、次にすることが違います。

2026年分の控除は、帳簿と提出方法まで含めて判断

2026年分の青色申告特別控除には、最高55万円、一定の要件を満たす場合の最高65万円、その他の対象者の最高10万円という区分があります。控除額は所得から差し引く金額で、同じ額の税金がそのまま減る仕組みではありません。所得金額による限度もあります。

55万円の控除には、正規の簿記による記帳、貸借対照表・損益計算書等を添付した期限内申告などの要件があります。65万円には、さらに期限内のe-Tax送信、または優良な電子帳簿の保存と必要な届出等の条件が関係します。現金主義の特例を選んでいる場合も、対象となる控除の区分が変わります。

会計ソフトを使っていることと、控除に必要な条件がそろっていることは別の話です。帳簿がどこまで完成しているか、どの決算書を作るか、どう提出するかを合わせて見ると、自分の準備が分かります。

国税庁は2027年分以後の青色申告特別控除の見直しも案内しています。2026年分の申告を仕上げる作業と、2027年分以後の記帳・保存方法を整える作業を分けると、異なる年の要件を読み違えにくくなります。今の申告に使う年分を先に書き出してから、翌年の準備へ進むと整理しやすいでしょう。

消費税は、所得税と並行して状況を確かめる

「売上が少ないから消費税もないと思っていた」「インボイス登録後に初めて申告する」という場面では、所得税の帳簿を整えるのと並行して、消費税の状況を確かめると準備が進みます。

個人事業者の2026年の判定では、原則として基準期間に当たる2024年の課税売上高を確認します。基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、登録、特定期間、課税事業者の選択、一定の資産取得などにより免税にならない場合があります。

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整理すること 手元で探す情報
基準期間 原則2024年の課税売上高
インボイス登録 登録通知、登録日、その後の変更状況
特定期間 原則2025年1~6月の売上、国内事業者は給与等支払額による判定も検討
課税事業者の選択等 提出した届出と適用状況
資産取得・引継ぎ 設備の取得や相続等、免税の制限に関係する情報

法人は事業年度による期間の取り方や、設立時の資本金等の判定も関係します。店の事業形態と課税期間をそろえて調べることで、必要な申告と資料を見つけやすくなります。

課税事業者であれば、一般課税、簡易課税、適用年・対象者を限定する特例などの中から、使える計算方法を確かめます。店内飲食、持ち帰り、酒類などの売上を分けた記録も材料になります。2026年分と2027年分以後では適用が変わる制度があるため、前年の計算方法を使う前に、今回の年分を照合します。

所得税と消費税で同じ資料を使うことはありますが、計算の目的は異なります。所得税で必要経費となる支出のすべてが、消費税の仕入税額控除になるわけではありません。申告を依頼する場合も、どの税目まで整理したいかを伝えると、必要な資料と進め方を検討しやすくなります。

自分で進める部分と、専門家と整理する部分を選ぶ

帳簿と資料が結び付き、申告対象や制度の条件が分かっていれば、国税庁の作成コーナー等を使って自分で申告する方法があります。自分で日々の資料をまとめ、判断に迷うところを専門家と整理する進め方も考えられます。

選ぶときは、申告書へ入力する時間だけでなく、その前の資料整理や残高確認にどれくらい手がかかるかを見てみます。毎月の帳簿がそろっている店と、年末に1年分をまとめる店では、申告までの準備が違うためです。

「自分でできるか分からない」ときは、今できていることを数えると判断しやすくなります。日報は残っている、請求書は月別に分けてある、通帳は取得できる、といった状況も出発点です。そこへ、入金待ちや設備、青色申告、消費税など、判断が必要なものを足して考えます。

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店の状況 整理を始めるところ 依頼を検討する価値
帳簿はあるが売上と入金が合わない 日報・精算明細・通帳を並べる 原因を分け、申告へ使う数字を整えやすくなる
開業年で設備や届出が多い 開業日、設備明細、届出の控えを集める 年分と適用条件をそろえて判断できる
消費税の申告が初めて 登録通知、過去売上、届出を探す 申告対象と選べる方法を絞れる
営業が忙しく記帳がたまっている 入力済み期間と未整理資料を分ける 申告までの作業と今後の分担を考えられる
過年度に不足が見つかった 年分と、分かった事実をまとめる 対象年の処理を切り分けて進められる

税務の専門家と資料を共有する価値は、店の事実を基に判断の順番を整えることにあります。店主が知っている用途と、帳簿に残る数字が結び付くと、曖昧だった箇所を一つずつ扱えるようになります。

申告だけを整えたいのか、毎月の記帳から見直したいのかも、依頼を考える材料です。今年の申告で困っていることと、翌年から改善したいことを分けておくと、店に合う支援を検討しやすくなります。実際の依頼では、店側で用意する資料と依頼する作業の範囲を確認して進めます。

提出した後の記録は、翌年の準備にも役立ちます

申告書を作り終えたら、提出方法に応じた送信結果や控えと、納付の状況を確かめます。入力画面を保存したこと、送信が完了したこと、納付を終えたことは、それぞれ進み方が違うためです。対象年の手引や様式に沿って、最後の段階までたどります。

申告書と決算書だけでなく、数字を作った資料や、判断の経緯が分かるメモもまとめておくと翌年に役立ちます。在庫の整理、設備の情報、年末の入金待ちなどは、翌年の数字へ続くことがあります。「今年はどこで時間がかかったか」を一言残すだけでも、日々の経理を改善する材料になります。

紙の領収書や契約と、電子で受け取った請求書等は、受け取り方に応じた保存方法を整えます。電子取引のデータは、必要な保存要件を踏まえて残します。資料を探しやすくする工夫と、税務上の保存条件を合わせて考えると、翌年の申告準備を始めやすくなります。

申告を毎年の大仕事にしすぎないためには、今回分かったことを日々の運用へ少しずつ戻すことが有効です。売上明細を定期的に取得する、設備資料を別に置く、用途のメモをその日に残すなど、自店で続けられるところから整えられます。

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    税務監修:税理士 坂根崇真

    執筆者: 税理士 坂根崇真